【わたしのそばできいていて】本を読むのが苦手なマディと読書介助犬ボニーの交流。読み聞かせに超おすすめの絵本です!【7歳 8歳 9歳】

2024年2月29日

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わたしのそばできいていて  リサ・パップ/作 菊田まりこ/訳 WAVE出版

マディは文章を読むのが大の苦手です。学校で音読するといつもつっかえてしまい、もらえるのはハート(がんばりましたね)のシールばかり。でも、ほしいのは星(優秀)のシール。そんなとき、図書館で大きな白い犬ボニーに出会い……

この本のイメージ 苦手克服☆☆☆☆☆ 相棒は犬☆☆☆☆☆ 自己肯定☆☆☆☆☆

わたしのそばできいていて  リサ・パップ/作 菊田まりこ/訳 WAVE出版

<リサ・パップ>
アメリカの児童書作家。NAPPA賞、キーストーン・リーディング賞など、イラストでも文章でも、多くの賞を受賞。アメリカ・ペンシルバニア在住。

<菊田 まりこ>
絵本作家。グラフィックデザインの世界をへて、絵本の創作に。絵本デビュー作『いつでも会える』で、1999年度ボローニャ国際児童賞・特別賞を受賞。主な著作に、『君のためにできるコト』『君はわらうかな』『だっこしておんぶして』『ゆきの日――on Chiristmas day』など。絵本だけでなくエッセイでも活躍。

 いい本に出会いました!
 原題はMadeline Finn and the Library Dog. 意味は、「マデリーン・フィンとライブラリドッグ(読書介助犬)」です。

 主人公マディ(マデリーンの愛称)は、本を読むのが苦手な女の子。学校で読むといつもつっかえてしまい、くすくす笑われてしまいます。それで、字を読むこと、本を読むことが大嫌いになってしまっていました。
学校ではいつも先生から「よくがんばりましたね」のハートのシールばかりをもらいます。けれど、本当は、「よくできましたね」の星のシールがほしいマディ。

 毎日がんばりますが、どうしてもうまくゆかず……

 ところがある日、マディは図書館でボニーと言う、ふわふわの大きな白い犬に出会います。
 司書のテンプルさんが言うには、「ボニーに本を読んであげて」。

 犬に本を読んであげるの?
 びっくりするマディですが、ボニーのやさしい瞳にみつめられて、ゆっくりゆっくり読んでいるうちに、だんだん読めるようになってゆきます。

 そして、ついに…というお話。

 欧米には図書館には読書介助犬という、本の読み聞かせの相手をする犬がいるようです。もちろん犬なので、大人しく聞いているだけなのですが、それだけでセラピー効果があり、子どもは本をよめるようになるようです。

 人間相手だと、間違えたときに笑われたり、せかされたりされて、緊張するあまり「本を読む楽しさ」を発見できないうちに苦手意識が生まれてしまうからでしょう。

 実は、わたしは何年か前に、体調不良で倒れていたとき、一時的に本が読めなくなってしまったことがありました。

 何度読んでも、目が滑って、文章の内容が頭に入ってこなかったのです。たぶん、ストレスが原因だったのだろうと思いますが、詩などのごく短い文章や絵本を読んだりしながら、ゆっくりと「文章を読む」練習を繰り返し、それから少しずつ長い文章の本に切り替えてゆくなどして、なんとかまた本を読めるようになりました。

 ただ、「本が読めない」とわかったときは、「このまま一生本が読めないままだろうか」と不安で、さまざまなことが怖かったのをおぼえています。

 不思議なことに、本が読めないときもメールやちょっとした文章は書けたので、「読む」力と「書く」力は、脳の別の部分を使うんだなと実感しました。人間の能力って、不思議ですね。

 わたしは、仕事が忙しいとき、「本なんていつでも読める」と軽く考えて、好きな読書をずいぶん長い間後回しにしていました。ところが、いざ体調を崩して、寝床で読書くらいしかできないとなったときに、本が読めなくなっていたのです!

 わたしは、大好きな読書を後回しにしてきたことを心底後悔しました。

 けれど、そんな日々に、絵本から「読書のおさらい」を始めたことで、健康な身体で忙しく働いていたら絶対に出会えなかったような絵本や児童文学との出会いがありました。
 人生、何がさいわいするか、わかりませんね。

 この絵本の主人公、マディはがんばりやだけど、本が読めません。「本なんか読まなくても楽しく生きていける」という子ではなくて、ちゃんと読みたくて、それでいて読めなくて、くやしい女の子です。

 わたしは、教室で周囲にクスクス笑われながら本を音読していたわけではありませんが、体調を崩してほんとうに何も読めなくなっていた頃(一時的症状でした)、短い文章すらちゃんと読めなかったとき、悔しくて悔しくて涙が出ました。

 当時は字の大きい、低学年用の本を1冊読んでも達成感より疲労感が大きく、「オズの魔法使い」を1冊読みきるのに、一週間以上かかっていたんです。

 いま、こうやって読書ブログを書けるようになるまでになったのは、当時のことを思えば感慨深いものです。いろんなことが、もう無理なんじゃないかと悲観していましたから。(けっこう短期間のことで、いまは本が読めるし体調もかなり回復しています)

 しかし、そんな事情から、「忙しいからと好きなことを後回しにして思い残すことがないようにしよう」と心に決めました。
 今は、思う存分本を読んでいます。

 その人にとって、どうしても大切なもの、やりたいことは、ひとそれぞれだと思います。
 わたしにはそれが読書だったと言うだけで。

 しかも、有名なベストセラーや流行の本を読みたいというわけでもないんです。人間と同じように、本とのあいだにも出会いがあり、自分のための本に出会いたい、それだけなのです。もちろん、このサイトも、そういう出会いのお手伝いのために作ったサイトです。

 この絵本のマディの相棒、ボニーはお母さん犬なんですね。
 わたしは常々、動物の母性は人間より強いのではないかと思っているのですが、せかさず多くを要求せず、ばかにせず、ただ見守ってくれるボニーのおかげで、マディは本が読めるようになります。

 それは、「上手に読めない」マディが肯定されたことで、逆説的に彼女は上手に本が読めるようになったというわけなのです。人間はどうしてもせかしたり、欠点を指摘したりしてしまいますが、そのまま、ありのままを受け止めてくれる存在がいると、結果的に欠点は克服されてゆくということなのでしょう。

 いま話題の「自己肯定感」にも通じる絵本です。
 本が苦手なお子様や、本好きだけど音読が嫌いなお子様におすすめです。大人にも、通じる何かがあれば泣いてしまうくらいひびく絵本です。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 内向的で、本は好きだけど音読が苦手なすべての人におすすめです。読書が苦手な人にも、いいと思います。どうぞ、読み聞かせしてあげてください。

 マディの真似をして、犬や猫に読み聞かせをしてあげるのもいいですね。動物がいないおうちは、ぬいぐるみでもいいと思います。
 ラストは思わず顔がほころんでしまう、ハッピーエンド。マディの顔がだんだん明るくなってゆくのがかわいい。
 読んでいるだけで元気が出てくる、セラピー絵本です。

 

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