【はたけの絵本】やわらかな筆致で描かれる畑の作物と生き物たち。絵と詩で感じる畑の絵本。【4歳 5歳 6歳】
「いわむらかずお絵本の丘美術館」の周囲には広々とした農場があります。この絵本は、畑の植物とそこに棲む生き物たちをやわらかな筆致で描き、やさしい言葉で綴られた詩が添えられたものです。スマートフォンでQRコードを読み込むと、朗読動画を聴くことができます。
この本のイメージ 畑の自然☆☆☆☆☆ 韻を踏む詩☆☆☆☆☆ 朗読音声付☆☆☆☆☆
はたけの絵本 いわむらかずお/作 竹房敦司/朗読 創元社
<いわむら かずお>
日本の絵本作家。「14ひきのシリーズ」(童心社)や「こりすのシリーズ」(至光社)は国内だけでなく、フランス、ドイツ、台湾などでもロングセラーとなり、世界の子どもたちに親しまれている。
「14ひきのあさごはん」で絵本にっぽん賞、「14ひきのやまいも」などで小学館絵画賞、「ひとりぼっちのさいしゅうれっしゃ」(偕成社)でサンケイ児童出版文化賞、「かんがえるカエルくん」(福音館書店)で講談社出版文化賞絵本賞受賞。2014年にフランス芸術文化勲章シュヴァリエを受章。1998 年4月栃木県馬頭町に「いわむらかずお絵本の丘美術館」を開館。絵本・自然・子どもをテーマに活動を始めた。
2022年7月初版の比較的新しい本です。
畑の12ヶ月を絵と詩で綴った、やさしさいっぱいの絵本。
収録されている絵と詩は、
1 がつ だいこんとのうさぎ
2 がつ あずきとてんとうむし
3 がつ じゃがいもともぐら
4 がつ えんどうまめとちょう
5 がつ びーるむぎとひばり
6 がつ いねとほたる
7 がつ きゅうりとかまきり
8 がつ かぼちゃとみつばち
9 がつ とうもろこしときつね
10 がつ さといもとかえる
11 がつ とうがらしとあかとんぼ
12 がつ さつまいもといのしし
です。
畑の作物と、そこで生きる生き物との、一年間の交流や共存などが描かれています。なんともいえないかわいらしさ、ほほえましさのある絵、不思議な美しさをたたえた絵が収録されています。
「じゃがいもともぐら」のとぼけた雰囲気も可愛いけれど、「さといもとかえる」は美しい。「びーるむぎとひばり」は、美と愛らしさの共演。自然のなかで出会う、ふとした瞬間を鮮やかにとらえ、絵と詩にして魅せてくれるのです。
詩は韻を踏んでおり、やさしく、時には愛嬌に満ちていて、読むのも聞くのも楽しい。すべての字がひらがななので、ひらがなさえ読めれば1人読みが可能です。読み聞かせも楽しいでしょう。
お忙しいご家庭のために、専用の朗読動画があり、スマートフォンでQRコードを読み込むと朗読動画に跳ぶように作られています。これで読み聞かせが苦手な保護者の方も安心。
文明のなかで暮らしていると、食卓に並ぶ野菜がどこからどうやってきたのか、なかなか知る事はできません。しかし、こんなふうに畑で様々な生き物たちと一緒に育ち、大きくなって自分のお皿の上にやってきたのだと知ったら、大きな感慨があるのではないでしょうか。知ることでやさしくなれることがあるのです。
現代社会では分業化がすすみ、自分の身近なものやことでも遠くの人が担っているとわからないことが多いものです。この絵本は、子どもたちと野菜たち、そして虫や動物たちとの距離を縮めてくれるでしょう。
いつもはかわいらしい動物たちを描いてくれるいわむら先生ですが、今回の絵本では愛らしさもさることながら美しさが際立ちます。
大自然の美しさを教えてくれる絵本です。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はまったくありません。大自然と、絵本を読む子どもたちへの優しさと愛情に満ちた絵本です。畑の作物と、そこに棲む動物たちを表情豊かに描いており、かつ、12ヶ月のそれぞれの月の絵と詩が描かれているため、作物の旬を知ることができます。
感受性を刺激してくれる絵本なので、HSCのお子さまならば、より多くのことを感じ取れるでしょう。おすすめです。
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