【3びきのくま】イギリスの伝統的な昔話。少女とくまの物語。【絵本】【4歳 5歳 6歳】
金髪巻き毛のゴルディちゃんは、お花を摘みに森に入ると道に迷ってしまいました。森の奥にはだれもいない、奇妙な家が。テーブルには3つのお皿、そして大きな椅子、中くらいの椅子、小さな椅子…… (3びきのくま ゲルダ・ミューラー/作 まつかわまゆみ/訳 評論社)
3びきのくま ゲルダ・ミューラー/作 まつかわまゆみ/訳 評論社
<ゲルダ・ミューラー>
1926年、オランダ生まれの絵本作家。アムステルダムのデザイン学校を卒業後、パリの出版社で編集の仕事をしながら絵を描いていた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
<まつかわまゆみ>
翻訳家。英米の絵本・物語を手がける。おもな訳書に「魔女学校の一年生」「まいごのまいごのアルフィーくん」「アンナの赤いオーバー」「ねえ、どれがいい?」「コロちゃんはどこ?」「せかいのひとびと」など多数。
原題はBOUCLES D’OR ET LES TROIS OURS.フランスでの初版は2006年。日本での初版は2013年です。
最近は、子どもたちが伝統的なおとぎ話を読まなくなった弊害対策に「おとぎ話ごった煮オールスターズ」的ファンタジーがブームです。
日本でも某携帯電話会社のCMでそのようなシリーズがありますが、おとぎ話って世代を超えた共通言語でもあるし、やっぱり基礎知識として子どもたちには読んでほしいものです。
「3びきのくま」の物語は海外のおとぎ話オールスターズでは「赤ずきん」や「ジャックと豆の木」「シンデレラ」とともに必ず登場するので、日本における「桃太郎」や「浦島太郎」並みにオーソドックスな物語のようです。
「3びきのくま」の絵本は様々なバージョンが出版されていますが、ヒロインの女の子の名前も含めてこれがいちばん原典に近いように感じられるので、本日はゲルダ・ミューラーバージョンをご紹介することにしました。
金髪巻き毛のかわいい女の子の名前はゴルディ。(原作ではゴルディロックス)
ゴルディはお花を摘みに森へでかけ、森の奥へ迷い込んでしまいます。
すると、そこには奇妙な家が。
誰もいないおうちにゴルディは入り込むと、そこには大きなテーブルとその上に置かれた3つの お皿、そして、大きな椅子、中くらいの椅子、小さな椅子がありました。
ゴルディはおなかがすいていたので、お皿のおかゆを食べてみましたが、大きいお皿は熱すぎて、中くらいのお皿はすこし熱く、小さなお皿はちょうどいい。
ゴルディは小さなお皿のおかゆを食べてしまいました。
隣の部屋に行くと、大きなベッド、中くらいのベッド、小さなベッドがありました。
大きなベッドは高すぎて、中くらいのベッドは固すぎて、小さなベッドはちょうどいいベッドでした。
疲れていたゴルディは小さなベッドですやすや寝てしまいます。
さてさて、留守だった家に家主が帰ってきました。
おとうさんぐま、おかあさんぐま、子どものくまです。
帰ってきたくまたちは誰かがぼうやのおかゆを食べてしまったことにびっくり。
そして、寝室に行くと小さな女の子が眠っていたのです……
……と、いうのがあらすじ。
経済用語の「ゴルディロックス相場」(過熱しすぎでなく、かといって閑散でもない適度な相場のこと。)の語源にもなったおとぎ話です。
物語の中には「熱い」「ちょっと熱い」「ちょうどいい」(お話によっては「熱い」「ぬるい」「ちょうどいい」というバージョンもあります)、「大きい」「中くらい」「小さい」など、様々な形容詞が登場し、小さなお子さまが温度や大きさの単位や比較などを理解するきっかけにもなるお話です。
宮崎駿監督の初期作品「パンダコパンダ雨ふりサーカス」にモチーフとして使われており、昔から日本でもかなり知られたおとぎ話でした。
この「ゴルディロックス」と言う女の子の名前は、濁点がついていてあまりかわいく感じられないからか日本ではあまりポピュラーではなく、日本版の「3びきのくま」の絵本では名前が変更されていたり書かれていなかったりすることが多いのですが、本国や海外ではだれでも知っているレベルの名前のようです。
「おとぎ話オールスターズ」ものではどんな話でもいつでも「ゴルディ」は必ず登場するくらいの重要キャラなのです。
わたし自身、彼女の名前は知りませんでしたが、お話自体は絵本で読んで知っていました。おとぎ話のくまって、本当に気のいいくまばかりなんですよねえ。
小さなころからくまもののおとぎ話が大好きだったわたしとしては、現実のくまのトラブルを知ると、そのたびに心が痛みます。(でも、里に下りたくまは撃つしかないんですよ。←断言)
最近は野生のくま関係のトラブルが多いので、昔は必要なかったのですが今は読み聞かせのさいには野生のくまは物語のくまとは違うということの説明は必要かと思います。
大変な時代になってしまいましたが。
字はひらがなとカタカナ。
文章は少しボリュームがあって、見開きに最大で15行前後ですが、五十音が読めればコツコツひとりで読み切れるようになっています。もちろん、読み聞かせにも。
絵は細密でくまはリアル志向だけど動物としてのかわいらしさがあり、ゴルディちゃんもあどけない女の子として描かれています。
伝統的なおとぎ話は国を越え世代を越えた共通言語となりえます。
「シンデレラ」「赤ずきんちゃん」「ジャックと豆の木」「ヘンゼルとグレーテル」などと一緒に「3びきのくま」はいかがでしょう。
夜や週末のリラックスタイム、お休み前の読み聞かせにぜひどうぞ!
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はありません。くまも女の子も可愛らしく描かれており、夢があります。なるべく原作に近い絵本をお探しならばこれを。
読後は温かいスープを飲みたくなるかも。
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