【わたしのわごむはわたさない】誰にだってある「じぶんだけのもの」。はじめて手に入れたものは……【3歳 4歳 5歳】

あ、わごむだ。おかあさん、おかあさん、このわごむ、すてちゃうの? ねえ、このわごむちょうだい!……はじめて手に入れた「わたしだけのもの」。この喜び、伝わるかしら? 子どもの「あるある」が詰まったゆかいでかわいい絵本です。
この本のイメージ 自分だけのもの☆☆☆☆☆ 子どもの想像力☆☆☆☆ 切り替え速い☆☆☆☆☆
わたしのわごむはわたさない ヨシタケシンスケ/作 PHP研究所
<ヨシタケシンスケ>
1973年、神奈川県生まれ。筑波大学大学院芸術研究科総合造形コース修了。「りんごかもしれない」「もうぬげない」(以上、ブロンズ新社)、「りゆうがあります」「なつみはなんにでもなれる」「おしっこちょっぴりもれたろう」(以上、PHP研究所)、「あつかったらぬげばいい」(白泉社)で、MOE絵本屋さん大賞第1位、「りんごかもしれない」で、第61回産経児童出版文化賞美術賞を受賞。著書に、「このあとどうしちゃおう」「ころべばいいのに」「ねぐせのしくみ」(以上、ブロンズ新社)、「ふまんがあります」「わたしのわごむはわたさない」(以上、PHP研究所)、「つまんないつまんない」(白泉社)、「あるかしら書店」(ポプラ社)、「みえるとかみえないとか」(アリス館)などがある。2児の父。
ユニークな絵本を生み出し続けるヨシタケシンスケ先生の絵本。初版は2019年。
「わたし」がたまたまゴミ箱のそばに落ちていた輪ゴムをみつけ、おかあさんにもらうところから始まるショートストーリー。
いつもながら、ヨシタケ先生の描く小さな子どもの想像力が果てしない。
でも、あるある、こういうこと。
米粒ほどの小さなことから宇宙規模までに想像が羽ばたくこと。幼いころはそんな力がたしかにあったはず。
ゴミ箱のそばに落ちていたただの輪ゴムだけど、おかあさんにもらった、はじめての「わたしだけのもの」。
誰かのおさがりでもなく、誰かと一緒に使うのでもなく、誰かから借りたものでもなく。
たしかにこの「自分だけのもの」って、本当にうれしい。
きょうだいがいたりすると、買ってもらえるものはどうしても「みんなで使えるもの」になりがちだけど、自分だけの、自分が好きに使えるものがどうしてもほしい瞬間はあります。そんなときだけは、一人っ子がうらやましく思えたり。
この「わたし」の気持ち、ユーモラスに描いていますが小さな子なら一度は切実に思ったこと。この感覚をヨシタケ先生はどうして忘れずに覚えてるんでしょうか。
小さなお子さまには「そうそう、そうなのよ!」と共感でき、大人が読むとなんだか懐かしくなる絵本です。
すべての字は手書き文字のひらがななので、五十音が読めればひとりでコツコツ読みきることができます。サイズも16.26 x 1.02 x 16.26 cmと小さくて持ち運びしやすい。
親子で読むと、大人は子ども時代にもどったような不思議な感覚になります。「わたし」が欲しがる「わたしだけのもの」が高価なおもちゃやレアもの商品などではなく、ありふれた「輪ゴム」なところがなんともほほえましい。
別に限定商品やブランド品が欲しいわけじゃない。
ありきたりのものでもいいから、「自分だけの」大切な宝物が欲しい。
そんな、誰もが心のどこかで持っている小さな願いを「わたし」が代弁してくれます。はてしなく広がる想像力で。
かわいくて、懐かしくて、そしてクスッとできる絵本です。
きょうだいのいるお子さまに。大人のなごみ絵本としても。
子どもから大人まで、「自分だけのなにか」がほしい人におすすめです。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はありません。
小さなお子さまが読めばありふれたものの中に「自分だけのもの」を見つけ出す感受性を受け取るでしょうし、大人が読めば懐かしさをおぼえて癒されます。
読後は、ちょっとしたものがキラキラと輝いて見えるようになります。
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