【クレストマンシー】学校には魔法使いが潜んでる? 謎解き異世界ファンタジー【魔法使いはだれだ】【小学校高学年以上】

2024年3月7日

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魔法使いはだれだ   ダイアナ・ウィン・ジョーンズ/作  野口絵美/訳  佐竹美保/絵   徳間書店 

「この学校には魔法使いがいる」。何者かの書いたメモに、ラーウッド寄宿学校は大騒ぎ。魔法使いは捕まって火あぶりにされるからだ。疑われたのは、目つきの悪いチャールズと、大魔法使いの子孫ナン。だけど……

この本のイメージ 魔法☆☆☆☆☆ 謎解き☆☆☆☆ パラレルワールド☆☆☆☆

魔法使いはだれだ   ダイアナ・ウィン・ジョーンズ/作  野口絵美/訳  佐竹美保/絵   徳間書店 

<ダイアナ・ウィン・ジョーンズ> 1934年イギリス生まれ。オックスフォード大学セントアンズ校でトールキンに師事。イギリスを代表するファンタジー作家。作品に「魔法使いハウルと火の悪魔」など。 

 

 DWJの作品には、いくつかの特徴があります。
 魔法に満ちた世界、並立するパラレルワールド、多数のキャラクター、ラストには登場時とは似ても似つかない状態になるキャラクターなどなど……
 このお話は、そんなジョーンズ作品の魅力がいっぱい詰まっています。

 お話は、

 「この学校には魔法使いがいる」。そんな物騒なメモが先生のもとにありました。
これは大事件です。なぜなら、この世界では魔法使いは収容所に入れられて火あぶりにされてしまうからです。

 ラーウッド寄宿学校の誰が魔法使いなのでしょう。

 孤立しているチャールズか、いじめられっ子の少女ナンなのか、ほかにも怪しい人たちはたくさん。
 やがて、学校では魔法としか言えないような不思議な事件が続発。先生たちは犯人探しに奔走します。

 そんななか、先生の息子ブライアンが「魔法使いにさらわれる」と書置きを遺して失踪。

 疑われたナンは、友達のエステルとともに逃げ出し、逃げた先で緊急呪文を教えられます。
 それを三回唱えたら、きっと「助け」は来ると。でもその「助け」って、なんなのか、教えてくれた人も知らないのです。
 その呪文とは……

 「クレストマンシー クレストマンシー クレストマンシー!」

 ……と、いうのがあらすじ。

 最初のメモから始まり、この寄宿学校に隠れている魔法使いは誰なのか、と言う謎解きが最初のテーマ。その謎を追いながら、物語が高速で展開してゆきます。
 群像ものなので、主人公が誰、と言うお話ではないのですが、それぞれのキャラクターが全員、一癖も二癖もある子達なので、ハラハラドキドキしているうちに、あっと言う間に読めてしまいます。

 また、ジョーンズお得意のパラレルワールドものなのですが、ジョーンズ世界のパラレルワールドの法則なども詳しく書かれており、今後彼女の作品を読むときに世界観の理解に役立ちます。クレストマンシーと魔法世界の解説書といったところ。

 クレストマンシーシリーズを読む場合、「魔女と暮らせば」か、この「魔法使いはだれだ」を最初に読むとわかりやすいでしょう。

 正しい順番なんかないんですが、
 「魔女と暮らせば」「クリストファーの魔法の旅」「トニーノの歌う魔法」→「魔法使いはだれだ」(出版順)
 か、「魔法使いはだれだ」→「魔女と暮らせば」→」クリストファーの魔法の旅」→「トニーノの歌う魔法」

 で読むとわかりやすいと思います。

 キャラクターは、全員、「どれも最初の見た目どおりではない」と言うジョーンズ作品の法則どおり、ラストでは仰天の種明かしの連続。読者にとって、「これはモブでしょ」と思われていたキャラクターでさえ、驚くような秘密が隠されています。
 これは、読んでみてのお楽しみ。

 基本的に仕掛けを楽しむ物語ですが、それぞれの登場人物の掘り下げも深く、学園物語としても楽しむことが出来ます。特別に美男美女が出てくるようなお話ではないのですが、キャラクターは魅力的で、味のある子たちばかり。

 最後は、すべてのパズルがピタリとはまる心地よさ。名人芸です。

 字が小さくて、文章量としてはかなりボリュームがあり、読み応えがあります。漢字の振り仮名も最小限なので、小学校高学年から。でも、大人でも楽しめます。良質の異世界ファンタジーです。

 ファンタジー好きで、ジョーンズ作品がまだなら、ぜひ。
 「ハリー・ポッター」が好きなら、ハマることまちがいなしです!

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 暴力シーンや残虐シーンなどはありません。騒動は起こるけれども、流血の惨事などはなく、解決します。むしろ、パズルのような面白さがあるお話なので、深く掘り下げるHSPHSCにはおすすめ。

 ファンタジーと推理小説が合体したような、魅力的な物語です。ファンタジーと推理小説がどちらも好きな人には、ぴったり。

 読後は熱々のミルクティーとビスケットでティータイムを。

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