【魔法の庭ものがたり】二代目魔女の成長物語。ハーブと友情と猫たちと…【二代目魔女のハーブティー】【小学校低学年以上】
魔女の家を相続したジャレット。見よう見まねでハーブの薬屋さんをはじめます。そんなジャレットのもとに、ホテルの娘、スーがやってきて…
この本のイメージ 友情☆☆☆☆☆ ファンタジー☆☆☆☆☆ ハーブ豆知識☆☆☆☆
二代目魔女のハーブティー 魔法の庭ものがたり2 あんびるやすこ/作 ポプラ社
多作な児童小説作家、あんびるやすこ先生の「魔法の庭ものがたり」の 「ハーブ魔女のふしぎなレシピ」 に続く2冊目です。1冊目がかなり面白かったので、どんなふうに続くのだろうと興味を持って、2冊目を読んでみました。シリーズものは最低でも三巻までは読みたい派です。
あんびる先生は速筆の上に挿絵や表紙もご自身で描いているので、相当な仕事量をこなし続けていると思います。くれぐれも無理をしないで、お身体を大切になさってください。
わたしは、今のところあんびる作品を三冊しか読んでいないのですが、なんともいえないふんわりとした雰囲気と、誰も悪者にしない展開が好きです。2冊目の「二代目魔女のハーブティー」も、そんな温かい雰囲気にあふれた物語でした。
アマゾンプライムのドラマで「まほうのレシピ」と言う、子供向けファンタジーがありまして、ヒロイン三人組がとってもかわいくて大好きなんですよ。
「まほうのレシピ」は、正しい継承者にしか読めない魔法のレシピ本があって、その本を継承した三人が、レシピ本に書いてある魔法の料理やお菓子で難題を解決してゆくというお話です。
「魔法の庭ものがたり」にも、先代魔女トパーズが残したハーブのレシピ本が出てきます。それは、二代目のジャレットにしか読むことが出来なくて、他の人が読んでも白紙に見えるという不思議な本でした。(ちなみに、「二代目魔女のハーブティー」の初版は2007年なので、設定は偶然の一致だと思います)
このレシピ本に助けてもらって、ジャレットはトパーズの後をついでハーブの薬屋さんを始めます。でも、ジャレットは魔女でもない自分が有名な魔女の跡継ぎになったことを、ひそかに悩んでいました……。
ジャレットの悩みや自身が魔女ではないことをカミングアウトするかしないか問題と、新しい友達との友情、魔法がかかわる不思議な事件が絡み合って物語が進みます。
最終的に、胸のつかえはなくなり、友情は深まり、不思議なお友達も出来て、ジャレットの魔女生活が無事にスタートしたところでめでたしめでたし。
要所要所にハーブの豆知識がちりばめられており、日常生活にハーブを取り入れたくなります。
わたしも、ラベンダーのハーブオイルが大好きで、いつもお風呂に入れていますし、肌荒れや切り傷擦り傷などには、傷薬ではなくラベンダーのエッセンシャルオイルを擦り込んでいます。
また、外出するときや、のどがいがらっぽいときはマスクにたらして使っています。
ラベンダーオイルのない生活は考えられません。
また、リラックスしつつ気持ちをしゃっきりさせたいときはミントティーが欠かせませんし、安眠したいときはカモミール、そして、元気を出したいときはスープにたっぷりバジルを入れます。
この本の中では、ジャレット特製「元気の出るハーブティー」として、ハチミツ入りのローズヒップティーが出てきます。ローズヒップはビタミンCが豊富ですし、栄養価が高く様々な効能のあるハチミツとあわせると、たしかに効果は抜群です。色も赤くてかわいいので、透明なグラスによく映えます。
でも、一番大切なのは、「だれかを助けたい」と願う心。その心がレシピ本を使う力になるのです。
第一巻の「ハーブ魔女のふしぎなレシピ」のテーマは「相手の気持ちに寄り添うこと」でした。二巻目のテーマは「誰かの役に立ちたいと思う心」。
ジャレットは、着実に成長しています。
字は大きくて文章は平易で読みやすいです。難しい漢字は少なく、ふりがなもふってありますので、小さなお子様の長い物語の読みはじめにちょうどよく、情操教育の要素もしっかりと入っています。
また、掲載されているサシェの作り方が絵入りで詳しいので、読後は自分でやってみようという気持ちにもなります。
本好きの小さな女の子にはぴったり。プレゼントにも最適です。
かなりお気に入りのシリーズになりましたので、もう少し読んでみようと思います。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はありません。かわいらしい、ハーブファンタジーです。出てくるハーブは全部実在の植物なので、植物に興味をもつきっかけになるでしょう。
ハチミツたっぷりのローズヒップティーと、クッキーをお供にぜひどうぞ。
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