【パセリ伝説】新たな仲間たちと新たな敵。決意の大冒険。乙女チック貴種流離譚第4巻。【水の国の少女】【小学校中学年以上】
ミラクル・オーの力でアイスランドまで移動したパセリたちは、風の国の王子ステファンと出会う。彼と自分の意外な関係を知ったパセリ。彼の妹ミントと記憶を失った隼人とともに北海道へと戻るが、そこには敵が罠を張り巡らしていたのだ……不思議な力を持つ女の子パセリのミステリアスファンタジー第4巻。(パセリ伝説 ~水の国の少女~ memory4 倉橋燿子/作 久織ちまき/絵 講談社青い鳥文庫)
この本のイメージ ファンタジー☆☆☆☆☆ 貴種流離譚☆☆☆☆☆ 記憶喪失☆☆☆☆☆
パセリ伝説 ~水の国の少女~ memory4 倉橋燿子/作 久織ちまき/絵 講談社青い鳥文庫
<倉橋燿子>
広島県に生まれる。上智大学文学部卒業後、出版社に勤める。その後、フリーの編集者、コピーライターを経て、執筆活動をはじめる
<久織ちまき>
新潟県生まれ。横浜国立大学工学部で建築学を学ぶが、進路再考のため休学。その間に執筆活動やカットイラストの仕事をはじめ、2000年に『野望円舞曲』(徳間書店デュアル文庫)の挿絵でメジャーデビュー。以後、ライトノベルの挿絵などを中心に活躍。
多くの少女たちに愛された、乙女チック貴種流離譚「パセリ伝説」。第4巻の初版は2007年です。
このシリーズは一話完結ではなく、お話が1巻から完全に続いていますので、まずは「パセリ伝説 ~水の国の少女~ memory1」をお読みください。
「パセリ伝説 ~水の国の少女~ memory1」のレビューはこちら↓
今回のお話は……
ミラクル・オーの力でアイスランドまで移動してしまったパセリ、レンゲ、マリモ、清太郎。そこで風の王国ノイの王子ステファンとその妹ミントと出会う。そしてそこには記憶を失った隼人が。
突然告げられたステファンとの関係に戸惑いつつも、パセリは記憶を失った隼人とミントを北海道に連れ帰る。
しかし、そこには敵フラム国の者たちがひそかに罠を張り巡らせていた。
パセリがよく知る身近な人たちの中に、以前から敵はいたのだ。
次々と予想できない困難が襲うなか、パセリと仲間たちは、結束を深めてゆく。
はたして、隼人の記憶は戻るのか? そして、敵の正体とは?
……と、いうのがあらすじ。
三巻のラストで舞台がいきなりアイスランドまで移動し、その後は新キャラが続々登場、ダイナミックな展開を見せます。
このお話は初版が2007年の夏。リーマン・ショックが2008年だったので、それまではアイスランドは空前のバブルでした。なので、当時は遠いけれどあこがれがある国だったことは確かです。日本からのアイスランドツアーなども多く組まれた時代でした(日本も景気が良かった)。
その後、欧州金融危機でアイスランドはバブルがはじけてしまったのですが、あれから年月がたち、今は大規模データセンターなどがあって、力強く持ち直しているようです(今調べた)。寒いと人間にはきついけれどコンピューターには優しいですね。
作中では、パセリちゃんたちはアイスランドでノイ国の王子様ステファンと出会い、華やかなクリスマスを過ごします。
そして、パセリちゃんは自分たちには敵がいて、大きな危険から逃れて北海道に来たこと、その「敵」は今でも自分たちを狙っていることなどを知るのでした。
パセリちゃんには不思議な力があり、それが一つずつ開花してゆくのも物語の面白さのひとつ。
1巻で開花した第1の能力は、光のエネルギーを発して相手の心の声を聞くこと。第2の能力はほんとうに見たいものの今のすがたや様子を知ること。第3の能力はその人の本心を知ること。
今回ひらいた第4の能力は、相手の過去を知ることです。
また、パセリちゃんを襲う危険が大きくなったことで、パセリちゃんには仲間が出来ます。親友のレンゲちゃんや、遠縁の清太郎、兄の光矢だけでなく、ツンツンしていたはずのマリモちゃんや、ステファンの妹ミントちゃんも加わり、固く結束したチームになるのでした。
記憶を失い、ひとりぼっちだったパセリちゃんは、いまや力強いチームの牽引役です。
キラキラ王子様のステファン、影のある隼人、やさしい兄光矢など、かっこいいキャラクターも次々と現れ、乙女ゲームのような要素もあり、SFやファンタジーの要素もある、心躍る魅力が盛りだくさんの少女小説です。
パセリちゃんが守られているばかりではなく、守るために行動するところもかっこいい。
文章は読みやすく、すべての漢字に振り仮名が振ってある総ルビです。
SFやファンタジー、乙女ゲームが好きな子にはおすすめ。
乙女心がいっぱいの貴種流離譚、強い女の子の冒険ファンタジーが読みたい方は、ぜひどうぞ。
※この本には電子書籍もあります。 全12巻まとめ買いはこちら。
※紙の本は現在、Amazonでは新品は入手困難です。紙の本をお求めの場合は、古書でお求めになるか、図書館、書店にある場合があるので、お近くの書店の書店員さんにお尋ねください。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
いまのところ、ネガティブな要素はありません。冒険物語ではありますが流血シーンなどはなく、気をつけて書かれています。
ただし、後半の展開はかなりヘビーなようです。もしも繊細なHSCであっても「そういう厳しい展開になるのだな」と事前に身構えていればOKなお子さまならば、おすすめです。
SFや、ファンタジーが好きなお子さまに。
読後は、アイスランド風のうすーいパンケーキ、ポンヌコークルを。
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