【イーストンと音楽会】かぐわし森のパン屋さんと森の仲間たち。今日は秋の音楽会【絵本】【小学校低学年以上】
音楽家のみならいトトは、何をするのもゆっくりの恥ずかしがり屋さん。ところがある日、楽団長のブントさんが怪我をして、トトが音楽会の主役に抜擢されました。とてもじゃないけれど自信がないトト。さて……
この本のイメージ かわいい☆☆☆☆☆ ほのぼの☆☆☆☆ 癒し☆☆☆
イーストンと音楽会 巣山ひろみ／文 佐竹美保／絵 出版ワークス
＜巣山ひろみ＞
広島県生まれ。パン屋ではたらきながら創作活動をつづけている。「雪の翼」で第20 回ゆきのまち幻想文学賞長編賞受賞。「逢魔が時のものがたり」(学研)で第42 回児童文芸新人賞受賞。作品に「雪ぼんぼりのかくれ道」「おばけのナンダッケ」シリーズ(共に国土社)、「パン屋のイーストン」シリーズ(小社)がある。日本児童文芸家協会会員。
＜佐竹美保＞
富山県生まれ。古典名作から最新のファンタジーまで、児童書の挿絵を中心に幅広く手がける。主なシリーズ作品に「ブンダバー」(ポプラ社)「大魔法使いクレストマンシー」「ハウルの動く城」(共に徳間書店)「リンの谷のローワン」(あすなろ書房)「魔女の宅急便」3 ~ 6・特別編(福音館書店)「パン屋のイーストン」(小社)ほか多数。
かぐわし森のかわいいパン屋さんイーストンの物語です。初版は2018年。
このお話の一作目は「パン屋のイーストン」です。イーストンやかぐわし森のことを知りたい場合はまずは「パン屋のイーストン」をお読みになったほうがわかりやすいでしょう。
「パン屋のイーストン」のレビューはこちら↓
https://www.mmanorhouse.com/2020/03/23/post-2325/ イーストンはひとつだけ魔法が使えます。
それは、「パンをふくらませること」。
イーストンがパンをこねてふくらませ、火の精アチネがこんがりと焼き上げます。
麦畑に力をあたえる「麦ばあさん」の娘エッピにも母親と同じ力があります。
今回の主役は音楽家見習いのトト。
トトの楽器はパンフルートです。
トトはなんでもゆっくりの、引っ込み思案でのんびりした性格。けれど、トトの音楽を聞かせるとパンがふっくらおいしく仕上がります。ミーナさんが編み物をしているときにトトの音楽をきくとふっくらやさくし仕上がります。
あるとき、楽団長のブントさんが怪我をして秋の音楽会の主役にトトが抜擢されました。
突然のことで、戸惑うトト。自信がないのです。
けれど、イーストンたちに励まされ、一生懸命練習して、音楽界では見事な主役を務めました。
トトの音楽を聞きながらイーストンが作ったくりのパンも大好評で、みんなは春にまた会うことを約束するのでした……。
と、いうのがあらすじ。
文章は平易で読みやすく、すべての漢字にふりがながふってありますので五十音が読めればひとりでコツコツ読みきることができます。
絵本と言うカテゴリーですが、かなり文章が多めでボリュームがあるので小学校低学年から。絵ばかりの絵本を卒業してそろそろ少し長めの物語を読み始めのお子さまにおすすめです。読み聞かせでもいいでしょう。
挿絵は佐竹美保先生。「ハウルの動く城シリーズ」や「大魔法使いクレストマンシーシリーズ」をはじめとして、ダイアナ・ウィン・ジョーンズの本や数々のファンタジー児童書の挿絵で有名で、ファンタジーファンのあいだでは根強い人気があります。
イーストンやかぐわし森の妖精たち、動物たちが生き生きと表情豊かに描かれていて、読んでいるとイーストンのパンの香りが漂ってきそう。佐竹先生のファンの方にもおすすめ。
九月に入ると、ぐっと季節が秋めいてきます。秋といえばおいしいフルーツやあたたかいお茶、パンやスコーンの焼ける香ばしい匂い、そして音楽会。
週末の昼下がりにお気に入りの紅茶を用意して読書はいかがでしょう。
巻末にはイーストンのつくる「秋味こっくり、くりのクリームパン」のレシピが図解つきで掲載されており、思わず作りたくなります。
週末の午後にクリームパンを焼いて絵本を読んでみませんか。大好きな音楽を聞きながら。
忙しい毎日のなかで、大切なものをゆっくりじっくり味わう幸せをトトとイーストンが教えてくれます。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はありません。
佐竹美保先生の絵がお好きな方ならきっとうれしい、可愛らしい絵本です。表紙の装丁もおしゃれで、読み終わったらリビングに飾り、眺めて楽しむこともできます。
読後は栗のクリームパンを食べたくなります。あたたかい紅茶と一緒にぜひどうぞ。
