【メアリー・ポピンズ】スーパーナニーと公園に行こう。彼女となら毎日がファンタジー【小学校中学年以上】

2020年8月1日

広告

公園のメアリー・ポピンズ P.L.トラヴァース/作 林容吉/訳 岩波少年文庫

メアリー・ポピンズは、バンクス家に三回来て去っていきました。これは、三冊の本に入りきらなかったおはなしをまとめたものです。メアリー・ポピンズとの毎日は、不思議がいっぱい。彼女と一緒に公園に行くと、いつも素敵なことがおきるのです……

この本のイメージ ファンタジー☆☆☆☆☆ ノスタルジー☆☆☆☆☆ ミラクル☆☆☆☆☆

公園のメアリー・ポピンズ P.L.トラヴァース/作 林容吉/訳 岩波少年文庫

<P.L.トラヴァース> 1899~1996年。オーストラリア生まれ。イギリスの児童文学作家。77年、大英帝国勲章(OBE)。著書に「風にのってきたメアリー・ポピンズ」など。 

東風に乗ってバンクス家にやってきた、不思議なナニー、メアリー・ポピンズは、三回やってきて帰って行きました。この本は、四度目の話ではなくて、三回のなかで本に入りきらなかったおはなし集です。

今回のメニューはこちら。

 1.どのガチョウも白鳥
 2.まことの友
 3.幸運の木曜日
 4.物語のなかの子どもたち
 5.公園の中の公園
 6.ハロウィーン

公園のメアリー・ポピンズ P.L.トラヴァース/作 林容吉/訳 岩波少年文庫

今回のお話は、全部舞台が公園なので、タイトルは「公園のメアリー・ポピンズ」。
隠されたテーマは、「外から見える姿と真実の姿」です。

自分が真実だと信じているものは、ほんとうに真実なのだろうか?
真実だと思っているものの、いちばん外側をそっとめくってみたら、何があるのだろう?

そんな気持ちにさせてくれるオムニバスです。

わたしのお気に入りは、「物語のなかの子どもたち」。
ジェインが持っている「銀色の童話集」の中から、登場人物の三人の王子と一角獣が飛び出してきます。

実は、物語のなかの王子たちは、物語のほうの世界では「こちら側」のことが書いてある本を読んでいたのです。
だから、こちら側に来た王子たちは、ふだん絵本でしか知らない世界に触れられて大喜び。公園の、絵本に描かれていない部分を知りたがり、案内するマイケルやジェインたちと楽しく遊びます。

ところが、大人たちが、王子たちが連れている一角獣の存在に気がつきます。
大人たちは、三人の王子には目もくれず、一角獣を見つけて上を下への大騒ぎ。

公園番、ラークさん、教授、お巡りさんと、どんどん人が増えて行きます。

子どもたちが何を言っても、一角獣に夢中で耳を貸さなかった大人たちですが、だんだん、「王子たちが何者か」に気がつきはじめます。
それぞれが、子どもの頃、「銀色の童話集」を読んだことを思い出すのです。

大人たちがどんどん思い出してくるあたりでは、目の奥が熱くなってきて、ラークさんが腕輪のことを思い出すあたりでは、泣いていました。

ここからちょっとネタバレ 大丈夫な方はクリックしてね

 「そうです、そうです、わたしも年をとってきたんです。」と、ラークおばさんは、たれさがる髪の毛のあいだから、じっと目をこらして、いいました。「あなたがたのこと、また、忘れてしまうでしょうよ、大すきな王子さま!ですけど、どうか、わたしのこと忘れないでちょうだい!わたしのこと、覚えていてもらうのに、なにをあげるのがいいでしょう?わたしは、」━━といって、ポケットのなかを、かきまわしました━━「もちものを、ずいぶん、なくしちゃったんですよ!」
 「ぼくら、けっして、忘れません。」と、ヴェリタンが、やさしくいいました。「それに、もうちゃんと、いただいたものがあります。」
 そして、ビロードの袖口をまくって、手くびで光っているものを見せました。
 「わたしの腕輪ですわ! でも、それ、ただのガラス玉なんです!」
 「とんでもない!」と、ヴェリタンが叫びました。「ルビーです!サファイアです!」
 そして、頭のうえに手をかざすと、腕輪が夕日の光にきらきら輝いて、だれもかれも、目がくらむほどでした。(P213)

 このお話の中でのメアリー・ポピンズは、ふたつの物語の中をつなぐ存在です。
 三人の王子たちは、メアリー・ポピンズを見つけると、「とうとう会えた!とうとう会えたね、メアリー・ポピンズ!」と大喜びで駆け寄ります。
 どうやら、「あちら側」の物語の世界の中でも、メアリー・ポピンズは、三人の王子のナニーだったようです。

 マイケル、ジェインと思う存分遊び、大人たちに思い出してもらって満足した三人の王子は絵本の中へ帰っていきます。
「覚えてて!覚えてて」と手を振って。

 でも、マイケルとジェイン以外の大人たちは、全員、また忘れてしまうのです。

 もちろん、メアリー・ポピンズは例外です。

 メアリー・ポピンズは、物語の中でも超自然的なキャラクターとして描かれ、その正体については語られません。
 なんでも知っていて、なんでも出来て、子どもたちしか見えないはずの不思議世界を当然のように見ることができて、ズカズカと入っていくことすら出来る。

 怖いものなんかひとつもない。なにがあっても、言いたいことはきっぱり言うし、難しい仕事もすいすいとやり遂げてしまう。口うるさくて手厳しいけれど、どんなに突拍子がないことでも、やるといったことはきちんとやり遂げるのです。

 そして、子どもが危機におちいった時は、絶対に助けに来てくれる。
 たとえ、それが、宇宙の果てだとしても。

 最高に心強いスーパーナニーなのです。

 「風にのってきたメアリー・ポピンズ」を最初に読んだときは、あまりの毒舌に「うわー、キツイ人だな!」とびっくりしたのですが、この、お愛想もお世辞も言わない、ピリリと辛口なナニーの魅力がだんだんわかってきました。

 ときに自信過剰にも見える(実際、バンクス夫人も「うぬぼれが強すぎて、ひとりよがりだわ」と思うこともあります。どうにもくじけて、本人には言えないのですが)堂々としたメアリー・ポピンズの佇まいが、子どもたちには、どれほど頼もしいことか。

 メアリー・ポピンズは、子どもに思う存分冒険させてくれ、危なくなったら助けに来てくれる、小さな子どもにとっての理想の保護者なのです。

 このレビューでメアリー・ポピンズに興味を持った方は、ぜひ「風にのってきたメアリー・ポピンズ」から読んでみてください。その後、「帰ってきたメアリー・ポピンズ」「とびらをあけるメアリー・ポピンズ」と続きます。

 小さなお子様だけでなく、働く女性やがんばる女性におすすめの、元気が出るファンタジーです。

 キャリアウーマンなんて言葉もなかった頃の物語ですが、どこまでも甘くない、でも素敵にカッコイイ、スーパーヒロインの物語をどうぞ。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。日常が魔法に変わる、不思議ファンタジーです。お茶のシーンが最高においしそうなので、読後のティータイムのために、あつあつのアッサムのミルクティーと、ビスケットかスコーンをご用意ください。
 ちょっとお行儀はよくないけれど、大きな口でガブッと食べちゃうと、マイケルやジェインの気持ちになれます。(食事の前は、丁寧に手を洗ってくださいね)

 休日の午後、陽のあたるお部屋で、ゆっくりとお楽しみください。晴れた日には、公園で読書するのも気持ちいいですよ!

 

何度も映像化されていますので、本を読んだ後は映画も楽しめます。浅田真央ちゃんのEXプログラム「メアリー・ポピンズ」も、ご覧になってください。本を読んでからだと感動もひとしおです。

メアリー・ポピンズおすすめの順番

いつもありがとうございます

にほんブログ村 本ブログへ

広告