【ピッピ船にのる】世界イチつよい女の子ふたたび!絶対無敵の児童小説【小学校中学年以上】

2020年9月2日

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ピッピ船にのる

トミーとアンニカのおとなりの家で、たったひとりで暮らしているピッピ。でも、ピッピはぜんぜん大丈夫。仲良しのサルのネルソン氏もいるし、スーツケースに金貨はぎっしり、そして馬を持ち上げられるほどの怪力だしね。ある日、行方知れずのパパが帰ってきて……

この本のイメージ 抱腹絶倒☆☆☆☆☆ 驚天動地☆☆☆☆☆ 怪力無双☆☆☆☆☆

ピッピ船にのる アストリッド・リンドグレーン/作 岩波少年文庫 角川つばさ文庫ほか 

<アストリッド・リンドグレーン> スウェーデン生まれ。小学校の先生や事務員をしながら数多くの作品を発表し続けた。国際アンデルセン賞受賞。作品に「長くつ下のピッピ」「やかまし村の子どもたち」など。

ピッピ船にのる 長くつ下のピッピ
挿絵がかわいい角川版
ピッピ船にのる
オーソドックスな岩波少年文庫

 「長くつ下のピッピ」の続編、「ピッピ船にのる」のご紹介です。「長くつ下のピッピ」は、オーソドックスなバージョンが岩波少年文庫から出版されています。


 わたしは、小さい頃に岩波版で読んだのですが、ピッピ入門編としては角川つばさ文庫版がおすすめです。

 角川つばさ文庫版は、文章はテンポよくわかりやすく、かわいらしい今風のイラストがふんだんに挿入されています。また、ベニテングダケを食べたり、たくさんの薬を混ぜて一気飲みしたり、あきらかに子どもが真似すると危ないシーンには「キケンなのでみなさんはマネしないでね」と注釈が入っていて、親切なつくりです。

 ただ、どうやら角川版の「船にのる」は残念ながら絶版のようです。(第一巻の「長くつ下のピッピ」は市場で手に入ります)「長くつ下のピッピ」の魅力を知る入門編としては角川版、しっかり読むなら岩波少年文庫版と言ったところ。

 前作「長くつ下のピッピ」で、トミーとアンニカのお隣の一軒家に引っ越してきたピッピですが、相変わらず学校なんて行かずに破天荒な日々を暮らしています。

 でも、遠足に行きたくなって、また学校に戻ってくるのも前回と同じ。学校の先生は、そんなピッピに辛抱強く勉強を教えようとします。先生、いい人ですね。

 相変わらず、ピッピは大人のルールなんてお構い無しでメチャクチャなのですが、でも、誰かがいじめられているのはそれが動物であっても許さないし、困った人は絶対に助けるんです。だから、どんなにムチャクチャでも、自分勝手な子じゃないのです。

 ピッピには、子どもの頃の「こうだったらいいな」が全部詰まっています。だから、子どもの頃に読むと最高に素敵な女の子なんですけど、大人になってから読むと心が大人になっちゃってますから「近所にこんな子がいたら」とか「うちの子がこんなだったら」とか「うちの子にこんな友達がいたら」とか思ってしまい、子どもの頃みたいに楽しめなくなっちゃう物語なのです。(ちょっとさみしい)

 そういうお話を、大人になってから書いてしまうリンドグレーンが天才すぎます。

 たった一人で暮らしているピッピには、ああしろこうしろと言う口うるさい大人はいません。「もう寝なさい」と言われることもないので、好きなだけ夜更かしもできます。大金持ちなので、お菓子やおもちゃも好きなだけ買えますし、料理上手なので一人でもおいしいものを作って食べています。(そうなんです、ピッピはお料理が大得意なんですよ。ジンジャークッキーを床で作るけどね)
 そして、馬を持ち上げられるくらいの力持ちなので、強盗に襲われたって怖くありません。

 そして、じつは心がとても優しくて、正義感が強いのです。今回、馬を虐待していた男の人は、ピッピにお手玉されちゃう。

 このお話では、行方不明だったピッピのお父さんが帰ってきます。この人が、期待を裏切らない人で、さすがはピッピのお父さんだわ、と言う人でした。お父さんは、ピッピと一緒に暮らすために迎えに来たのです。

 ピッピは、行ってしまうのでしょうか……と、言うのが今回のお話。

 今回も、ピッピのルール無用の大活躍は健在です。
 ピッピは学校に行っていないので算数は苦手だし、字や文章もちゃんとは書けないのですが、人生の真理みたいなものはちゃんと知っているんです。

 今回感動したのはここ。

 「さあてと。それじゃはじめるかな」ピッピが声をあげました。「まっさきにピアノを買おうかと思うんだけど」
 「だけどさ、ピッピ」トミーがいいました。「きみって、ピアノをひけないじゃないか」
 「ためしたこともないのに、ひけるかひけないか、わかりっこないでしょ」ピッピがいいました。「ためそうったって、いままでピアノをもってなかったんだもん。いっとくけどね、トミー━━ピアノもなしでピアノをひくのって、すっごく練習しないと、できないんだよ」(p24)
(角川つばさ文庫「新訳 長くつ下のピッピ 船にのる」より)

 そりゃそうだよ、ピッピ。あまりにも正しい。

 よくよく考えたら、ピアノみたいな高価な楽器は、たいていの場合、本人が弾きたいか弾きたくないかじゃなくて、大人が子どもに弾かせたいか弾かせたくないかが基準で買っているんですよね。
 でも、本当ならピッピのように、子ども本人が自分の意思で「弾いてみたいな」と思って買うのが正しいはず。

 こんなふうに、さりげないシーンで、はっとさせられることが多いのです。

  しょっちゅう地震で地面が揺れたり、火山が噴火したり、台風や大雨、そして伝染病など、わたしたちの子どもの頃と比較するとたいへんな時代になりました。
 今このとき、ピッピのように生きるのはさすがに無理だとしても、本を読むことで、今を生きる小さな子どもたちに、すこしでも、のびのびとした気持ちになっていただけたら。だって、子ども時代は一度きりですもんね。

 生命力に満ちた、夢いっぱいのたくましいお話です。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 子どもの頃に読むのと大人になってから読むのでは、大幅に感想が違ってしまう系のお話です。でも、たまには童心に戻りたいと思ったらおすすめ。大人なら岩波少年文庫版で読んでみてください。
 読んでいるあいただけは大人視点を脇に置いて読むと、すがすがしい風が吹きます。

大人なら岩波版で読むのがオススメです。
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