【おべんとうをたべたのはだあれ】女の子のおべんとうを食べたのは?春にぴったりのほのぼのファンタジー絵本【4歳 5歳 6歳】

2024年4月16日

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おべんとうをたべたのはだあれ 神沢利子/作 柿本幸造/絵 ひさかたチャイルド

小さな女の子が森へ出かけました。かごを下げておべんとうを持って、のいちごをつみに行くのです。夢中でつんでお昼になって女の子がおべんとうを食べようとしたら…… (おべんとうをたべたのはだあれ 神沢利子/作 柿本幸造/絵 ひさかたチャイルド)

この本のイメージ ファンタジー☆☆☆☆☆ ほのぼの☆☆☆☆☆ 春☆☆☆☆☆

おべんとうをたべたのはだあれ 神沢利子/作 柿本幸造/絵 ひさかたチャイルド

<神沢利子>
1924年、福岡県に生まれ、北海道、樺太(サハリン)で幼少期をすごす。文化学院文学部卒業。詩、童謡、絵本、童話、長編と、児童文学の第一線で幅広く活躍。日本児童文学者協会賞、小学館児童出版文化賞、日本童謡賞、路傍の石文学賞、巌谷小波文芸賞、モービル児童文化大賞など数多く受賞

<柿本幸造>
1915年広島県生まれ。「どんくまさんシリーズ」(至光社刊)、「おかえりくまくん」(佼成出版社刊)、「ごろりんごろんごろろろろ」(ひさかたチャイルド刊)などの作品がある。小学館絵画賞受賞。

 「くまの子ウーフ」の神沢利子先生と「どんくまさん」の柿本幸造先生のペアでお送りする絵本です。初版は1983年。

 お話は……

 小さな女の子が森へ出かけました。かごを下げておべんとうを持って、のいちごを摘みに行くのです。

 森にはのいちごがいっぱい。

 女の子が夢中でつんでいるうちに、おべんとうのサンドイッチが誰かに少し食べられていました。

 「きっとみちに迷った人がおなかがすいてたべたのね」

 女の子は気にせず残ったお弁当を食べました。

 翌日も女の子はのいちごを摘みに森へ出かけました。昨日よりたくさんのいちごを摘んでおべんとうのところへ戻ってくると、おべんとうは誰かにはんぶん食べられていました。
 「きっときのうとおんなじように、みちに迷った人が食べたのね」

 女の子は気にせず残ったおべんとうを食べました。

 その翌日も女の子はのいちごを摘みに森へ行きました。
 ところが、その日、おべんとうは全部食べつくされていて……
 とうとう、女の子は泣き出してしまいました。
 すると……

 ……というのがあらすじ。

 女の子がとにかく、可愛くておおらかで優しい。
 自分のお弁当が誰かにつまみ食いされたと知って、こんな風に解釈できるなんて、本当にいい子ですね。

 そして、女の子のおべんとうを全部食べちゃった犯人はと言うと……

 もちろん、「犯人」は無断でおべんとうを食べちゃっただけで逃げたわけではなく、ちゃんと女の子に償いをしてくれます。心優しい「犯人」だったのです。

ここからネタバレ 平気な方だけクリック
今回はネタバレしてしまいますが、お弁当を食べてしまっていたのは森のくまでした。
くまは、お詫びにたくさんたくさんのいちごを摘んでくれて女の子にプレゼントしてくれます。

 古くからの日本の絵本には、身体が大きくて気が優しいくまがよく登場します。
 わたしはくまものの動物ファンタジーが大好きなので、このブログでよくご紹介するのですが、最近は実際の熊が人里に下りてきてトラブルになることが増えてきたことから、くまものの動物ファンタジーをご紹介するときは、どうしても注意書きが必要になってきてしまいました。

 絵本やメルヘンのくまが心優しく動作がかわいらしいことから、熊は無害な野生動物だという誤解が広まっていますが、実際の熊は大変恐ろしい動物です。

 昔は小さな女の子がいくような場所に熊が来ることはなかったので、絵本の注意書きにこんなことを書く必要はなかったのですが、最近はシャレにならないような事件も増えてきてしまいました。
 現実の熊トラブルにメルへンの熊イメージを持ち出されると大変なことになってしまいます。

 これは、時代の流れで起きていることなので、ある意味仕方がないことなのですが、絵本や児童文学好きとしては複雑な気持ちです。

 けれど触れないわけにはいかない問題なので、最近はくまもののファンタジーをご紹介するたびに、この葛藤を率直に書くことにしています。
 メルヘンのくまはかわいい。けれど野生の熊は恐ろしいのです。たとえ子熊であっても。

 自分のおべんとうを食べられてしまっても、相手の立場を思いやって許せてしまえる女の子のやさしさとおおらかさ。
 そして、食べてしまったおべんとうのお詫びに素敵なプレゼントをもってきてくれた「犯人」。

 こころがほっこりとする、やさしいメルヘンです。

 字はすべてひらがな。
 文章のボリュームは見開きに最大で10行前後なので、ひらがなが読めるお子さまなら、ひとり読みで最後まで読み切ることができます。もちろん、読み聞かせにも。

 「だれだろうね?」「どうしてたべちゃったんだろうね?」と謎解きしながら親子で読むのも楽しいでしょう。

 春にぴったりの、あたたかな、ほのぼのとしたファンタジー。
 この季節の読み聞かせにぜひどうぞ。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はまったくありません。
 神沢先生のやさしい文章と柿本先生のやわらかな筆致で表現された、やさしい世界です。
 女の子の他人を思いやる気持ちや、おべんとうを食べてしまった「犯人」の心づくしの「お詫び」に心がほっこりします。

 読後はいちごジャムをたっぷりはさんだサンドイッチが食べたくなるかも。お弁当気分でね。

 

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