【パセリ伝説】大切な人たちを癒すすべを探す大冒険。乙女チック貴種流離譚第3巻。【水の国の少女】【小学校中学年以上】
おばあちゃん、馬のデューク、犬のラビが謎の病で倒れる! 彼らを救う方法は青龍湖の底の秘密の部屋に? パセリは湖に向かうが……不思議な力を持つ女の子パセリのミステリアスファンタジー第3巻。(パセリ伝説 ~水の国の少女~ memory3 倉橋燿子/作 久織ちまき/絵 講談社青い鳥文庫)
この本のイメージ ファンタジー☆☆☆☆☆ 貴種流離譚☆☆☆☆☆ 記憶喪失☆☆☆☆☆
パセリ伝説 ~水の国の少女~ memory3 倉橋燿子/作 久織ちまき/絵 講談社青い鳥文庫
<倉橋燿子>
広島県に生まれる。上智大学文学部卒業後、出版社に勤める。その後、フリーの編集者、コピーライターを経て、執筆活動をはじめる
<久織ちまき>
新潟県生まれ。横浜国立大学工学部で建築学を学ぶが、進路再考のため休学。その間に執筆活動やカットイラストの仕事をはじめ、2000年に『野望円舞曲』(徳間書店デュアル文庫)の挿絵でメジャーデビュー。以後、ライトノベルの挿絵などを中心に活躍。
多くの少女たちに愛された、乙女チック貴種流離譚「パセリ伝説」。第3巻の初版は2007年です。
お話が1巻から完全に続いていますので、まずは「パセリ伝説 ~水の国の少女~ memory1」をお読みください。
「パセリ伝説 ~水の国の少女~ memory1」のレビューはこちら↓
このサイトでは、HSPやHSC(人一倍敏感な人たち)のお子さま向けに、なるべく明るく幸せなお話をご紹介するようにしています。しかしながら、アクションものや、バイオレンスもの、ビターでせつない結末の物語もときに紹介することもあります。
「ナルニア国ものがたり」は出だしこそ可愛らしいお話ですが、だんだんシビアなお話になってゆきますし、「ハリー・ポッター」シリーズは、ご存知の通り、終盤はかなり過酷です。
この「パセリ伝説」は初読ですが、いろいろと調べてみるとどうやら終盤はかなり過酷な展開になるようで、このブログの方針として、それだけは事前に書いておく必要があると思いました。
このサイトでは、もしもヘビーな展開やシビアな表現が含まれる場合は、まえもってお知らせする、と言うスタイルで書いています。このスタイルは、賛否あると思います。個々の作品のスタイルを否定するものでは無いとご理解いただけるとさいわいです。(ちなみに、わたしは好きだと感じた本だけをご紹介しています)
さて、今回のお話は……
自分の正体を少しずつ思い出してきたパセリ。
そんなとき、大好きな馬のデューク、犬のラビ、そしておばあちゃんが病で倒れてしまう。
おばあちゃんたちの命を救うには、青龍湖の底にある、あの秘密の部屋に行かなければ……。
こっそりでかけたパセリでしたが、運悪くマリモに見つかってしまい、一緒に冒険するはめに。
一方、パセリが心から信頼していた隼人は、突然遠い外国に引っ越してしまうと聞き、衝撃を受けます。
隼人との別れが辛いパセリでしたが……
……と、いうのがあらすじ。
今回のわたし的ハイライトは、マリモちゃんの活躍です。
いままで、「いじわるなクラスメイト」のポジションで、パセリの邪魔をしたり嫌味を言ったりとあまりいいところがなかったマリモちゃんですが、なんだか妙な可愛げが出てきて、魅力的になってきました。
それに、味方になるとなかなか心強いのです。
ふわっと優しいレンゲちゃんと、勝気でぐいぐい来るマリモちゃん。パセリといい三人組になるのかもしれません。これは楽しみ。
また、忘れちゃいけない大切な設定に、パセリには不思議な能力があって、それが一つずつ開花してゆくというものがあります。
1巻で開花した第1の能力は、光のエネルギーを発して相手の心の声を聞くこと。第2の能力はほんとうに見たいものの今のすがたや様子を知ること。今回ひらいた第3の能力は相手の心の中に入り記憶をたどり、その人の本心を知ることでした。
こうして、パセリちゃんはひとつひとつ、不思議な能力を開花させてゆくようです。
北海道の片田舎から始まったこのお話ですが、この3巻で、とんでもない展開を見せます。いきなり舞台が大きく移動しますが、これからどんな冒険が待っているのでしょうか。この奇想天外さは、少女小説の枠を超えています。
乙女心がいっぱいの貴種流離譚、続きを読むのが楽しみです。強い女の子の冒険ファンタジーが読みたい方は、ぜひどうぞ。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
いまのところ、ネガティブな要素はありません。冒険物語ではありますが流血シーンなどはなく、気をつけて書かれています。
この巻でいきなり物語のスケールが大きくなるので驚きます。ファンタジーやSFが好きなお子さまに。
ただし、後半の展開はかなりヘビーなようです。もしも繊細なHSCであっても「そういう厳しい展開になるのだな」と事前に身構えていればOKなお子さまならば、おすすめです。
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