【ナンシー・ドルーミステリ】ナンシーの偽者現る?入り組んだ陰謀を暴け【小学校高学年以上】

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ライラック・ホテルの怪事件  ナンシー・ドルーミステリ 4   キャロリン・キーン/作 渡辺庸子/訳 創元推理文庫

友人が買収したライラック・ホテルに招待されたナンシーと親友へレン。ところが、ホテルでは怪事件が頻発。幽霊が出たり、ナンシーたちの泊まっているコテージが火事になったり……

この本のイメージ ターゲットはナンシー☆☆☆☆☆ 危機に継ぐ危機☆☆☆☆☆ 怪しい人ばかり☆☆☆☆☆

ライラック・ホテルの怪事件  ナンシー・ドルーミステリ 4   キャロリン・キーン/作 渡辺庸子/訳 創元推理文庫

 チーム「キャロリン・キーン」が送る、ナンシー・ドルーミステリ四作目。「キャロリン・キーン」は、ナンシー・ドルーを生み出した「ストラテマイヤー工房」の作家たちのチーム名。ナンシー・ドルーシリーズは、今なおアメリカで愛され、本国では200作以上が刊行されているようです。

ライラック・ホテルの怪事件  ナンシー・ドルーミステリ 4   キャロリン・キーン/作 渡辺庸子/訳 創元推理文庫

 シリーズの主人公ナンシー・ドルーは、敏腕弁護士カーソン・ドルーの娘。快活で聡明、スポーツ万能、直観力と行動力にすぐれた、魅力的な金髪のお嬢さんです。このシリーズのなかでナンシーは、ずっとずっと18歳らしいので、サザエさんの星の人ですね。

 さて、少女探偵として有名になってきたナンシー、ついに彼女自身が狙われる事件が起きました。

 友人のエミリー・ウィロビーが買収したライラック・ホテル。そのホテルのリニューアルオープンとエミリーの結婚を祝うためにナンシーが親友へレンとホテルを訪れます。

 ところが、ホテルでは怪事件が頻発、エミリーの宝石も盗まれて大事件に。そんなとき、ナンシーの自宅には泥棒が入り、そして、ナンシーの掛け払い用「チャージ・プレート」が盗まれてしまいます。その後「パーク百貨店」から、ナンシーが高額の買い物をしたらしいという知らせが……

 ナンシーの偽者がいる!
 この危機を彼女はどう乗り越えるのでしょうか。

 と、言うのが今回のあらすじ。

 このお話は、1930年に出版されてから、一度1960年代にリライトされた物語のようです。
 どこが変更されたのかはわからないのですが、ほかの作品に比べると、やや展開にわかりにくいところがあるのはそのせいでしょう。

 今回は、ナンシーが友人のホテルで起きた難事件を解決するために立ち上がったと思いきや、相手のターゲットはナンシーだったというお話。次から次へとナンシーを危機が襲い、しかも、誰が犯人なのかわかりません。誰もが怪しいのです。

 そのなかで、ナンシーはこの危機をどう乗り越えてゆくのか、と言うハラハラした展開です。

 今回、興味深いなと感じたのは、「チャージ・プレート」と言うカードの存在です。今で言う「クレジット・カード」のようなものなのですが、金属製のプレートで、これを店に見せてサインをするだけで買い物ができ、支払いは後でまとめて清算することができたようです。小切手とも似ていますね。

 1930年代にアメリカの上流階級では、もうすでにこういう支払いシステムがあったんですね。これを電子化したものがクレジットカードだったのか……と納得。なるほど、もともとシステムがあって、電子化しただけだったんですね。そりゃ、作りやすい。

 また、「幽霊屋敷の謎」に引き続き、このライラック・ホテルにも、「屋敷の主が従業員を見張るための隠し部屋」があるのが興味深いです。この物語の1930年にはすでに廃れており(奴隷制度が廃止されているので)今はそういう部屋を作ることはない、と明言されていますが、それ以前の時代はごくふつうにあり、また、建物の所有者が変更になった場合、新しい所有者には建物のそういった隠し設計は知らされない、と言うのも共通点のようです。

 昔の上流階級の建物って、忍者屋敷みたいだったのですね。どこでもそういうものなのかもしれません。

 今回は、そのようなシステムを使い、ナンシーが追い詰められてゆきます。それを、持ち前の直感と行動力でぶち破ってゆく物語です。もちろん、アクションもいっぱい。

 ナンシーのすごさって、美人でかわいいのに武闘派なのです。調査はいつも真正面からだし、危機に際しては逃げずに踏み込んで戦ってしまうタイプ。しかも、色仕掛けどころか自分の美しさを利用するような手段はいっさいとらず、男性の助けなんて待っちゃいない。こんなにきれいでかわいいのに(そして、別にバサバサしていたり男装しているわけではなく、身だしなみはきちんとしていて、おしゃれ)解決方法は力こぶかよ! という、おどろきのキャラクター。

 これは、わざとなんでしょうねえ。1930年代(!)こんなヒロイン像を打ち立てたストラテマイヤー工房に脱帽してしまいます。

 そして、今回、ナンシー自身が狙われるようになったということは、ナンシーの存在が「素人探偵」から、ひとりの頼れる探偵として認知されてきたということでしょう。いままでは、巻き込まれた事件に対してなりゆきで一肌脱いできた彼女でしたが、これからはどうなりますか。

 危機一髪のシーンの連続なのですが、初期作品はストラテマイヤー工房の「死人は出さない」方針のため、安心して読めます。そして、ラストはすっきりと解決。昔のアメリカの上流階級の様子も伺える、ナンシー・ドルーミステリ初期シリーズ、かっこいい女の子のアクションものが読みたい時にはおすすめです。

紙の本が入手困難な場合は、電子書籍版があります。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 危機一髪のシーンは多いのですが、殺人などのシーンはなく残虐なシーンや暴力シーンも注意深く避けられており、安心してお読みいただけます。水戸黄門や大岡越前みたいなものと考えていいでしょう。(ていうか、最近の方は水戸黄門や大岡越前はご存知なのだろうか……)必ず無事に決着することと、人死にが出ないことがわかっている、安心できるサスペンスものです。
 水戸黄門にも、一シリーズに一回、かならず「黄門様の偽者がでてくる」話がありますが、まさにああいう感じです。
 サスペンスやミステリが読みたいけれど、残酷シーンはダメというときに、おすすめ。
 さわやかな美少女探偵の物語です。

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