【ルルとララ】サンドイッチをつくってみよう!ふつうなのに特別な、素敵なお菓子【ルルとララのアニバーサリー・サンド】【小学校低学年以上】
冬はおわったけれど、まだ春とはいえないころのこと。森はお休みの日の遊園地のようにひっそりとしていました。森のみんなはなにかワクワクすることがおきないかと考えていたのです…… (ルルとララのアニバーサリー・サンド あんびるやすこ/作 岩崎書店)
この本のイメージ スイーツサンドイッチ☆☆☆☆☆ ひと工夫の楽しさ☆☆☆☆☆ なんでもない日常のすばらしさ☆☆☆☆☆
ルルとララのアニバーサリー・サンド あんびるやすこ/作 岩崎書店
<あんびるやすこ> 群馬県生まれ。東海大学文学部日本文学科卒業。テレビアニメーションの美術設定を担当。作品に「だっこちゃんどこ?」「まじょのまほうやさん」「こじまのもり」シリーズなど。
かえでの森のお菓子屋さん、小学生店長のルルとララが手作りお菓子で森の動物たちのお悩みごとを解決する「ルルとララ」シリーズ。今回ご紹介するのは「ルルとララのアニバーサリー・サンド」です。初版は2018年。
今日は3月11日。あの大震災から13年の月日が流れました。
この日が来るとどうしても緊張してしまいます。
あのときから考えたら信じられないくらい復興した日本ですが、まだまだ災害が多く、困難な時代が続いています。
あのときまでは、平凡な日常がいつまでも続くと思っていたのに。
それだけに、「なんでもない日常」のありがたみをあの時ほど感じたことはありません。多くの日本人の人生観を変える出来事でした。
わたし自身、あの日からごくふつうの日常に感謝し、一日一日を大切に生きるようになりました。
ふつうにすごせるということが、本当に幸せなことだと実感します。
少し重い書き出しとなってしまいましたが、今回の本は「ルルとララのアニバーサリー・サンド」。
なんでもない日常を「ちょっとひと工夫」で素敵な日にしてしまおう、というお話です。
冬か終わりかけ、春を待つ季節、特別な行事もなく、かえでの森の動物たちは退屈していました。
そんなとき、イタチのエリカがやってきました。彼女はおなじイタチの美しいパールと仲良くなりたいと思っていましたが、さしてとりえのない容姿の自分に劣等感を抱いていたのです。
「なんのとりえもない、食パンのようなわたし…… このとりえもない食パンが素敵なお菓子に変身するなら食べてみたい」
エリカのリクエストで、ルルとララはサンドイッチ用の薄切り食パンで次々と素敵なお菓子やサンドイッチを作るのでした……
……と、いうのが今回のあらすじ。
最近は、パンに生クリームとフルーツをサンドしたフルーツサンドが流行していますし、スイーツサンドはそんなに意外なものではなくなりました。
この本では、バタークリームを使ったサンドイッチ・ケーキや、甘いカナッペ、野菜をサンドしてケーキのように飾り付けたスモーガストルタなどのレシピが紹介されています。
スポンジを使ったショートケーキに比べて、食パンで作るケーキは手軽で味も軽いのでバタークリームとよく合います。
それに身近な食パンとバターで手軽に作れるのがいいですね。
ありふれたもの、ごくふつうのものの中に、大切なものが潜んでいて、少しそこに気持ちをむけるだけで素敵な宝物が見えてくる……
アニバーサリー・サンドはそんなお菓子たちです。
ルルとララのレシピのすごいところは、徹底的に火を使わないこと。
電子レンジとせいぜいトースター、ホットプレートでできるお菓子ばかりです。
それでも、紹介されているお菓子はみんな華やかでおいしそう。
そして、ストーリーには常にテーマがあり、お話自体でも楽しめるところがこのシリーズの魅力です。
文章は平易で読みやすく、すべての漢字に振り仮名がふってありますので小学校低学年から。
すべての見開きにあんびる先生の愛らしい挿絵が入っており、ところどころはフルカラーの挿絵も入っています。
読む楽しみと作る楽しみ、食べる楽しみが詰まった「ルルとララのアニバーサリー・サンド」。
なんでもない大切な日常を、「ちょっとひとくふう」で素敵な日にしてしまいましょう。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はありません。
なんでもない日常を大切にして、少しの工夫でより楽しくする、そんなことに気付かせてくれる物語です。
読後はもちろん、サンドイッチでティータイムを。
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