【こまったさん】自分でラーメンを作ってみよう! 楽しいクッキングファンタジー【こまったさんのラーメン】【小学校低学年以上】

2024年4月2日

広告

こまったさんのラーメン    寺村輝夫/作 岡本颯子/絵 あかね書房

ある日、こまったさんのお店に宅急便がとどきました。それを受け取ったら、あら不思議。こまったさんのお花屋さんは、突然ラーメン屋さんに早変わり。「うまくてこまった、やすくてこまった」の「こまったラーメン」が開店です!

この本のイメージ ラーメン☆☆☆☆☆ ファンタジー☆☆☆☆☆ レシピがいっぱい☆☆☆☆☆

こまったさんのラーメン    寺村輝夫/作 岡本颯子/絵 あかね書房

<寺村 輝夫>
1928年東京生まれ。早稲田大学卒業。『ぼくは王さま』で第15回毎日出版文化賞受賞。1984年「独特のナンセンステールズで、子どもの文学の世界を広げた」功績により第17回巌谷小波文芸賞を受賞。2006年没。

 明日は大晦日。
 日本では大晦日に「年越しそば」を食べる風習があります。

 これは江戸時代から定着した風習のようで、「細長いそばを食べて、寿命をのばし家運をのばす」と言う意味や、蕎麦は切れやすい(当時の比較対象はうどん)ので「災厄を断ち切る」と言う意味もあったそうです。

 最近になると、年越しに「蕎麦」ではなくラーメンを食べる人も多く、年越しラーメンもずいぶん定着してきました。

 ラーメンは別名「中華そば」と言われていますが、日本のラーメンはどうやらかなり魔改造されていて、中華料理ではなく、もはや日本料理と言ってもいいようです。

 今日は、明日の大晦日をひかえて、「こまったさんのラーメン」をご紹介しましょう。

 お話を読みながらお料理への興味を育てる、クッキングファンタジー「こまったさん」のシリーズの一冊です。「こまったさんのラーメン」の初版は1988年。88年かあ。日本がずいぶん景気が良かったころですね。

 こまったさんは、駅前のお花屋さんの若奥さま。何かおきるとなんでも「こまった、こまった」というので、旦那さんのヤマさんから「こまったさん」と呼ばれています。

 ある日、こまったさんのお店に謎の宅急便が届きます。
 その荷物を受け取ったら、あら不思議。

 こまったさんのお店は、ラーメン屋さんに早変わり。
 旦那様のヤマさんがラーメンをせっせとつくり、自動販売機からラーメンが。

 「うまくてこまった、やすくてこまった。またたべたくなって、こまったこまった」

 大行列のこまったラーメンです。

 ……と、いうのがあらすじ。

 寺村先生がことのほかラーメンがお好きだったらしく、今回のお話はレシピに力が入っています。鶏がらスープ、ラーメンに乗せる野菜炒め、卵とハムと玉ねぎで作る卵ラーメン、麻婆豆腐を乗せるマーボーラーメンなどなど、おいしそうなレシピがいっぱい。

 いつものように、レシピのシーンではこまったさんがヤマさんたちと歌い始めます。
 そう、このシリーズでは「レシピは歌うもの」。
 摩訶不思議なお話とお料理のミュージカルなのです。

 最初は想像もつかないとんでもストーリーと、いきなり歌いだす展開で「なぜ歌う?」とびびったわたしですが、「これはミュージカルなんだな」と合点がいってからは、「次に何がくるかな?」とわくわくして読めるようになりました。

 ミュージカルのように、場面は華やかに変化するだけでなく、こまったさんのファッションも次々とおしゃれな服に変身するのです。

 今回のこまったさんは、かわいい緑のセーターとサスペンダーつきのズボンのお花屋さんスタイルから、中華コックさん姿、チャイナドレスと、何度も変身して楽しませてくれます。いつにも増して華やか。日本が豊かで景気のいい時代でしたからねえ。こんなセーター、売ってました。見たことあるある。

 そうそう、物語の中に「青梗菜」(チンゲンサイ)が登場します。
 たしかに1988年ごろ、スーパーマーケットでよく見るようになった、あの頃の「おしゃれな野菜」でした。なつかしい。チンゲンサイを野菜炒めにいれたり、ラーメンに乗せたりすると、ぐっと本格的に見えたものです。

 この本に登場するマーボーラーメンも、今は一般的なラーメンのひとつになりましたが、当時はたぶん「変わりラーメン」の一種だったと思います。昔は、ラーメンと言えば、醤油、塩、味噌の三種類でしたからね。

 字はほとんどがひらがなとカタカナ。簡単な漢字には振り仮名が振ってあり、とても読みやすい本です。小学校低学年から読めると思います。もっと下の子なら、読み聞かせで。

 「こまったさんのラーメン」は、こまったさんシリーズのなかでも寺村先生の「ラーメン愛」がほとばしっており、岡本先生の絵も気合が入っていて、隅から隅まで楽しい本です。

 読めばきっとラーメンが作りたくなるはず。
 寒い冬は「こまったさんのラーメン」を読んで、親子でラーメンを作るのもいいですね。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。
 カラフルで楽しい、クッキングファンタジーです。お話の展開に論理性やつじつまがなく、次から次へと不思議なことが起こりますが、かわいくて楽しいのです。

 レシピを歌ったり、踊ったり、ちょっとミュージカルみたいな童話です。

 読み終わったら、ラーメンが作りたくなりますよ。

 

商品紹介ページはこちら

 

 

お気に入り登録をしてくださればうれしいです。また遊びに来てくださいね。
応援してくださると励みになります。

にほんブログ村 本ブログへ

広告