【しょうぼうじどうしゃ じぷた】50年以上読み継がれるロングセラー絵本。ちっちゃな消防車の大活躍【3~4歳】

2024年2月12日

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しょうぼうじどうしゃ じぷた 渡辺茂男/作 山本忠敬/絵 福音館書店

ある町の真ん中に、消防署がありました。そこには、はしご車ののっぽくんと、高圧車のはんぷくんと、救急車のいちもくさんがおりました。そして、そのすみっこに、古いジープを改良したちびっこ消防車のじぷたがいたのです……

この本のイメージ 勇気☆☆☆ 個性☆☆☆☆☆ 適材適所☆☆☆☆☆

しょうぼうじどうしゃ じぷた 渡辺茂男/作 山本忠敬/絵 福音館書店

<渡辺茂男>
渡辺 茂男(わたなべ しげお、1928年3月20日 – 2006年11月18日)は、日本の児童文学者、翻訳家。昭和時代戦後から平成時代にかけて、児童文学を多数創作したほか、英米の絵本や童話を中心とした児童文学や海外の児童文学理論の翻訳を数多く手がけた。元慶應義塾大学文学部図書館学科(現在の図書館情報学専攻)教授。(Wikipediaより)

 絵本界では伝説のロングセラーのご紹介。作者は、「エルマーのぼうけん」の翻訳の方でもあります。

 ある町にの消防署のメンバーは、はしご車ののっぽくん、高圧車のはんぷくん、救急車のいちもくさん、そして、ちびっこ消防車のじぷたです。

 じぷたは、古いジープを消防車に改造した、ちっちゃな消防車でした。

 大きなビルで家事がおきると、のっぽくんが駆けつけて、ぐんぐんはしごを伸ばして火を消したり人を助けたりします。大きな火は、はんぷくんが強い鼻息で水をぶっかけて、じゅんと消してしまいます。そして怪我人は、いちもくさんが病院まで大急ぎで運んでくれます。

 火事のときは、この三人(?)が駆けつけて、大活躍するのです。

 そんな消防署で、ちびっこのじぷたは、大きな火事ではいつもお留守番でした。
 小さなじぷたには、小さなはしごも小さなポンプもついていましたが、小さすぎて、役に立たなかったのです。

 けれども、じぷたは働き者でした。小さな家の小さな火事をがんばって消しました。狭い道に入って火事を消し、よく働きましたが、仲間たちは、その仕事を認めてくれませんでした。

 ところがある日、山小屋が火事になり、山道が狭く、のっぽくんもはんぷくんも登れず、いちもくさんもすぐには必要がないがいつ山火事になってもおかしくない事態となりました。

 そこで、はしごもホースもついていて、山道もなんなそので走れるじぷたが出動することになったのです。

 そして……

 じぷたの大活躍は、どうぞ絵本を読んで確かめてみてください。

 これは、普段は日陰にいる存在に陽が当たるお話です。
 みんなが同じでなくてもいい、それぞれには個性があり、その個性が輝く場所はきっとある。

 善い悪い、優れている劣っているではなく、すべてはただの個性であり、短所は長所でもあるのです。

 じぷたが「劣っている」と思っていたところ、みんなが「たいしたことない」と考えていたところは、ラストで全部ひっくり返り「なくてはならない」じぷただけの長所になりました。

 それは、消防署と言う場所全体で考えてもそうで、「お荷物」だと思われていたじぷたが「最大の武器」として活躍する局面があったわけです。

 すべては適材適所であり、どんな人にも輝く場所がある、と言う、励まされるおはなしです。

 このおはなしには、教訓的側面はあまりありません。
 教訓的なお話とは、たいていの場合、登場人物になにかしら改めなければならないところがあって、その人が大失敗したり懲らしめられたりすることで心を入れ替え、改善するというもの。そうでなければ、改めないので罰が当たって滅んでしまう、と言う展開です。

 子どもに道徳を教える場合に、どうしても必要な場合もあるので、教訓童話のよさもあるのですが、物語として楽しみにくいのも確かです。

 そして、案外、大人になっても覚えている絵本は「だれも悪者にしない物語」だったりするものです。

 これが、はしご車たちが普段からじぷたを意味もなく暴力をふるったりしていじめていたりしたら、ぜんぜん違う話になっていたでしょう。
 また、じぷたが「努力して」車体を大きくしようとがんばったり、「無理をして」長いはしごをつけようとしたりしたら、じぷた自身のよさは失われてしまっていたでしょう。

 そうじゃないんです。彼らのあいだにあったのは、「大きくて力が強くて立派なほうがいい」という、凝り固まった価値観であって、小さなじぷた自身もその価値観に巻き込まれて自分のよさに気づけないでいただけなのです。

 つまり、だれも悪くはなく、ただ、じぷたが生きづらい「価値観」がそこにあっただけ。

 そして、小回りがきき、悪路を登り、小さなはしごを掛けられる、小さなじぷたの価値に、だれかが気がつく瞬間が訪れたのです。

 たったひとつの「発想の転換」で、じぷたは本領を発揮することができ、一躍ヒーローになります。もちろん、じぷたを持っている消防署も隣村から感謝されます。

 示唆に富む物語です。

 「虐げられていた人が最後には評価されました」という単純な話ではなく、「こうすれば、みんながもっと幸せになれる」と言う、「幸せへのヒント」がたくさん詰まっている気がします。

 最近では入手困難になりがちな絵本ですが、子どもだけでなく大人にもおすすめの内容です。
 乗り物大好きなお子様や体格が小さいお子様にもおすすめ。どうぞ、読み聞かせしてあげてくださいね。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 HSCやHSPのためのような絵本です。ネガティブな要素はなく、はげまされます。
 大人が読んでも、意味深く、癒しと励ましをくれる絵本です。
 「じぷた」を読んだら「エルマーのぼうけん」もどうぞ。

商品紹介ページはこちら

 

 

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