【エルマーとりゅう】竜を助けたエルマーの帰り道。おうちに帰るまでが冒険です。【小学校低学年以上】

2024年2月12日

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エルマーとりゅう ルース・スタイルス・ガネット/作 ルース・クリスマン・ガネット/絵 わたなべ しげお/訳 こどもの本編集会/編集 福音館書店

どうぶつ島から竜を助け出したエルマーは、竜に乗って家へ帰ろうとしますが、帰り道は意外と遠かったのです。長い距離をはじめて飛んだ竜は疲れ果ててしまい、嵐に巻き込まれて、エルマーたちはある島にたどり着きました。そこは、鳥たちの楽園でしたが、ある秘密があったのです……

この本のイメージ 冒険☆☆☆☆☆ 秘密☆☆☆☆☆ 好奇心☆☆☆☆☆

エルマーとりゅう ルース・スタイルス・ガネット/作 ルース・クリスマン・ガネット/絵 わたなべ しげお/訳 こどもの本編集会/編集 福音館書店

<ルース・スタイルス・ガネット>
アメリカの作家。1923年ニューヨーク生まれ。化学者だったが、その後、児童図書協議会の職員として働く間に、「エルマーのぼうけん」(福音館書店)を執筆。ほかに「エルマーとりゅう」「エルマーと16ぴきのりゅう」

<ルース・クリスマン・ガネット>
ルース・スタイルス・ガネットの母親。アメリカの有名イラストレーターで、ニューベリー賞を受賞したキャロル・シャーウィンベリーの「ミス・ヒッコリー」などを手がける。

 「エルマーのぼうけん」の続編です。
 「どうぶつ島」で竜の子どもを助け出したエルマーの帰り道の冒険になります。

 子どもの竜の背に乗って空を飛ぶという夢をはたしたエルマーですが、行きは船で来たからいいものの、帰りは竜がいるので船に乗れません。カモメに方角を聞き、竜の背に乗って帰ることにします。

 この童話、こういうところが、ちゃんと理屈が通っているんですよね。

 ところが、嵐に巻き込まれ、はじめて遠距離飛行をした竜はへとへとになって力尽きてしまいます。
 ついに、ある浅瀬に降り、立ったまま寝ることに。エルマーはその竜の背で寝ます。

 一夜明けると、そこは、ある島のそばでした。なんとか上陸すると、りんごの木があるし、かつて人が上陸した気配があります。

 そこは、カナリアの楽園、カナリア島でした。

 かつて、自分の家にいたフルートというカナリアに出会い、エルマーは、カナリア島の王様に紹介されます。なぜなら、王様は重い病にかかっていて、もしかしたら人間のエルマーなら、その病を治せるかもしれないと思われていたからです。

 それは「しりたがりのびょうき」。まず王様が、「何か」をどうしても知りたくなって知りたがりの病にかかり、そして、その王様をみて、他のカナリアたちも「王様が何を知りたいのか」知りたくて知りたがりの病にかかり、ついに島のカナリアぜんぶが病にかかってしまったというのです。

 なぜ、そんな病にかかってしまったかと言うと、かつてこの島にいた人間が、初代のカナリアの王様カン一世の前で、木の下に「何か」を埋めたから……。

 そりゃあ、鳥はスコップ持って土を掘り返せませんもんね。

 エルマーは、カナリアたちの願いを聞いて、埋められていたものを掘り出してあげます。
 そして……というお話。

 作者は、もと化学者だったようで、「知恵」や「知識」について、深い想いがあるようです。今回のお話のテーマは「好奇心」。なぜかな、どうしてだろう、と、わからないことがあると、ずっと苦しい、というお話です。

 そして、鳥が土を掘り返せないように、どうしたって出来ない事はあるわけですね。
 けれど、鳥がそこに「何か」が埋められたことを覚えていなければ、エルマーはそれを発見する事はできなかったのです。

 土に埋まっていたものを「富」とか「知識」だとすると、「そこにはなにかがある、と知っている人」と、「それを掘り起こす人」の両方がいてはじめて、掘り起こされるものがある、と言うことだと思います。

 もちろん、エルマーをそこまで運んできた竜の助力も忘れてはいけません。

 何かにたどり着くとき、必ず、様々な存在の助力があって発見されるのだ、ってことなんだろうと思います。

 ここで面白いのは、宝をたくさん持っている王様は、結局その宝物をもとの場所にうめておくしかできず、すこしだけ分けてもらったフルートや、王妃様のほうが自分の巣に宝を持っておけるということ。

 つまり、宝も知恵も、自分の持てるぶんしか持てないってことでしょう。

 たくさんの冒険をして、エルマーが家に帰ると、おうちも以前よりずっとあたたかい家になっています。口うるさかったお母さんにも変化がおきていました。どう変わったかは読んでのお楽しみ。 
 
 このおはなしは「エルマーと16ぴきのりゅう」に続きます。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はひとつもありません。安心してお読みいただけます。みかんをおいしそうに食べるシーンがあるので、食べたくなるかもしれません。

 みかんの季節じゃないときは、オレンジジュースかオレンジティーを。
 「エルマーのぼうけん」から続けてお読みください。

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