【プリデイン物語】正統派ファンタジー児童小説。第4巻は、旅人タランの自分探しの物語。【入手困難】【再版希望】【小学生中学年以上】

2020年11月19日

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旅人タラン プリデイン物語4 ロイド・アリグザンダー/作 神宮輝夫/訳 評論社

エイロヌイ王女に結婚を申し込みたいと考えたタランは、孤児のままではできないと考え、自分のルーツを探す旅に出ます。タランは旅のなかで、さまざまな体験をし、学び、成長します。

この本のイメージ 自分探し☆☆☆☆☆ 冒険☆☆☆☆☆ 成長☆☆☆☆☆

旅人タラン プリデイン物語4 ロイド・アリグザンダー/作 神宮輝夫/訳 評論社

<ロイド・アリグザンダー>
アメリカ合衆国の児童文学作家、ファンタジー作家。
ペンシルベニア州フィラデルフィア出身。フィラデルフィアの教員養成大学を中退し、19歳で第二次世界大戦に従軍。ヨーロッパで戦役を終え除隊した後、パリ大学で学ぶ。1946年に帰国し、翻訳や編集の仕事をしながら小説を執筆。長編ファンタジー『プリデイン物語』シリーズの最初の2冊「タランと角の王」「タランと黒い魔法の釜」は、ディズニーアニメ「コルドロン」(Black Cauldron, 1985年)の原作。(Wikipediaより)

旅人タラン プリデイン物語4 ロイド・アリグザンダー/作 神宮輝夫/訳 評論社

 「プリデイン物語」第四巻は、「旅人タラン」。タランの自分探しの物語です。
 調べましたが、現在中古本しか流通しておらず、入手困難本になっています。

 「プリデイン物語」は、1巻と2巻はディズニーで映画化され、あのディズニーランドの伝説のアトラクション「シンデレラ城ミステリーツアー」の原作になったこともあり、知る人ぞ知るファンタジーでした。
3巻くらいまでは、まだ手に入れることができるのですが、4巻5巻は入手困難なのです。

 しかし、まぎれもなく名作なので、電子書籍化でもいいので復刊していただきたく、レビューを書いています。(お願いします!) 岩波少年文庫などは現在、巣ごもり対策なのか、急ピッチで電子化をすすめているようなので、他の出版社さまもぜひ……!

 このサイトも、ふつうの個人ブログ同様、運営費捻出としてアフィリエイトを設置しているのですが、儲かる儲からないを考えたら、流通していない商品を取り扱うのはばかげているわけで……

 でも、新刊で高い本ばかり扱っていると、こういう、すばらしいけれど手に入りにくい名作はどんどん埋もれてしまいます。やっぱり名作はたくさんの人が読めるようになってほしいし、それで出版社が儲かるならみんな幸せじゃないですか。(それで、わたしに紹介料が入るなら、なおうれしい)
そんなわけで、このサイトでは、ときどき、このような本のご紹介をしています。

 今は、お出かけがなかなか難しい時代なので、この機会に本、とくに児童書のすばらしさに、多くの人に触れていただきたいなと思っているのです。
 子どもが少なくなってきた時代ですけれど、児童書は、子どもだけでなく、大人にも癒しや和みを与えてくれます。わたしは、もともと性格がちょっと子どもっぽいところがあるので、おそらく一生自分の楽しみとして児童書を読むと思いますが、大人だって堂々と児童文学を読んでたのしめる、そんな世の中になればと言うのがわたしの願いです。

 さて、正統派冒険ファンタジー「プリデイン物語」第4巻「旅人タラン」。
 残念ながら、今回のお話に、あの明るいヒロイン、エイロヌイ王女は登場しません。

 タランは、エイロヌイ王女に結婚を申し込みたいと考えるようになりますが、そのさい、自分が孤児であることを気にしていました。王女にふさわしくないと考えたからです。

 タランは、自らのルーツを探すために旅に出ます。半獣のガーギをお供に、馬のメリンラスに乗って、まずはあのおそろしい三人の魔女、オルデュ、オルゴク、オルウェンのもとへ向かいます。あの魔女たちなら、何か知っているのではないかと言うのが、タランの考えでした。

 その後、タランは、愛すべき吟遊詩人フルダーや、小人ドーリと再会し、冒険を続けます。

 タランは様々な冒険を経て、最終的に、人間の価値は地位や名誉や生まれではない、と悟ります。

 そして、さらに、すぐれた職人のなかに自分の知りたい真理があるのではないかと職人たちの里に飛び込み、弟子入りし、さまざまな技術を手にしますが、それでも、彼は望むものはそこにはなかったのでした。

 職人の里、自由コモットで、タランはすぐれた技術を手にするためには努力と忍耐が必要なことを教えられました。そして、それだけ努力したとしても、その職や技術を一生愛せるか、そして、その職を愛したとしても才能があるのか、と言う、かなり大きな問題に直面するのです。

 このあたりは、かなり深いところに切り込んでいて、子供向け小説でここまで哲学的なテーマに取り組んだ作品は他に見たことがありません。

 地位や名誉を追う人生のむなしさを描く一方で、職人や芸術家の世界の難しさ厳しさも正面から描いています。それでも、自分自身を受け入れて、ありのままに生きようとタランは決心することで成長してゆきます。

 もちろん、これはこの物語の哲学的な側面で、悪い魔法使いとの勝負や、ならず者集団との戦いなど冒険小説らしいエピソードも、ちゃんとたくさんあります。

 でも、この難しいテーマにまるまる1冊かけて挑戦した作者の覚悟みたいなものが、こんなに時を経ても届くのです。
 それは、自分を形作っているのは、誰から生まれたかではなく、どう生きてきたかだ、と言う強いメッセージです。

 この旅に、純真なガーギや愉快なフルダーが同行していることで、タランはどれだけ救われたでしょうか。
 あまりにも、取り組んでいるテーマがヘビーなので、読んでいるほうも、ガーギとフルダーがいてよかったなあ、としみじみ思うくらいです。
 どっちも初登場のときは、仲間の足をひっぱるしかできない人たちのように描かれていたんですけどね。

 人でも獣でもない、美しくもかしこくもない、臆病で失敗だらけの存在としてガーギは1巻から登場しますが、この4巻で彼はタランにとってかけがえのない存在だとわかります。フルダーはやむなく途中で別行動をとるときもあるのですが、ガーギはとにかくいつも一緒にいてくれます。
 役に立つ立たないで言ったら、たぶん、物理的にはそんなに役に立ってはいないのです。
 でも、ガーギがいなかったら、とっくに心が壊れていただろうなと言う困難に、タランは何度も直面します。

 地位があるから、お金があるから、優れているから、美しいから、役に立つから、だから…
 だから人に価値があるわけじゃないってことなんでしょうね。

 「プリデイン物語」は、正統派なので、どのテーマにもわりとド直球です。
 この「旅人タラン」も、ミットまで剛速球なので、受け止めるのはきつい部分もあるのですが、悩んでいるときや苦しんでいるときに背中を押してくれる力強さもあります。

 中古や図書館などで、ぜひ読んでみてくださいね。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 暴力シーンはありますが、HSPやHSCにおすすめの本です。人生とは何か、自分とは何か、と言う内向的な人なら一度は直面するテーマに、真正面から取り組んでいます。
 HSPやHSCの方のほうが、多くのものを受け取れるでしょう。
 正統派ファンタジー好きな方には、子どもから大人までおすすめです。
 現在は入手困難なので、強く再版を希望します。名作です。

いつもありがとうございます

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