【せんたくかあちゃん】なんでもあらっちゃうよ! 頼もしいおかあちゃんの絵本。【3歳 4歳 5歳】
せんたくの、だいのだいのだいすきなかあちゃんがいました。「きょうもいいてんきだねえ」。くるくるとうでまくりをして、たらいでごしごし。そんなとき、かみなりさまがおっこちてきて……
この本のイメージ 昔ながらの洗濯☆☆☆☆☆ 頼もしいおかあちゃん☆☆☆☆☆ かみなりさま☆☆☆☆☆
せんたくかあちゃん さとうわきこ/作 絵 福音館書店
<さとうわきこ>
さとう わきこ(1937年 ~)は、日本の絵本作家。東京都練馬区出身。児童出版美術家連盟所属、子どもの文化研究所所員、岡谷市小さな絵本美術館主宰。
愛されるロングセラー絵本「せんたくかあちゃん」です。初版は1978年。
「三種の神器」と呼ばれた家電がありました。
炊飯器、冷蔵庫、洗濯機です。
これで家事がぐんと楽になりました。つまり、かつてはこの三つはなかったのです。
米は鍋で炊き、食べ物の保存はできず、洗濯は「たらい」と「洗濯板」で行いました。
洗濯を人力で行うなんて、令和の子どもたちには想像もつかないと思いますが、つい、わたしの親世代では日常的にしている光景でした。
児童文学「魔女の宅急便」でも、洗濯板で洗濯をする様子が描かれています。
「せんたくかあちゃん」は洗濯が大好き。どんなものも、人も、洗濯板とたらいでごしごし洗ってしまいます。洗った後は、ロープを張ってどんどん干します。
そこへ雷と一緒に雷様がおっこちてきて、ロープに引っかかり……
「あんたはなにしにきたんだね」
「おへそをとりにきたにきまっているじゃないか」
「なまいきなかみなりだよ」
せんたくかあちゃんは雷様の襟首をひっつかんでたらいにぶちこみ、ごしごし洗ってしまいます。
洗われてしまった雷様、顔も落ちてのっぺらぼう。子どもたちがクレヨンで男前の顔を書き直してあげました。
気に入った雷様は、やさしい性格になってそのまま天に帰ってゆきます。
そうしたら……
……と、いうのがあらすじ。
「雷がおへそを取りに来る」なんて、これもまたなつかしい。
夏の暑い昼下がり、子どもがおなかを出して昼寝をしている間に日が翳り、にわか雨が降るような天気になることがあります。急激に気温が下がるので、気づかずに寝ていると風邪をひいてしまいます。
それを諌めるために、昔は「おなかを出して寝ていると雷様におへそを獲られる」と言って子どもを躾けたのでした。今は、言うんですかねえ。雷様とおへそ。
おへそを獲りに来た雷様でしたが、せんたくかあちゃんに身も心も洗われてしまいます。とってもきれいになって、人間のおへそなんてどうでもよくなったみたい。
新しい顔が気に入って、仲間の雷たちに自慢しまくったようで……
さとうわきこ先生のあたたかみのあるかわいい絵。
せんたくかあちゃんのはつらつとした豪快さ。
なんでも洗っちゃって干しちゃう気持ちよさ。そして、悪さをしようとした雷様までごしごし洗って退治してくれる頼もしさ。
読み終わったら自分でも洗濯したくなっちゃうファンタジーです。
字はすべてひらがな。文章は読みやすく、五十音が読めれば一人でコツコツ読みきれます。もちろん、読み聞かせにも。
読み聞かせのさいには、昔はたらいで洗濯していたことや雷様とおへその関係など説明してあげてくださいね。
暑い日が続きますが、その合間をぬってゲリラ豪雨が来たりもします。
薄着で油断していると、気温の変化やクーラーで風邪をひいてしまうことも。
こまめに水分補給して、どうぞお身体に気をつけておすごしくださいね。
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ネガティブな要素はまったくありません。
明るくはつらつとした、頼もしいおかあちゃんの絵本です。
昔は、たらいと洗濯板と石鹸でお洗濯していたことを説明してあげてください。
読み終わったら自分でもお洗濯したくなるかもしれません。
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