【ちいさいおうち】78年前に生まれた絵本界のロングロングセラー。ちいさいおうちの動かない大冒険。【幼稚園~】

2024年2月13日

広告

ちいさいおうち バージニア・リー・バートン/文・絵 石井桃子/訳 岩波書店

しずかないなかに、ちいさいおうちがたっていました。やがてどうろができ、高いビルがたち、まわりがにぎやかな町になるにつれて、ちいさいおうちは、いなかのひなぎくの花がさく丘をなつかしく思うのでした。(表紙折り返しより)

この本のイメージ ノスタルジー☆☆☆☆☆ 不動なのに激動の運命☆☆☆☆ めでたしめでたし☆☆☆☆☆

ちいさいおうち バージニア・リー・バートン/文・絵 石井桃子/訳 岩波書店

 わたしが子どもの頃、いちばん好きだった絵本です。アメリカで1942年に初版が出版されており、なんと80年近く愛されてきた絵本ですが、まったく古さを感じさせません。

 風雪に耐える名作と言うのはこういうものなのでしょうか。普遍的なテーマであるだけでなく、絵はかわいらしくなつかしく、いつ見ても、どこをとっても、隅々にまで愛情が込められています。

 

絵は、アングルも場所もほぼ動きません。

 田舎のある丘の上に、とてもかわいらしい、「ちいさいおうち」が建っていました。このおうちを建てた人は、自分の孫の孫の孫の代までおうちが建っているようにと、とても頑丈に作りました。

 ちいさいおうちは、丘の上で、美しい自然を眺めながら、そこで暮らす家族たちの一生を幸せに見守り続けました。時々、遠くの夜空の明るい光を見て、「街とはどんなところだろう。一度は行ってみたいな」と思いながら。

 ところが、だんだんちいさいおうちの建っている田舎のほうにも、開発が進み、道路が通り、自動車が走り、鉄道ができ、電車が走り、高い建物が建ちと、そこが街になって行きます。

 変わらないのはちいさいおうちだけ。

 そして、ついに、ちいさいおうちは、高層ビルに囲まれてしまいます。
 人が住まなくなり、高いビルの影でさみしく建つちいさいおうち。いったい、どうなってしまうのでしょうか……

 と、言うお話。

 ラストはすっきりとしたハッピーエンドで、小さな子供が素直に「ああ、読んでよかったな」と思えるもの。

 また、この絵が78年前に手書きで描かれたと思うと、驚愕のクオリティなんです。「ちいさいおうち」の場所も大きさもアングルもほぼ変わらず、景色だけが移り変わっていくお話なのですが、それぞれの「ちいさいおうち」には微妙な表情の違いがあるのです。

 家を人間の一生の比喩としてとらえることもできますし、家と言う無機物にも感情や愛があるんだよという話にも受け取れます。自然を大切にしようという話にも、そして人の老後の話とも解釈できます。人によって、様々な受け止め方が出来る絵本です。

 子どもの頃、わたしはこれを読んで「もうだめだと思っても、とんでもない解決策がふってくることもあるんだな」と強く心に残りました。そして、「何事も、最初に丈夫に作っておくもんだな」とも。

 これは、家と言う、自身ではまったく動くことができない無機物の、長い長い旅の物語です。
 こんな旅もあるのだなあ、と子供心を動かされたのを覚えています。

 絵本と言っても文章が多めで、物語も長めですので、絵ばかりの絵本を卒業して長めの物語を読み始めた頃から。もちろん、読み聞かせにもおすすめです。絵本と小説の中間くらいの物語です。

 可愛らしく、どこかなつかしい気持ちになる絵本です。リビングなどにインテリアとして飾るのもおすすめ。差し入れやプレゼントにも最適です。
 大人が子どもに読み聞かせるのも良いのですが、小さなお子様がお年寄りに読んで差し上げるのにも向いています。誰がいつ読んでも、心なごむ絵本です。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はいっさいありません。いつ、どこで読んでも、あたたかい気持ちになれる絵本です。プレゼントにもおすすめです。かぶっても問題なし!時を超えて愛される名作です。

 大人が読んでも癒されます。休日のお風呂上りなどに、リラックスしてお読みになるのがおすすめです。

商品紹介ページはこちら

お気に入り登録をしてくださればうれしいです。また遊びに来てくださいね。
応援してくださると励みになります。

にほんブログ村 本ブログへ

広告