【ナンシー・ドルーミステリ】90年前から愛される少女探偵。幽霊屋敷の謎に挑戦【電子書籍】【小学校高学年以上】

2021年7月22日

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幽霊屋敷の謎 ナンシー・ドルーミステリ 2 キャロリン・キーン/作 渡辺庸子/訳 創元推理文庫

古時計事件を見事解決したナンシーは、新たな事件の以来を受けます。ミス・フローラが住むツインエルム荘に幽霊が出るというのです。はたしてそれは、ほんとうに幽霊なのでしょうか?いっぽうその頃、ナンシーの父、カーソン・ドルー弁護士はある危険な事件にかかわっていました……

この本のイメージ ハラハラ☆☆☆☆☆ ドキドキ☆☆☆☆☆ 一件落着☆☆☆☆☆

幽霊屋敷の謎 ナンシー・ドルーミステリ 2 キャロリン・キーン/作 渡辺庸子/訳 創元推理文庫

 90年前から愛される、少女探偵ナンシー・ドルーシリーズの第2巻。初版は1930年。1930年と言うと、第二次世界大戦より前だとご理解ください。いわゆる「戦前」です。

幽霊屋敷の謎 ナンシー・ドルーミステリ 2 キャロリン・キーン/作 渡辺庸子/訳 創元推理文庫
原題は
The Hidden Staircase

 ナンシーは、頭脳明晰で明るく快活、運動神経も抜群。正義感が強く直観力に優れ、行動力もある、魅力的な女の子です。欠点は、事件にのめりこむとデートや彼氏のことを忘れてしまうことくらい。裕福な家の令嬢ですが、運転手なんか使わずに、ダークブルーのコンパーチプル(幌つきオープンカー)を颯爽と乗り回し、どこへでも自分で行ってしまいます。

 作家のキャロリン・キーンは、ナンシーを生み出したストラテマイヤー工房の作家たちのチーム名。
 第1巻の「古時計の秘密」と同年に出版されているだけでなく、あきらかに作風が違うので、別の作家さんの作品でしょう。「幽霊屋敷の謎」は、「古時計の秘密」に比べると、かなりダイナミックで、危険も多く、スリリングです。

 さて、今回のあらすじは……
 友達のヘレンから、曾祖母のフローラと大おばのローズマリーが暮らす「ツインエルム荘」に心霊現象に似た事件が起き、時々貴重品がなくなるのだと相談される。さっそく調査に乗り出すナンシー。

 いっぽう、鉄橋建設のために鉄道会社の弁護士を勤める父親カーソン・ドルーには、魔の手が迫っていました……。はたして、ナンシーは幽霊屋敷の謎を解き、ミス・フローラを救えるのでしょうか。そして、父、カーソンの行方は?

 2007年に出版された新訳は、言葉使いなど注意深く翻訳されており、古さを感じさせません。携帯電話やスマートフォンがあればすぐ解決するような話ですが、それが「ない」ことに違和感を感じることなく、そして「古さ」を感じることもなく、すんなりと読めます。こういうテクニックって、うならされますね。

 今回のテーマは、現代にもある「地上げ問題」。こんな時代から、人間のやることは、ほとんどおんなじなんですねえ。
 これはオカルトファンタジーではなくミステリーなので、もちろん、幽霊なんていません。屋敷中に小型マイクが仕掛けられており、会話は盗聴され、心霊現象のふりをして脅され、大切なものを壊されたり奪われたりしても、毅然としてがんばるミス・フローラ。

 その姿に、正義感を燃やして助太刀するナンシーの物語です。ところが、ものごとは熱意だけではどうにならず、もっとも頼りになるはずの父、カーソン・ドルーさえ、謎の失踪を遂げてしまいます。この危機にナンシーはどう立ち向かうのでしょうか。

 おそらく、チーム「キャロリン・キーン」の明確な意図があると思うのですが、事件に立ち向かう人たちは全員女性なんです。屋敷の持ち主、ミス・フローラ、その娘でありヘレンの大おばローズマリー、そしてナンシーの友達へレン、ナンシー、ドルー家の家政婦で要所要所で励ましやアドバイスをくれるハンナ。

 彼女たちが力を合わせて、問題を解決してゆきます。もちろん、最終的には警察の助力を得ますし、助けてもらったりもするのですが、その警察でさえ、ナンシーの力を必要とすることも。しかも、お父さんのカーソンは誘拐されちゃう。

 今回も、ナンシーは持ち前の「直感」を使い、事件に突進していきます。読者が知らなかった事情が後で明かされることが多いので、ミステリとありますが、実は推理はしない「事件簿」タイプ。

 とくに今回はどちらかというとサスペンス風味が強く、事件の経緯も詳しく書かれており、リアリティがあります。ストーリー上は人が死なないとは言え、現実であれば何人か死んでいそうなくらいの危険なエピソードが満載です。

 でもナンシーは、おびえたり落ち込んだりすることもなく、明るく謎に踏み込んで行きます。

アメリカでは去年
映画化されたようです。

 可愛らしく魅力的に描かれていますが、強靭。いや、本当、鋼のメンタルですよ、ナンシー。
 このスーパーお嬢さんを90年前に生み出したアメリカって、つくづくただならない国だと思います。

 文章は読みやすいので、かしこい子なら小学校高学年から大丈夫だと思うのですが、漢字には最低限の振り仮名しかふっていないので、一般的には中学生から。でも、ミステリ好きなお子様なら、ぜひ挑戦してみてください。そんなにボリュームはないので、さらっと読めます。

 大人でも、「人が死なないサスペンス」を読みたい気分の時にはおすすめです。強い女性たちが大活躍する、さわやかな探偵小説です。電子書籍版もあります!

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 危機一髪、みたいな怖いシーンは、わりとあります。けれども、誰も死にませんし、最後には全部解決します。
 たとえるなら、水戸黄門みたいな。「怖そう」なシーンはあるけど、本気で怖いわけではない、って感じの物語です。そうとわかっていれば読める方にはおすすめです。人の死なない探偵小説を読みたいときに。
 食べ物のシーンはどれもおいしそうです。あたたかい紅茶をお供に、ぜひどうぞ。

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