【スプーンおばさん】ノルウェーからやってきたちっちゃなおばさん三たび!おばさんとおじさんのゆかいな旅【小学校中学年以上】

2024年2月13日

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スプーンおばさんのゆかいな旅 アルフ=プリョイセン/作 大塚勇三/訳

おばさんには秘密がありました。ふだんは、ごくふつうのおばさんなのですが、時々意味もなく(?)ティースプーンくらいにちっちゃくなってしまうのです。時々ちっちゃくなる不思議なおばさんと、ご亭主さんが二人で車に乗ってドライブの旅に出ます。最初はふたりだけだったのですが……

この本のイメージ 不条理☆☆☆☆☆ 動物かわいい☆☆☆☆☆ 夫婦善哉☆☆☆☆☆

スプーンおばさんのゆかいな旅 アルフ=プリョイセン/作 大塚勇三/訳 学研プラス

<アルフ=プリョイセン>
ノルウェーの作家。家庭が貧しく、幼少時から学校には行かず農場で働く。空想力や歌唱力に富み、農村の祭などで自作の歌を披露し喜ばれるという少年時代をすごす。
1946年からノルウェーの国営ラジオ放送の番組「子どもの時間」で子どもたちに歌を歌い、語りかけ、人気を博す。代表作となる「スプーンおばさん」シリーズも、ラジオ番組をもとに作られ、1956年にスウェーデン語版が、翌年ノルウェー語版が出版された。これは世界18言語に訳され、映画化。日本では、1983年4月にアニメがNHKにより放映されている。

 突然、意味もなくティースプーンくらいにちっちゃくなっちゃう、スプーンおばさんのシリーズ三冊目です。
 北欧では、「小さなスプーンおばさん」の50年ほど前にスウェーデン発の童話「ニルスのふしぎな旅」が生まれており、「ふつうの人間がいきなり小さくなる」「小さくなると動物と会話できるようになる」という、童話的概念が浸透していたのではないかと思います。

 というのも、「ニルスのふしぎな旅」では、ニルスはトムテという小人妖精に悪さをしたことで、罰として小人にされるといういきさつがあるのですが、「小さなスプーンおばさん」については、そこのところの説明がまったくなく、ある日突然、小人になってしまうのです!

 唐突に。
 意味もなく。

 魔法も妖精も、何も関係なし!
 おそろしいことに、「なんでそうなるのか」まったく説明がありません。シリーズを最後まで読んだら、このへんの謎解きがあるかしら、とちょっぴり期待していたのですが、ぜんぜんありませんでした!

 つまり「スプーンおばさん」は「そういう」教訓的ファンタジーではないんです。

 スプーンおばさんの「いきなりちっちゃくなる」は、どちらかというと、ある程度の年齢以上になった人間が「いきなり身体が思うように動かなくなる」ような「持病」のようなもの。


 「突然のアクシデント」にどう対応するか、みたいな話に近いのです。

 でも、こんな奇妙な「癖」を持っているおばさんだけど、何があっても、動じず騒がず。小さくなっちゃって不便なときは、頭を使ってなんとかしてしまうのです。

 「おやゆび姫」の儚さや、「ニルス」の悲壮さとは、ほど遠い、この図太さ!

 さすがは、おばさんですよ。やはり、おばさんは世界最強ですよ……。

 今回は、おばさんとおじさんが自動車に乗って、ドライブの旅に出ます。最初は、二人旅だったのに、おばさんが小さくなるたびに、道連れ(?)が増えてゆきます。

 おばさん、困った人(正確には人じゃないけど)を見たら、放っておけないたちなんですね。

 そんな奇妙な道中ですが、おじさんはおじさんなりに「時々ちっちゃくなっちゃう」癖がある自分のおかみさんのことを、いつも心配しています。この、熟年夫婦のあうんの呼吸がなかなかいい感じなのです。

 子どものいない、スプーンおばさん夫婦でしたが、珍道中の末に家に帰ってきたときには、ずいぶんにぎやかな家庭になってしまいましたよ。

 このすてきな旅の結末は、ぜひ、お確かめになってみてくださいね。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。陽気な日常系ファンタジーです。おばさんとおじさんのコンビが、ベテランの漫才みたいに息があってて、いい感じ!

 ほのぼのとして、くすっとできる物語です。性別を選ばないので、小さなお子様へのプレゼントに最適。大人が読んでも癒されます。
 読後は、マグカップいっぱいのコーヒーと、パンケーキをどうぞ。

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