【クリスマスを救った女の子】「クリスマスとよばれた男の子」の続編。失われた希望を取りもどせ!【小学校高学年以上】

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クリスマスを救った女の子   マット・ヘイグ/文 クリス・モルド/絵 杉本詠美/訳 西村書店

ファーザー・クリスマスが最初にプレゼントをあげた女の子、アメリア。彼女は、今、運命のどん底にいた。夢も希望も失って、苦しい日々をおくるアメリア。しかし、彼女が助けを求めたエルフヘルムのファーザー・クリスマスたちにも、とんでもない事件が起きていた……

この本のイメージ ファンタジー☆☆☆☆☆ 今度の主人公は女の子☆☆☆☆☆ ディケンズも出てくるよ☆☆☆☆☆

クリスマスを救った女の子   マット・ヘイグ/文 クリス・モルド/絵 杉本詠美/訳 西村書店

<マット・ヘイグ>
イギリスの作家。大人向けの作品に、「今日から地球人」(早川書房)などの小説やビジネス書がある。児童書作品で、ブルー・ピーター・ブック賞、ネスレ子どもの本賞金賞を受賞。

<クリス・モルド>
イギリスの作家、イラストレーター。文と絵の両方を手がけた作品を多数発表するほか、「ガチャガチャゆうれい」(ほるぷ出版)など多くの子どもの本のイラストも担当し、ノッティンガム・チルドレンズ・ブック賞を受賞。

<杉本詠美>
広島県出身。広島大学文学部卒。おもな訳書に、「テンプル・グランディン 自閉症と生きる」(汐文社、第63回産経児童出版文化賞翻訳作品賞を受賞)など。

 クリスマス前に、もう何冊か、クリスマスをテーマにした作品をご紹介します。
 原題は The Girl Who Saved Christmas. 本国初版は2016年。日本での初版は2017年。「クリスマスとよばれた男の子」の完全な続編です。「クリスマスとよばれた男の子」は、今年Netflixで映像化されました。

 お話が完全に続いているので、まずは「クリスマスとよばれた男の子」からお読みください。「クリスマスとよばれた男の子」のレビューはこちら

クリスマスを救った女の子   マット・ヘイグ/文 クリス・モルド/絵 杉本詠美/訳 西村書店

 今回の主人公は、アメリア。ニコラスがクリスマスにはじめてプレゼントをした女の子です。
 魔法の世界を信じる心を持ち、心に希望を抱いた女の子。

 ファーザー・クリスマスは、翌年も、アメリアのもとへプレゼントを届けに行くつもりでした。
 ところが……

 アメリアの人生は、辛いことの連続。病気のお母さんを助けるために煙突掃除をしても、うまくできず、お母さんは病気で死んでしまいます。そして、彼女は救貧院へと送り込まれてしまいました。

 一方、ファーザー・クリスマスが暮らすエルフヘルムも、クリスマスの前日にトロルの襲撃を受け、大損害を受けてしまいます。

 はたしてアメリアの運命は? そして、ファーザー・クリスマスは、サンタクロースになれるのでしょうか?

 ……というのが、今回のあらすじ。

 今回のお話を読んで、ヴィクトリア朝時代の貧しい子どもたちの生活や、救貧院と言う施設がどんなものかがわかってきました。こんなに大変な場所だったんですね。

  「クリスマス・キャロル」のスクルージの言った「監獄と救貧院が活用されているならば、怠け者が浮かれ騒ぐためにびた一文出しはしない。わたしは監獄や救貧院のために税金を出しています。その税金だって相当なものです」が、どれだけいかん言葉なのかが、ようやく、よくわかりました。

 そして、当時、貧乏人=努力していない人=悪人と言う思想がはびこっていたからこそ、スクルージが「監獄」と「救貧院」を同列に語ったのだと言うことも。

 母を病気で失ったアメリアを、救貧院に入れようと追うクリーパーさんから、逃がしてくれようとするおばさんは、彼女にマッチ売りの元締めを紹介します。救貧院に行くくらいなら、マッチ売りのほうがマシだと言うのです。

 マッチ売りって、あの「マッチ売りの少女」のマッチ売りです。当時のマッチには、黄燐が使われていて毒性が高く危険だったのに、そのマッチ売りのほうがマシだと言う、救貧院。しかし、アメリアはついに、その地獄のような施設に入れられてしまうのでした。はたして、アメリアの運命は?

 今回は、歴史上の人物が何人か登場します。まずはヴィクトリア女王。そして夫のアルバート公。忠臣レーツェン男爵。そして、「クリスマス・キャロル」で知られる、作家のチャールズ・ディケンズ。

 ディケンズは、ちょっとだけ登場してアメリアの猫スートを助けてくれます。 (ディケンズは猫好きで知られ、「猫の愛にまさる贈り物はない」“What Greater Gift Than the Love of a Cat?" という名言があるそうです。いいこと言いますね! )

 今回のお話は、アメリアの物語とファーザー・クリスマスの物語が同時進行しながら、最後でふたりがめぐり合い、失われていた「希望」の力を取り戻す展開です。

 前作「クリスマスとよばれた男の子」より、一段とスケールアップ、歴史上の人物も参加するファンタジーストーリー。さいごは、文句なしのハッピーエンド。

 ほとんど男性キャラばかりだった「クリスマスとよばれた男の子」とはうってかわって、今回は女性キャラがいっぱい。

 アメリアちゃんは、バイタリティがあってがんばりや、時々泣いたり落ち込んだりはするけれど、くじけない、強い子です。

 字はほどよく行間があいていて読みやすく、簡単な漢字以外は振り仮名が振ってあります。小学校高学年から。味のある挿絵もふんだんに入っています。

 寒い季節のおうち時間に、ぜひ。
 男の子も女の子も楽しめる、正統派の冒険ファンタジーです。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 アメリアの救貧院での生活がかなりハードです。そこを抜ければ、それほどではありません。トロルと戦うシーンがあるので、暴力シーンはなくはないですが、気をつけて書かれているので大丈夫です。

 読後は、熱々の紅茶と、クリスマスオレンジことミカンでティータイムはいかがでしょう。この季節は、クリスマスブレンドとして、様々なお店から、フレーバーティーが発売されていて、楽しみですね。

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