【スプーンおばさん】ちっちゃなおばさんの大冒険ふたたび!ノルウェーからやってきたゆかいな児童小説。【小学校中学年以上】

2024年2月13日

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スプーンおばさんのぼうけん  アルフ=プリョイセン/作  大塚勇三/訳 学研プラス

おばさんには秘密があります。時々、突然ティースプーンみたいに小さくなってしまうのです。小さくなったおばさんが、村の小さな事件を解決していく、小さな大冒険物語。

この本のイメージ 愉快☆☆☆☆☆ 痛快☆☆☆☆☆ あるある☆☆☆☆

スプーンおばさんのぼうけん  アルフ=プリョイセン/作  大塚勇三/訳 学研プラス

 「小さなスプーンおばさん」の続編です。「スプーンおばさんのぼうけん」だけでも話は理解できますが、まずは「小さなスプーンおばさん」を読んでからお読みください。

 ノルウェーの片田舎に住む、とあるおばさん(名前は出てこない。でもこの巻ではじめてだんなさんの名前は出てきます)には、秘密がありました。
ときどき、突然、ティースプーンくらいの大きさに縮んでしまうのです。(服も)

 「どうしてそんなことになってしまうのか」さっぱりわかりません。(ものすごい強引な設定……)本当に何も説明が無いんですよ!
そして、暫くすると、突然、大きな姿に戻るのです。

 この、小さくなったり大きくなったりは、おばさんの力ではコントロールできません。突然なっちゃうので。でも、おばさんは、どんなときも楽しくピンチを乗り越えます。たくましいのです。
「小さなスプーンおばさん」を読んだときは、ずいぶんシュールな童話だなあ、と思ったのですが、この本を読んでみて、これは何かの比喩だな、と気づきました。

 つまり、自分でコントロールできない「突然の災難」にどう立ち向かうか、と言う話なんですね。

 おばさんは「わたしゃ、突然小さくなっちまうことがあるから、どこで誰の迷惑になるかわからない。大人しくしてなくちゃ」などと、遠慮したり引っ込み思案になることがありません。いつだって、何事もガンガン行くのです。

 最初のエピソードは、おばさんが泳ぎを覚えたくなる話なんですが、近所の背の立つ安全な沼で練習しようと飛び込んだとたんに小さくなってしまい、絶体絶命の危機に陥いります。が、たまたまそこにいたカエルに助けてもらい、その後、カエルから泳ぎ方を教えてもらってマスターし、悠々と帰ってくるのです。(おばさんは、小さくなるとどういうわけか動物と話せるようになる)

 そんな感じで、万事、なんとかしてしまう。

 また、その後のエピソードでは、困っている女の子を助けるときは次々とうまくいくのだけど、けしからん奴をこらしめようとすると何事もうまくいかなくなってしまう、と言う、現代にも通じる普遍的なテーマを扱っています。

 わたしは子供のメンタルケアは難しいことをしなくても、古典児童文学を読んでいればわりとなんとかなってしまうんではないか、と思うときがあります。
大人でも、下手な自己啓発書より「少女ポリアンナ」「小公女」「赤毛のアン」「家なき娘」を読んだ方がずっと励まされる気がするんです。

 とはいえ、現実はもっと厳しくて、「本読んだくらいで救われたら世話無いよ」と言う厳しい事情もあるでしょうし、困難に耐えているお子様もたくさんいるでしょう。

 でも、もし、読むこと、書くこと、考えることがお好きな、おとなしいお子様が悩んでいるなら、昔ながらの児童文学を試してみてください。もちろん、本で救われない場合も多々あると思うのですが、それでも、本というものは、いままでたくさんの子どもたちを救ってきて今があるわけですから。

 インターネットの時代になりますと、SNSなどでめまぐるしくメッセージがやり取りされ、それ以前の時代より情報の伝達速度が爆発的に早くなりました。
その加速は今でも続いています。わたしたちが子供の頃より、ずっと多くの情報と速い情報速度にさらされている子どもたちです。時々、ゆっくりしたペースに戻って、自分の速度で本を読むのも癒しになると思います。

 かといって、強制して読ませると本を読むこと自体が嫌いになってしまうので、難しいところ。

 そんなときは、周囲の大人がまず児童文学の癒しに触れてみてください。好きなものの「布教」は、「強制」ではないので、楽しいものになるはず。(たぶん……)

 大人も子どもも一緒に読書を楽しめたらいいなと思って、毎日記事を書いています。

 「スプーンおばさん」は、昔、テレビシリーズでアニメーションになったこともあるので、なつかしく感じる方もいると思います。大人も童心に戻って、休日の午後などに楽しんでみてください。新しい発見があるかもしれません。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。おばさんは賢く、バイタリティがあり、かっこいいです。作中でよく出てくるコケモモは、IKEAなどで売っているリンゴンベリーだと思います。パンケーキにリンゴンベリーのジャムを添えて。
休日の午後に、お楽しみください。

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