【わたしはあなたをしんじてる】愛犬がセラピードッグにデビュー。本と動物の絵本、シリーズ第3巻。【絵本】【7歳 8歳 9歳】

2024年3月26日

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わたしはあなたをしんじてる リサ・バップ/作 菊田まりこ/訳 WAVE出版

図書館犬ボニーの子スターはマディの大切な愛犬。そのスターがセラピー・ドッグのテストをうけることになりました。一生懸命スターの訓練に付き合うマディ。お年寄りとのふれあいも上々です。けれど、ひとりだけ、スターと触れ合ってくれないおじいさんがいて……

わたしはあなたをしんじてる リサ・バップ/作 菊田まりこ/訳 WAVE出版

<リサ・パップ>
アメリカの児童書作家。NAPPA賞、キーストーン・リーディング賞など、イラストでも文章でも、多くの賞を受賞。アメリカ・ペンシルバニア在住。

<菊田 まりこ>
絵本作家。グラフィックデザインの世界をへて、絵本の創作に。絵本デビュー作『いつでも会える』で、1999年度ボローニャ国際児童賞・特別賞を受賞。主な著作に、『君のためにできるコト』『君はわらうかな』『だっこしておんぶして』『ゆきの日――on Chiristmas day』など。絵本だけでなくエッセイでも活躍。

 「わたしのそばできいていて」からはじまる、マデリーンと本と犬の物語絵本。第3巻です。原題はMadeline Finn and the Therapy Dog.(マデリーン・フィンとセラピー・ドッグ) アメリカでの初版は2020年。日本での初版は2021年1月です。

 お話が完全に続いている、絵本では珍しい続き物なので、まずは、「わたしのそばできいていて」からお読みになることをおすすめします。第2巻は「いまのわたしにできること」です。どれもとてもいいお話です。

 「わたしのそばできいていて」のレビューはこちら

 お話は……

 図書館犬ボニーのおかげで本を読めるようになったマディは、ボニーの子スターを飼うことになりました。スターはボニーのような立派なセラピードッグになるべく、マディとトレーニング。

 テストの結果は上々でしたが、ただひとり、車椅子にのったおじいさんがスターに打ち解けてくれません。
おじいさんは、いつも無口でさみしそう。

 どうしても心を開いてくれないおじいさんのために、マディは、そっと近くに座り、本を読み始めました……

 ……と、いうのがあらすじ。

 「わたしのそばできいていて」では、本が読めなかったマディがボニーに読み聞かせをすることで、上手に本が読めるようになりました。
 「いまのわたしにできこと」では、シェルターの犬たちにマディたちが読み聞かせをすることでケアをします。
 今回の「わたしはあなたをしんじてる」では、マディはセラピードッグ見習いのスターと一緒に、心に傷を持った孤独なおじいさんの傍で絵本を音読することで、おじいさんの心を癒します。

 最初は、話しかけたり手品を見せようとしたりして、無理におじいさんの心をひらかせようとしたマディですが、自分が本を読めるようになったときのことを思い出し、おじいさんの近くにそっと座って、本を音読し始めます。

 相手の心を癒すには、そっと寄り添ってあげることがいちばんだと思い出したのです。

 マディが本を読んでいるうちに、おじいさんの心が溶け、おじいさんはスターの頭をなでてくれます……

 「読み聞かせ」と言うと、大人が小さな子どもにしてあげることが通例ですが、小さな子どもが高齢者に読み聞かせしてあげるのも癒し効果があり、実際にそういうボランティア活動はあるようです。

 歳をとってくると、小さな字が読めなくなって読書ができなくなる人も多いのですが、もともとの本好きは物語への欲求はかわらずあるのです。また、小さな子どもの純粋で一生懸命な声は、それだけで癒されます。

 以前は、本を音読するのにとても苦労していたマディですが、今は自分が本を音読することが誰かの役に立つと信じられるようになったようです。マディ、成長していますね。

 このマデリーンのシリーズは、「動物」と「本」と「子ども」をテーマに、小さな子どもが成長しながらさまざまな社会活動に参加する姿を描いています。

 子どもの頃から日常的にさまざまなボランティアなど社会活動に参加させるアメリカらしい絵本です。
 日本では、子どもがお金を稼ぐことも、個人的にボランティア活動をすることもあまり歓迎されていません。
それは、そのようなことをすると、子どもをだます悪い人との接点が生まれてしまうからでもあるのですが、その分、純粋培養のツケは高校卒業くらいにいきなりやってきます。

 とくに、今後は高校3年で成人を迎えるので、クレジットカードなど各種契約がすべて個人の判断で可能になります。いままであった二年間の猶予期間は高校卒業してから社会に出るまでの準備期間として機能していましたが、それがなくなります。

 本当に大丈夫なのだろうか、と年寄りのほうがハラハラしてしまいます。最近の若者はSNSなどで情報をとるのが速いので大丈夫なのかもしれませんが……

 そんなこともあって、小さな頃から社会活動になじむのは、もしかしたら今後の日本には良いことなのかもしれません。

 マデリーンのシリーズは、「動物」が持つ癒しのパワーと「本」が持つ大きな力を教えてくれる絵本です。マディは最初、上手に本を音読できない子でした。

 そんなマディが犬たちと本と付き合ううちに、頼もしく成長してゆきます。
 本好きのお子さまにも、また、今は本が好きではないけれどお子さまに本を好きになってもらいたい保護者の方にもおすすめの絵本です。

 どうぞ、読み聞かせしてあげてください。そして、読み聞かせが終わったら、今度はお子さまの読み聞かせを聞いてあげてくださいね。

 どっしりと地に足がついた、確かな夢や目標へと扉を開けてくれる絵本です。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。いつも前向きな気持ちにさせてくれるシリーズ絵本です。
 動物や本と触れ合いながら、主人公のマデリーンが自分のできることを生かして社会活動に参加してゆきます。

 絵本でありながら、外の世界へと開けたお話なので、少し異色です。内向的なお子さまに、社会活動について興味をもってほしい場合は、おすすめです。子供同士だけでなく、大人を交えた人間同士のお付き合いについて、小さな子どもにもわかりやすく描いています。

 

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