【パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々】パーシーとクロノスの最終決戦。神の子たちとタイタンの戦い最終巻【最後の神】【小学校高学年以上】
ついにクロノスがルークの身体を使って復活し、オリンポスのあるニューヨークに攻めてくる。神々の最終決戦がはじまった。パーシーはルークに対抗するため、ステュクスの川に入り、不死身の身体を手に入れる。はたして、パーシーはニューヨークとオリンポスを守れるか?
この本のイメージ 最終決戦☆☆☆☆☆ 英雄とは☆☆☆☆☆ 予言の真相☆☆☆☆☆
パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々 5 最後の神 リック・リオーダン/作 金原瑞人・小林みき/訳 ほるぷ出版
<リック・リオーダン>
リチャード・ラッセル・ライアダン・ジュニア(Richard Russell Riordan, Jr.、1964年6月5日 ~ )はアメリカ合衆国の推理作家、児童文学作家、ファンタジー作家。通称リック・ライアダン(Rick Riordan)。日本ではリック・リオーダンあるいはリック・ライオダンとも呼ばれている。代表作は「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」。
ギリシャ神話の神々が現代によみがえる、アメリカからやってきたヤングアダルト小説「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」シリーズ、第5巻。「最後の神」です。原題はThe Last Olinpian.初版は2009年。日本でも初版は2009年です。翻訳スピードがすごい。
ものすごく分厚いハードカバーがほるぷ出版から出版されていますが、文庫版がそれぞれ上下巻にわけて静山社ペガサス文庫から発売されています。どちらもリンクを貼っておきます。
たいへんボリュームのある物語ですが、ほるぷ出版版のほうは字が大きくて読みやすく、小学校高学年から大丈夫だと思います。ただし、ギリシャ神話のキャラクターなのでカタカナのややこしい固有名詞が多く、メモをしながら読んだほうが読みやすいでしょう。
このお話は、パーシーの冒険の最終巻。ついにクロノスとの決戦を迎えます。
いままでのお話は、各巻、「神託」を受け、仲間を集めパーティーを結成し、「探求」の旅に出ると言うRPG方式だったのですが、今回は、一気に戦略小説風になります。ゲームで言うと、シミュレーションゲーム風です。
ルークの身体を使ってクロノスが復活し、ついに大軍団を率いてオリンポスの神々に戦いを挑みます。
神々はテュポンの軍団と戦うためにオリンポスを留守にしており、ポセイドンもポセイドンの神殿が攻撃を受けているため、オリンポスに戻れません。ハデスは、ゼウスに対する恨みから、冥界を出てくれません。
テュポンの軍団はゼウスたちをおびき出す罠だと感じたパーシーたちは、自分たちハーフがオリンポスとニューヨークを決意、訓練所の仲間たちを率いて立ち向かいます。
はたして、パーシーはオリンポスとニューヨークを守れるのか?
……というのがあらすじ。
大きな物語の流れに並行して、不死身のルークに対抗するためにパーシーはステュクスの川に入ってアキレウスの呪いをうけたり、ルークの幼少期の謎を知るために生家をたずねたりなど、登場人物たちの背景や謎もあかされます。
そして、不思議な人間の少女レイチェルも、最終決戦の場に。
神々と、ハーフと、人間たちが力をあわせて、クロノスたちに立ち向かいます。
わたしは、日本人なので詳しいニューヨークの地理はわからないのですが、これはアメリカ人ならかなり面白いのではないでしょうか。オリンポス山は、エンパイアステートビルの上空にあるので、クロノス軍は、エンパイアステートビルに向けて進軍してきます。
それを、ニューヨークの各所に配置された英雄たちの部隊が食い止めると言う展開なので、ニューヨークをよく知る人たちにとっては「ご当地もの」の要素があると思います。
日本だと、東京タワーの上空に八百万の神々の神殿があって、そこに魔物の軍団が攻めてくるといった感じでしょうか。自分の知っているあの通りに、あの橋に、あの地下道に、神々の戦いが繰り広げられていると思ったら、燃えますよね。
ラストは「おお、こうきたか!」と言う、伏線回収。
そして、クロノスとの決着です。
最後までどきどきわくわくの展開でした。さて、しかし、ここまでまたあらたな予言が……
……終わってないんかい!!
そう簡単に古き神々との完全決着がつくとは思っていませんでしたが、わりとはっきりとお話が続いています。(一応の決着はついていますが) 物語は、このまま「オリンポスの神々と7人の英雄」に続くようです。
この物語は、作者のリック・リオーダンがADHDで難読症の息子のために書いたもので、主人公のパーシーはADHDで難読症です。この物語では、なんらかの障害を持っている子どもは、実は人と神のハーフ(原作ではデミゴッド)だと言う設定なのです。
このテーマは、物語の深いところを流れていて、最終決戦で、オリンポス山という神々にとって最も大切な場所を守るのは、神々にとっては「外れ者」である、ハーフの英雄たちなのでした。
物語自体は、わくわくドキドキの冒険小説なのですが、多様性と共存共栄についても語られており、多くのアメリカの少年少女に愛された理由がわかります。
でも、純粋に面白いお話なので、まだの方はぜひ読んでみてくださいね。すごくボリュームがあるお話で、読み応えがあります。雨の週末など、時間がたっぷりあるときに、大き目のマグカップになみなみとアメリカンコーヒーをいれて読むことをおすすめします。
楽しい読書タイムを。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
当然ながら、戦闘シーンや暴力シーンはあります。また、今回は何人かキャラクターも死にます。ただし、気をつけて書かれているので、そんなに残虐ではありません。「そう言うシーンがある話なのだな」と身構えていれば大丈夫な方なら、面白いのでおすすめです。
読後はハンバーガーやフライドポテトなどが食べたくなるかもしれません
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