【パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々】変わり者のパーシーは神の子? ギリシャ神話をモチーフにした、疾走感あふれる現代ファンタジー【盗まれた雷撃】【小学校高学年以上】
パーシーは、学校を退学になってばかりの劣等生。でも、ただの変わり者のアメリカ少年だと思っていた彼は、実はオリンポスの神の子どもだったと告げられる。神々の子どもばかりが集められた訓練所で、自分の運命を予言されるパーシー。彼は、運命を乗り越えられるのか。
この本のイメージ わくわく☆☆☆☆☆ 疾走感☆☆☆☆☆ 危機に継ぐ危機☆☆☆☆☆
パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々 1 盗まれた雷撃 リック・リオーダン/作 金原瑞人/訳 ほるぷ出版
<リック・リオーダン>
リチャード・ラッセル・ライアダン・ジュニア(Richard Russell Riordan, Jr.、1964年6月5日 – )はアメリカ合衆国の推理作家、児童文学作家、ファンタジー作家。通称リック・ライアダン(Rick Riordan)。日本ではリック・リオーダンあるいはリック・ライオダンとも呼ばれている。代表作は「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」。
年寄りの思い出話ほどうざいものはないと思うのですが、聞いてくださいましよ。
今となってはなつかしい、いにしえの記憶ですが、わたしがはじめて見に行ったアイドルのステージは「聖闘士星矢」だったんです。友達に誘われて行ったんですけども、そりゃあもう豪華なミュージカルでした。
そんなこともあって、長らくわたしの木村拓哉のイメージって、ハウルの前はポセイドンだったんですよね……。
長年、次々と名作ドラマを大ヒットさせ、ありとあらゆる職業のかっこいい役をお演りになってきたはずなのに……わたしの中ではポセイドンとハウル。(まあ、こういう人ですよ、わたしは)
ほんっっっとうに申し訳ございません!(平伏)
でも、マント姿、お似合いでした。(←それでフォローしたつもりか)
本日ご紹介するのは、ギリシャ神話をモチーフにした現代ファンタジー、「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」。「サーティナイン・クルーズ」の全体構成を担当しているリック・リオーダンが全編執筆するファンタジー小説です。「サーティナイン・クルーズ」が面白かったので、こちらも読んでみようと手に取りました。人も殺せる分厚さの長編小説です。
ギリシャ神話をモチーフとした現代ファンタジーと言えば、日本人が思い出すのは「聖闘士星矢(セイントセイヤ)」ではないでしょうか。かなり古い漫画ですが、あの漫画のおかげでギリシャ神話や星座に詳しくなった女性も多いはず。(おそろしいことにハリウッドで映画化らしい……)
この物語でも、神々の子どもたちが集められた謎の訓練所や教官なども登場し、聖闘士星矢を彷彿とさせる部分もあります。
さて、ストーリーは……
パーシー・ジャクソンは失読症でADHDの12歳の少年。学校に通っても、次々と問題を起こし、退学と転校を重ねていました。ところが、メトロポリタン美術館で数学の先生が怪物に変身して襲ってきたときから、運命が変わり始めます。
お母さんと海沿いのコテージで休暇を過ごしていると、級友グローバーが現れ、何者かがパーシーを襲ってくるから逃げるように言います。お母さん、パーシー、グローバーは車で逃亡しますが、追っ手に追いつかれ、お母さんは金色の光になって消えてしまい、パーシーとグローバーはあわやというところで「訓練所」に逃げ込みました。
その「訓練所」とは……オリンポスの神々の子どもたちが集う場所だったのです。
パーシーは、「訓練所」で厳しい訓練をうけたあと、予言を受け、ゼウスのもとから盗まれた「雷撃」を冥王ハデスの手から取り戻すために旅立ちます。はたして、パーシーは夏至の日までに「雷撃」を取り戻せるのでしょうか。
と、言うのが今回のあらすじ。
構成がものすごくしっかりとしていて、パズルのようにお話が組み合わさってラストに流れ込みます。さすがと思ったら推理小説作家なんですね。「筆がのっていっぱい書いちゃった」みたいなところがひとつもなくて、スピーディーにどんどんお話が進んでゆきます。
作者のリック・リオーダン氏の息子さんが失読症のADHDだったことからパーシーの設定は失読症でADHDになったらしいのですが、車椅子のブラナー先生がケイロンだったり、足の不自由なグローバーが実はひづめのあるサテュロスだったりと、この物語では、なんらかの理由で「ふつうではない」人たちは実はオリンポスの人間だった、と言う設定になっています。
このあたりは、様々な意見があるかと思いますが、わたしは好きです。
パーシーは出生の秘密を知り、運命と戦い、予言を乗り越えます。
そして、新しい、自分の人生を選択するところで今回の冒険は終わります。
でも、パーシーの冒険は始まったばかり。サテュロスのグローバー、アテナの娘アナベスという仲間を得て、これからどんな事件が待っているのでしょうか。オリンポスの神々やタイタンの秘密など、続きが楽しみです。これからこつこつ読んでご紹介してゆくつもりなので、楽しみにしてくださいね。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
爆発シーンや破壊シーンがてんこ盛りですが、その割には驚くほど残酷シーンはなく、そんなに精神的な負担はなく読めるでしょう。ジャンルとしては「ヤングアダルト」に入り、少年漫画ふうの展開です。
少年漫画が好きな方なら、子どもから大人まで楽しく読めるはず。読み終わったら、ギリシャ神話や星座を調べてみるのも面白いかもしれません。
読後はグローバーの好物、エンチラーダ(メキシコ料理)を作ってみたくなるかも。鶏肉と野菜にエンチラーダソースとチーズをかけてオーブンで焼いただけなので、試してみてくださいね。
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