【ユウと魔法のプログラミング・ノート】魔法のノートでプログラミングを学ぶ! きっとプログラミングが楽しくなる物語仕立ての入門書【小学校中学年以上】
ユウは小学五年生。最近、自分用のコンピューター「ミニオ」を買ってもらったばかり。でも、ユウの「ミニオ」はちゃんと働いてくれない。おとなりのサキちゃんの「ミニオ」は何でも答えてくれるのに……
この本のイメージ プログラミング思考☆☆☆☆☆ ストーリー仕立て☆☆☆☆☆ 総ルビ☆☆☆☆☆
ユウと魔法のプログラミング・ノート 鳥井雪/著 鶴谷香央理/絵 打浪文子/監修 オライリージャパン
<鳥井雪>
プログラマー。二児の母。翻訳書にリンダ・リウカス著「ルビィのぼうけん」シリーズ(翔泳社)、レシュマ・サウジャニ著「Girls Who Code 女の子の未来をひらくプログラミング」(日経BP社)、デイブ・トーマス著「プログラミングElixir」(オーム社、笹田耕一と共訳)など。令和5年度版東京書籍の5 年生国語の教科書に、プログラミングについての文章掲載。Rails Girls Tokyoコーチおよびオーガナイザー、プログラミング初学者のためのオンライン講座講師等、女性や初学者のための活動経験多数。株式会社万葉所属。
<鶴谷香央理>
漫画家。1982年生まれ。富山県高岡市出身。2007年に「おおきな台所」で第52回ちばてつや賞準大賞を受賞し、同作品でデビュー。著作に「メタモルフォーゼの縁側」(KADOKAWA)、「don’t like this」(リイド社)など。
<打浪文子>
奈良女子大学大学院人間文化研究科博士後期課程単位取得満期退学(博士:学術)。国立障害者リハビリテーションセンター障害福祉研究部流動研究員、淑徳大学短期大学部こども学科講師・准教授を経て、現在、立正大学社会福祉学部准教授。一般社団法人スローコミュニケーション副理事長。著書に「知的障害のある人たちと「ことば」――「わかりやすさ」と情報保障・合理的配慮」(生活書院)、共著に「〈やさしい日本語〉と多文化共生」(ココ出版)などがある。この本では、日本語および視覚的表現の「わかりやすさ」という観点から文書の監修を行っている。
素敵な本のご紹介です。初版は2023年5月。
著者はプログラミングをわかりやすくストーリーにした伝説の絵本「ルビィのぼうけん」の翻訳をされた鳥井雪先生。出版は、プログラミング専門書で有名なオライリージャパン様です。なんという最強タッグ!
もうこれだけで信頼感が段違い。
このブログでは、素敵な児童書のご紹介だけでなく、勉強が好きになりそうな本や科学、芸術に親しみを感じられそうな本、子どものためのプログラミング入門書などをご紹介しています。
さて、では今回も知人のプログラマーに降臨していただきましょう。
それでは、どうぞ!
【ルビィのぼうけん】を翻訳された鳥井雪さんの新作です。10歳の女の子が『魔法のノート』と対話をしながらプログラミングの考え方を身に着け、彼女の生活を便利に、困りごとを解決していく物語です。
『魔法のノート』はまさに魔法のようなノートで、やりたいこと、困ったことなどを口にすると自動的に文字となって書かれるようです。(音声認識という「魔法」を使えば今の技術でもできないことはなさそう? という匙加減がおもしろいですね。私はJupyter Notebookというプログラミング・ツールをつい思い浮かべておりました。興味のあるかたは調べてみてください、便利ですよ)
さて、そんな『魔法のノート』を使ってプログラミングするのは、今でいうスマホのような感覚の、ミニオという(空飛ぶ?)小さなコンピュータ。
どうやら今よりすこし先の未来が舞台のようです。
扱われているプログラミング言語は、日本語にアレンジされていて、特に言語を限定してはいません。あくまで考え方を身に着けるための物語になっていて、プログラミング経験のない人にもとっつきやすい内容になっています。
学べる内容は、
・入力、処理、出力
・変数
・条件分岐
・くり返し
・配列
・関数と引数
と、必要にして十分。
ほかのプログラミング言語に慣れている人なら、「ああ、これは自分の知っている言語ならこう書くところだ」と自分で翻訳しながら読めるので、そういう学習にも役立つと思います。
ちょっとだけ未来っぽい世界で暮らす女の子の身近な悩みを、プログラミングの魔法をつかって解決していく物語のイメージは、ポイントをうまく捉えて描いたイラスト(【メタモルフォーゼの縁側】の鶴谷香央理さんです)がぴったりマッチしていてかわいくて素敵でした。世界に入り込みやすく、読んでいて(見ていて)楽しくなります。
プログラミングという概念に身近な出来事をつなげてイメージする想像力を感覚としてつかみやすい、そんな本に思えました。
プログラミングに興味ある、本格的にやってみたいと思う小さな子がまず読む本としてお勧めだと思います。
ありがとうございました!
この本では「プログラミング」的な考え方を、プログラミングコードを使わずに日本語でわかりやすく説明してくれています。
しかも、ファンタジックな、SF的なストーリー仕立て。
ユウは挿絵や口調から最初「男の子かな?」と思っていたのですが、一人称が「わたし」だったことから女の子だと判明。ただし、極力性別を感じさせないように描かれているので、男の子でも女の子でも親しみを持って読めると思います。
ややこしくて難しい……そんな先入観で苦手意識を持ってしまいそうなプログラミングをぐんと楽しいものにしてくれる「ユウの魔法のプログラミング・ノート」。
プログラマーを目指す人だけでなく、身近にプログラマーがいて彼らとスムーズに話をしたい人が「だいたいの感覚」を理解する入門書としてもおすすめです。
大勢の子と遊ぶのが苦手、内向的でひとり遊びが好きで、放っておくと積み木やパズルでずっとコツコツ遊んでいたり、一人でお絵かきをしていたり数字や数学が大好きだったり……
そんなお子さまには、もしかしたらプログラマーの適性があるかもしれません。
学校の勉強が苦手だったり、クラスの人間関係になじめないような内向的な子のなかには、プログラミングの才能が潜んでいる場合があるのです。
もちろん、全員ではありませんが、お友だちたちと遊んでいるときはつまらなそうなのに一人で何かを考えたり作ったり書いたりしているときは異常な集中力がある……そんな子には可能性があります。
この本の主人公ユウちゃんも、ユウちゃんのお母さんも忘れんぼうで細かいことがすっぽぬけがちです。でも、魔法のノートにひとつひとつ教えてもらうと、ユウちゃんはどんどんプログラミングを習得していきました。
ふだんはそそっかしくて失敗しがちだけれど、好きなことをはじめたら何時間でも続けられる、声をかけられてもまったく聞こえない……あなたの身近にそんな子はいませんか。
その子には「何か」が眠っているかもしれません。もちろん、プログラミングではないかもしれません。数学だったり、絵だったり、音楽だったり、文章だったりするかも。いまなら、映像制作とかでもあるかもしれません。
何に興味を持つかは人それぞれ。けれど、プログラミングは内向的で一人遊びが好きなお子さまの人生の扉を思わぬ形で開いてくれるかもしれない可能性があります。
まずは「ルビィのぼうけん」から。
この絵本を読んでお子さまが「楽しい」と感じたら、ぜひこの本を。
具体的なプログラミングコードの書き方ではなく、あくまでも「プログラミング的な考え方」を解説している本なので、難しさはなく、気軽に楽しく読むことができます。
この本が理解できたら具体的なコードの書き方の本へ。
文章は読みやすく、ノートとユウの会話形式で書かれており、すべての漢字には振り仮名が振ってある総ルビです。ユウは小学校五年生と言う設定ですが「ルビィのぼうけん」が理解できたらすぐにこちらにすすんでもいいと感じたのでこのブログでは「小学校中学年以上」とさせていただきました。
もちろん、理解できたら何歳からでも。
優しい雰囲気に包まれた、楽しいプログラミング入門書です。大人にもおすすめ。
ユウと魔法のノートと一緒に、プログラミングの世界をのぞいてみましょう!
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
小難しいところは何もない、楽しいプログラミング入門書です。
ストーリー仕立てになっており、ノートとユウの会話形式でわかりやすく話が運びます。
プログラミングをするのが楽しくなるように書かれており、段階を追って挑戦していけるようにもなっています。
ユウちゃんは極力性別を感じさせないように書かれているので、男の子でも女の子でも親しみをもって読むことができるでしょう。
表紙の紙が少し薄いので、お気に入りのカバーをかけてあげてください。きっと何度でも読み返すことになると思います。
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