【ルビィのぼうけん】絵本を読みながらプログラミング思考を学ぶ!自宅でできるプログラミング学習【小学校低学年以上】
ルビィはお父さんが大好きな、ちょっと風変わりな女の子。お留守番中のルビィにお父さんが謎を残して行きました。ヒントをたどって隠された宝石を五つ集めるのです。さて…
この本のイメージ プログラミングの考え方☆☆☆☆☆ ファンタジー☆☆☆☆☆ かわいい☆☆☆☆☆
ルビィのぼうけん こんにちはプログラミング リンダ・リウカス/作 鳥井雪/訳 翔泳社
<リンダ・リウカス>
フィンランド、ヘルシンキのプログラマー。作家兼イラストレーター。アールト大学でビジネス、デザイン、エンジニアリングを、そして、スタンフォード大学で製品エンジニアリングを学ぶ。世界中の若い女性にプログラミングを教えるRails Girlsの創立者。
絵本を読んでいるだけで、プログラミング思考の基礎がわかる、かわいい知育絵本のご紹介です。
動物がたくさん出てくるファンタジーストーリーですが、物語を読んでいるだけで、自然にプログラミングの考え方が学べる画期的絵本なんです。
でも、心配しないでください。「プログラムコードの書き方」が書いてあるわけではありません。
プログラミングをするための「考え方」を学ぶ本なので、全編、ふつうの日本語でふつうの物語が書かれています。だいじょうぶ!
例によって、わたしはプログラミングについて明るくないので、知人のプログラマーに詳しい解説を書いていただきました。
というわけで、
では、どうぞ!
「ルビィのぼうけん」
タイトルだけを見て、最初はプログラミング言語のRubyを小学生向けに解説した本だと勘違い。「おお、あのRubyを絵本にしたんだ、それはすごい」と感心していたのですが、読んで見てまったくの勘違だったと知りました。残念(笑)
この本は「ルビィ」という名の女の子が、5つの宝石を集める冒険をして、その中でプログラミングの基礎概念を知っていく、という絵本なのでありました。
もちろん基礎概念ですから、ここで学んだことをそのままプログラミング言語のRubyでプログラミングすることも可能でしょう。あらゆる言語を学ぶ前に知っておいた方が良い知識です。それを、絵本の形式で学べるわけですね。
これは大人の人むけの話題ですが、第一話の最初、テントの絵があるページで主人公のルビィが床に落書きをしています。インベーダーマークから始まって懐かしいドット絵がたくさん。これ、全部元ネタありますよ。どこまで分かるか、調べてみるのもおもしろいかも。
壁に描かれている絵も、ですね。
元ネタと言えば、出てくるキャラクターにも全部元ネタがありますね。ルビィはもちろんRubyでしょう。パパが大好きというの まつもと ゆきひろさんのイメージでしょうか(笑)
ペンギンたちはもちろんペンギンがアイコンになっているオープンソースのOSでしょう。細かな命令をつなげていくと大きな仕事ができるやつです。
雪ヒョウは英語でいえば“Snow Leopard”、そんな名前のOSがありましたっけ。禅が大好きできれい好き、イライラすると画面に爆弾マークがでる(それは古すぎ)やつですね。ロボットが嫌いというのもいい味です。
そのロボットはマークですぐわかりますね。緑色をした小さい奴ら、ですが、あっという間に増えるのです。
そして、すこし解説がいるかもしれないのはキツネたち。彼らはこの本が出たころにシェアを伸ばしていたオープンソース系のWebブラウザのことでしょう。その後他のブラウザ(ロボットたちのブラウザなど)にシェアを奪われて、最近はあまり耳にしなくなってきているので、分からない人が多いかもしれません。
もう一人、ちょっと知らないとわかりにくいのがジャンゴ君でしょうか。ジャンゴというのはPythonという言語で作られたフレームワークのことです。彼のペットがヘビのパイソンというので、そこに気が付けばすぐわかります。
それぞれ、好き嫌いなどを見てみると、モデルになった元ネタたちの性格がでていて、それも面白かったりします。
そんなところも読みどころかもしれません、が、これは大人の人向けの楽しみですね。
絵本の後半は、前半で知りえた基礎概念を応用して解く練習問題。問題というと身構えてしまうけれど、クイズやパズルのようなもの。ゲーム感覚で取り組めるようになっていて、これも初心者や小さな子向けによくできています。
これもRubyを使って書いてくれたらうれしいなあ。なんて、Ruby大好きの私は思うのですが、どんな言語でも良いし、プログラムの動きをこの本の主人公のルビィのように想像してみるのも良い方法です(電源を使わない、アンプラグド・プログラミングと言います)
そんなふうに名前や言語にこだわらず、「プログラミング」という「概念」を知ること、考え方を身につけてもらうため、著者のリンダ・リウカスさんはあえてルビィという名前であってもRubyではない、そんな描き方をしたのかもしれませんね。
※プログラミング言語のRubyは、日本人のMatzことまつもと ゆきひろ氏によってつくられた非常に優秀な、とてもバランスの良い美しい言語です。オープンソースで作成されていて無料で扱えますので、興味のあるかたは是非学習してみてください。
何といってもドキュメント(説明書)が日本語なので、ありがたいことに翻訳文ではない原文を読めます。すばらしいですね(笑)
※ちなみに、翻訳者の鳥井雪さんもRuby大好きプログラマだそうです。同志がいました!(笑)
ありがとうございました!
絵はフルカラーで全ページに入っており、文章は平易でわかりやすく、物語形式になっているので、読み聞かせにも最適です。
読んでいるうちに、順序だてて考えることや、準備をすること、大きな問題を細かく分解して考えることなど、プログラミングに必要な考え方が頭に入ってゆくようなつくりです。
後半はクイズ形式で、プログラミングの基礎を理解できるようになっています。これも楽しく遊びながら学べるようになっているのがすばらしい。
「学ぶ」ことと「楽しむ」ことが融合した、新感覚の知育絵本。親子でのおうちタイムに、ぜひどうぞ。もちろん、大人にもおすすめです。
「ルビィのぼうけん」はシリーズで現在四巻まで出版されています。
まとめて買うのもいいのですが、一冊のボリュームがかなりあるので、いきなり圧倒されないように、まずは最初の「ルビィのぼうけん こんにちはプログラミング」をお試しください。
もちろん、好奇心旺盛なお子さまなら、最初から全巻そろえてもいいかもしれません。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はまったくありません。新感覚の知育絵本です。
学ぶことが多いので、文章が多めですが、幼いうちから読み聞かせして、親子でプログラミングを学ぶのは楽しそうです。親子で楽しみながら読むのも、大人が入門編として読むのも、お孫さんとの交流のためにお年寄りが読むのも、おすすめです。
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