【かぎばあさん】和製メアリー・ポピンズ?かぎっ子たちの救世主、不思議なスーパーおばあちゃん。読み聞かせにもおすすめです。【小学校低学年以上】

2024年1月18日

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ふしぎなかぎばあさん 手島 悠介/作  岡本 颯子/絵 岩崎書店

広一くんは鍵っ子です。ある雪の日、大切な鍵をなくしてしまいました。家に入れなくて困っていると、不思議なおばあさんに出会います。彼女は「かぎばあさん」。困っている鍵っ子たちを助けてくれる、不思議なおばあさんです。

この本のイメージ 不思議☆☆☆☆☆ ほのぼの☆☆☆☆ なつかしい☆☆☆

ふしぎなかぎばあさん 手島 悠介/作  岡本 颯子/絵 岩崎書店

 なつかしい。小学校低学年用の童話です。平易な文章なので、すぐ読めると思います。
初版当時、「鍵っ子」と言う言葉が生まれたばかりでした。

 広一君の身の上は詳しくは書かれていませんが、お母さんと二人暮らしなんでしょうね。テストの点が悪くても怒ったりしない優しいお母さんです。

 でも、広一君は、テストの点が悪かったのを、なかなか言い出せなかったんです。こんなにいいお母さんなのに。たぶん広一君がいろいろと悩みやすい繊細な性格なのと、お母さんが大好きすぎて、悲しませたくなかったんでしょう。

 テストの点で悩みながら歩いていると、家の鍵をなくしてしまい、家にも入れず、雪に降られ、ふんだりけったりのところに、不思議なおばあさんに出会います。

 彼女は、かぎばあさん。鍵をなくした鍵っ子の救世主です。
学生時代 、子供の頃鍵っ子だったという友達がいて、「こんな人がいたら、子供にとっては本気で救世主だよ」と言ってたのを思い出します。

 かぎばあさんが最初に書かれた時代は、世の中には携帯電話はないし、町にはマクドナルドやコンビニ、チェーン店のカフェなどもなく、親に連絡を取る手段も時間を潰す場所もなかったのです。実際、この物語では、広一君はトイレにも難儀します。

 こんな時代に、一人で留守番をしないといけない子供の寂しさと不便さ。そんなときに、助けに来てくれる人がいたら、どんなにいいだろう。
かぎばあさんは、鍵っ子の夢なんです。

 かぎばあさんは、不思議な鍵でドアをあけてくれ、不思議な黒いカバンから次々と食料品を取り出し、豪華でおいしい晩御飯を作ってくれます。

 このカバンというのが、肉からフルーツから紙芝居から、なんでもはいってるんです。少しメアリー・ポピンズのゴブラン織りの不思議なカバンを思い出させます。

 おいしい晩御飯を子どもに食べさせながら、悩みを聞いてくれ、最後には紙芝居を見せてくれます。紙芝居を見終わったころには広一君の悩みは消えていました。

 そして、親が帰宅する頃には、さっそうと去っていくのです。別の鍵っ子を助けに。

 かぎばあさんのシリーズは、全部で14冊出ています。わたしは、最初の話しか知らなかったので、これからコツコツ読むのが楽しみです。(2020.3.25追記 「ふしぎなかぎばあさん」以外はあまり市場にないようです。残念。もったいないですね。ただ、キンドル版はあるようです。)

 お留守番の多いお子様におすすめの童話です。主人公の広一君が、繊細で悩みやすく、思いやりにあふれた子なので、内向的で繊細なお子様にぜひ。女の子にも男の子にも。

 かぎばあさんのお料理が、おいしそうでおなかがすいてきます。食べるシーンがおいしそうなファンタジーは名作です。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 文章的にはネガティブな要素はありません。安心してお読みいただけます。

 ただし、現実にはかぎばあさんはいないので、小さいお子様には「こういう人は現実にはいないから、実際にかぎを持った人が家のドアを開けようとしたら、それは悪い人だよ」と教える必要はあるかもしれません。(哀しいことですが…)

かぎばあさんは人間ではないかも、と言う表現は作中にあります。雪の日に現れたかぎばあさんには、足跡が無いのです。なので、こういう人は実際にはいないんだよという描写でもあります。 読み聞かせの時には、ここで説明してあげてください。

 読んだ後、おなかがすいてきますので、その日の晩御飯は、ポークソテーがいいでしょう。デザートにはいちごをどうぞ。

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