【スプーンおばさん】小さなおばさんが大活躍!ノルウェーからやってきたファンタジー童話の名作。読み聞かせにおすすめです。【小さなスプーンおばさん】【小学校中学年以上】
ありふれた片田舎のおばさんが、突然、ティースプーンくらいに小さくなって大冒険する、ゆかいで楽しいお話です。
この本のイメージ 楽しい☆☆☆☆☆ 頓知がきいてる☆☆☆☆☆ クスっと☆☆☆☆
小さなスプーンおばさん アルフ=プリョイセン/作 大塚 勇三/訳 学研プラス
初読です。
NHKでアニメーション化されたこともあります。たしか、友人にこのアニメのファンの子がいて、エンディングをよくカラオケで歌っていました。わたしはオタク気質なのですが、家の事情やスケジュールの都合で見られなかったアニメや読めなかった本がわりとあるので、知らないものが結構あるのです。(このままでは死ねないッ!←おおげさ)ずっと気になっていたので、ようやく読めてうれしさいっぱいです。
片田舎のごくふつうのおばさんが、いきなりティースプーンくらいの大きさになってしまうファンタジー童話です。
読んでびっくりしたのですが、親指姫みたいな人じゃなくて、ふだんは普通の大きさのふつうのおばさんなんですね。そして、そのふつうのおばさんが、突然、朝起きたら小さくなってるところから始まります。
この「小さくなる」って言うのが、何の説明も無いんです。魔法や呪いをかけられたとかじゃなくて、どうして小さくなったのか、まったくわからない。でも、小さくなってる。服とかも、そのまんま小さくなってる。なんてシュール。
それなのに、おばさん、ひとつも動じない。落ち着いたもので、小さいまんま、いろんな工夫で家事をこなしちゃうのです。(かなり反則技も使います)
で、しばらくすると、ふつうのサイズに戻るんです。どうして戻るのかもまったくわからない。ちっちゃな妖精おばさんが出てくるかわいい話かと思っていたら、不条理ファンタジーでした。(驚愕)
でも、これが「じわじわくる」面白さなんです。
この面白さの謎をちょっと考えていたんですけど、これってたぶん、ある種の「おばさんの落ち着き」みたいなのがキモだと思うんですよ(言葉を選んでみた)。そもそも、冷静に考えたら、人間がいきなりティースプーンくらいに小さくなるって、大変な事件じゃないですか。この、小さくなっても、まったく動じない、おばさんの図太さ。たぶん、書きたかったのはこれなんでしょうね。
そう、スプーンおばさんは、片田舎の、よくいる、ごく普通の肝っ玉の大きいおばさんなんです。ただ時々、小さくなるだけで。(でも、時々小さくなる段階でもう普通じゃない)
いつ小さくなったり大きくなったりするかわからないのに、おばさんはいつも落ち着き払っているし、どんな状態でも旦那さんであるおじさんの世話を第一に考えてるし、小さい子どもには親切だし、近所の人のことも案外気にかけてるし、動物にも優しいし、料理上手だしとっても頼もしいんです。しかも、すごく機転が効いて頭がいい。
すごいですよ、おじさん、いい奥さんもらいましたね!
小さくなって猫にまたがって疾走するおばさんは、最高にかっこいいです。
親指姫には運命に翻弄される弱弱しさがありましたけど、女の子がおばさんになっただけで、こんなに愉快でたくましい話になるとは!
でも、女の子よりおばさんのほうが、ずっとずっとかっこいいですよ。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はひとつもありません。安心してお読みいただけます。温かいココアとパンケーキなんかをご用意されるといいかもしれません。作中でスプーンおばさんが森に摘みに行くコケモモは、おそらく、リンゴンベリーだと思います(イケアで売ってます)。パンケーキにリンゴンベリーのジャムを添えると雰囲気ばっちりです。
オムニバスなので、読み聞かせにもおすすめです。
落ち込んでいるときや疲れているときにぜひどうぞ。
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