【どんくまさん】時をこえて愛されるロングセラー。不器用で愛すべきくまさんの絵本。【絵本】【4歳 5歳 6歳】
山の奥のそのまた奥にどんくまさんという熊が住んでいました。あるとき、どんくまさんは友だちが欲しくなり、のっそりのっそり旅に出ました……(どんくまさん 柿本幸造/絵 蔵富千鶴子/文 至光社)
この本のイメージ 動物ファンタジー☆☆☆☆☆ 未知との遭遇☆☆☆☆☆ 多様性☆☆☆☆☆
どんくまさん 柿本幸造/絵 蔵富千鶴子/文 至光社
<柿本幸造>
1915年広島県生まれ。「どんくまさんシリーズ」(至光社刊)、「おかえりくまくん」(佼成出版社刊)、「ごろりんごろんごろろろろ」(ひさかたチャイルド刊)などの作品がある。小学館絵画賞受賞。
<蔵富千鶴子>
1939年東京生まれ。子ども時代を山口県の海辺の町で過ごす。 1965年より至光社編集部にて月刊保育絵本「こどものせかい」の編集制作と絵本創作に携わる。どんくまさんシリーズ26冊のほか、「のらいぬ」(谷内こうた・絵)「ゆうやけいろの くま」(つるみゆき・絵)、「ちいさい イエスの おたんじょうび」(矢野滋子・絵 サンパウロ)などの絵本作品がある。
50年以上愛されるロングセラー絵本シリーズ、「どんくまさん」の記念すべき第1巻。初版は1967年です。
お話は……
山の奥のそのまた奥にどんくまさんという熊が住んでいました。
秋風が吹くころ、どんくまさんは友だちが欲しくなります。
そこで、のっそりのっそり山を下りて友だちを探しにゆきました。
山を下りるとうさぎさんたちの街がありました。
見たこともない車が道路を走っています。
たくさんの椅子がある大きい建物に入って、昼寝をしてしまったり、
道路工事の手伝いをしようとして水道管を壊してしまったり、
どんくまさんは失敗ばかり。
はたして、どんくまさんには友だちができたのでしょうか……?
……と、いうのがあらすじ。
どんくまさんの魅力は、素直で一生懸命なこと。でも、失敗しちゃうんですね。
何をしてもうまくいかないどんくまさんですが、気持ちだけは伝わります。
その不器用で一生懸命なすがたについつい許してしまう。
いなくなるとさみしいと感じてしまう。
気のいい、かわいい熊なのです。
わたしは、熊ものの動物ファンタジーは好きなほうなのですが、最近では都市開発が進んで熊が人里に下りてくる事件が増えており、そのニュースを見るたびに葛藤を覚えます。
熊の登場する児童文学や絵本の名作を小さなお子さまに読ませるのはよいことなのですが、それと同時にほんものの熊はかなり恐ろしい動物だと教える必要もある時代なのかもしれません。
熊って、見た目は本当にかわいいですし、ぬいぐるみみたいだし一見何の害もないように見えますからね。
この絵本の「どんくまさん」と「うさぎたち」は、本物の熊とうさぎが仲良くなるという意味ではなく、不器用で一生懸命で都会のしきたりを知らない人間と、町の人たちの交流の比喩としてお子さまにはご説明いただけたらと思います。
実際にほんものの熊が人里に下りてきてトラブルになれば、撃つしか方法がありませんので……
みんなと一緒にみんなと同じことができなくても、あたりまえのことをあたりまえに理解できなくても、それでも優しくてがんばりやのどんくまさんはその善良さでうさぎたちに受け入れられます。
優しいこと、善良なこと、一生懸命なこと……それらの素朴な美徳をしみじみと再確認する絵本です。
世の中が荒れているとき、心が疲れているとき、純粋で素朴なものを見ているとじわじわと心が回復してくるのを感じます。「どんくまさん」はそんな力がある絵本です。
字はすべてひらがな。見開きに最大で十行くらいなので、五十音が読めるお子さまならコツコツひとり読みで読み切ることができます。もちろん、読み聞かせにも。大人の和み本としてもおすすめです。
はじめましての方も、なつかしいと感じる方にも。
のんびりやさしいどんくまさんの絵本で、ほっと一息してみませんか。
忘れかけていた優しさを取り戻させてくれる絵本です。
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