【たくさんのドア】「ちいさなあなたへ」のアリスン・マギーの絵本。子どもへの愛が詰まってる。大人にも。【子どもから大人まで】
ベストセラー「ちいさなあなたへ」を生み出したアリスン・マギーの、親の愛がいっぱい詰まった絵本です。人生の荒波をこえてゆく子どもへのエールに満ちています。
この本のイメージ 人生へのエール☆☆☆☆☆ 子どもから大人まで☆☆☆☆☆ 弱っているときに読む本
たくさんのドア アリスン・マギー/文 ユ・テン/絵 なかがわちひろ/訳 主婦の友社
<アリスン・マギー>
児童書作家。“Rainligt"でミネソタ・ブック・アワード受賞、“Shadow Baby"でピューリッツアー賞にノミネートされるなど、高い評価をえた作品を発表しつづけている。
主な作品に「ちいさなあなたへ」「きみがいま」(主婦の友社)、「どんなときもきみを」(岩崎書店)など。米国ミネソタ州在住。
<ユ・テン>
韓国生まれの絵本作家・イラストレーター。ソウルの弘益大学を卒業後、アメリカに渡る。ニューヨークのスクール・オブ・ビジュアル・アーツ卒業。初めて手がけた絵本「きんぎょ」(らんか社)は、2007年に、米国イラストレーター協会が、米国で一年間に出版された児童書のなかで優秀な作品に贈られるファウンダー賞を受賞。
日本に紹介されている作品に「かさの女王さま」(らんか社)がある。ニューヨーク在住。
<なかがわちひろ>
創作絵本や童話、海外絵本の翻訳など、児童書のさまざまな分野で活躍。
創作絵本に「のはらひめ」(徳間書店)、童話に「かりんちゃんと十五人のおひなさま」(偕成社・野間児童文芸賞)、「天使のかいかた」(理論社・日本絵本賞読者賞)など。翻訳に「ちいさなあなたへ」「こころのおと」(主婦の友社)、「105にんのすてきなしごと」(あすなろ書房)など多数。
ベストセラー「ちいさなあなたへ」のアリスン・マギーがおくる、ハートを励ます絵本です。原題は SO MANEY DOORS.
アメリカでの初版は2010年。日本での初版は2018年です。
「ちいさなあなたへ」は、母が子どもに送るメッセージ集で、母の愛がいっぱいにあふれた絵本です。
このブログでも、取り上げています。
「ちいさなあなたへ」のレビューはこちら↓
この絵本も、ストーリーではなく、詩のようなメッセージなのですが、一人で立って歩けるようになった年くらいの子ども(だいたい幼稚園から小学校低学年くらい)に、これからの人生へのエールを送る内容になっています。
生きていくということは、たくさんのドアをあけてゆくことであり、その先には大変なことや辛いこともあるかもしれないけれど、たくさんの幸せもある……
そして、あなたは自分がどんなに強いかまだしらないだろうけど、とてもあなたは強いんですよ
と言うメッセージ。
母親の娘への愛を描いた「ちいさなあなたへ」と違うのは、親の性別が固定されていないこと。子どもの絵も、女の子とも男の子ともとれるようになっています。
漠然としたメッセージになっているぶん、逆に様々な環境、状態の人にもあてはまるように描かれています。
これから長い人生を生きてゆくちいさな子どもへのエールとして読むこともできれば、成長した大人への応援歌としても読めるのです。
貫かれているテーマは、「自分自身の強さを信じること」。
自分は自分が思っている以上に強いので、人生で出会う様々なドアを開けて、たくさんのドアを潜り抜けて、新しい体験をして、すばらしい場所へと旅立ってほしい、と言う絵本です。
性別が固定されていないので、「ちいさなあなたへ」を読んで「すごくいい本なのに、性別が違うのでうちには当てはまらない」と悔しい気持ちになった方にはおすすめ。
お母さんから息子へ、お父さんから娘へ、お父さんから息子へ、それだけでなく、きょうだいにも、お友だちにも、後輩にも、エールを送りたいと思った相手になら、誰にでもプレゼントできます。
思えば、このようなエールは、母親が娘に、だけでなく、人から人へ、どんな人にでも感じ、送りたいと思っているもの。
人間は、落ち込んでいる人に、なかなか、適切な言葉をかけられないものです。
しかし、絵本をプレゼントするならば、口下手な人でも相手を励ますことができるかも。
もちろん、お菓子やお花や、そういったもので元気付ける事はできます。音楽もいいですね。でも、「言葉」が必要なときもある。
けれど、誰かが直接「言葉で話す」と、せっかくいいことをいってあげたくても言いたいことが正しく伝わらず、その人とのもともとの関係や、心理的な防衛や、心の壁があって、こじれてしまうこともあります。
そういうときに、絵本は一役買ってくれるのです。
忙しくても疲れているときでも、気軽に読むことができ、やさしい文章で癒されます。
この、絵本の「じぶんのなかの とほうもない ちからを あなたは まだしらない」(引用)と言う言葉が、作者の言いたいことなんじゃないかな。そして、これは「自己肯定感」につながります。
この自力で育てるにはどうしても難しい「自己肯定感」。
日本人は、どうしても自分を責めがちです。責任を背負い込みすぎる人が多いと感じます。もちろん、なんでもかんでも他人のせいにして「自分は悪くない」と言う人は問題がありますが、なんでもかんでも「自分のせい」と自分を責めすぎては、死んでしまいます。
しかし、まれに「全部自分の責任だ」と言いながら、それを励みに出来る人もいます。
つまり「なにがあろうと任せておけ! どんとこいだ」と言って明るく笑ってしまうような人です。
そう言う人は、なんでそう言いきれるのでしょうか。それが「自己肯定感」なのです。
プレッシャーで潰れてしまうのではなく、プレッシャーを楽しむことが出来る、自分も他人も肯定できる人。そんなふうになれたら、人生はきっと、大空のように広々とした、わくわくする大冒険に変わるはず。
つらい子ども時代を送ってきたり、または今現在、理不尽で辛い思いをしている人にとっては、維持することが難しい「自己肯定感」ですが、大自然やおいしい食べ物、良質な睡眠などからできるだけ元気をもらい、この絵本のようなやさしいメッセージに触れてみてください。
すこしずつ、心に元気が戻ってきます。
思うようにならないことの多い世の中ですが、あなたにエールを送ってくれる人は、この世界のどこかにいるのです。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はありません。「ちいさなあなたへ」が母と娘と言う性別が固定された絵本だったので、「自分とは違う」と感じて購入できなかった方におすすめです。
あらゆる人にあてはまるよう、配慮されています。お父さんにも、お母さんにも、男の子にも、女の子にも。
小さな子への誕生日プレゼントはもちろんのこと、社会人になる方へのお祝いや、元気が無い人、落ち込んでいる人、病気の方へのお見舞いにもおすすめです。
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