【モンスター・ホテル】怪物たちが泊まる、不思議なホテルの日常。ほのぼの柏葉ワールド。【モンスター・ホテルでこんばんは】【小学校低学年以上】

2024年3月21日

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モンスター・ホテルでこんばんは  柏葉幸子/作 高畠純/絵  小峰書店

とある町にある、廃ビル。それは、じつはモンスターのためのモンスター・ホテル。モンスター・ホテルは透明人間のトオルさんが一人できりもりしているので、大忙し。ところが、特別に寒い部屋、210号室のお客さんが出てきてくれないので、大事件に……シリーズ2冊目。

この本のイメージ おばけがかわいい☆☆☆☆☆ ほのぼの☆☆☆☆☆ 怖くないオカルト☆☆☆☆☆

モンスター・ホテルでこんばんは  柏葉幸子/作 高畠純/絵  小峰書店

<柏葉幸子>
1953年、岩手県生まれ。東北薬科大学卒業。『霧のむこうのふしぎな町』(講談社)で第15回講談社児童文学新人賞、第9回日本児童文学者協会新人賞を受賞。『ミラクル・ファミリー』(講談社)で第45回産経児童出版文化賞を受賞。『牡丹さんの不思議な毎日』(あかね書房)で第54回産経児童出版文化賞を受賞。『つづきの図書館』(講談社)で第59回小学館児童出版文化賞を受賞。近著に『竜が呼んだ娘』(朝日学生新聞社)、『モンスター・ホテルでひみつのへや』(小峰書店)など。

<高畠純>
1948年愛知県名古屋市生まれ。愛知教育大学美術科卒業。「だれのじてんしゃ」(フレーベル館刊)でボローニャ国際児童図書展グラフィック賞受賞。 他に「ペンギンたんけんたい」「オレ・ダレ」「オー・スッパ」(以上講談社刊)、「だじゃれすいぞくかん」「おとうさんのえほん」(絵本館刊)などの作品がある。

 柏葉幸子先生の「モンスター・ホテル」シリーズ、第二巻。初版は1991年です。

 このシリーズは、一話完結で、どの本から読んでも楽しめるのですが、一応順番があり、最初から読みたい方は、「モンスター・ホテルでおめでとう」からお読みください。

 「モンスター・ホテルでおめでとう」のレビューはこちら

 モンスター・ホテルは、とある町の廃ビルを改造したモンスターたちのためのホテル。透明人間のトオルさんがきりもりし、お客さんは、フランケンシュタインや魔女、幽霊などのモンスターたちです。

 今回は、雪男のふゆきさんと、雪女のコオリさんの新婚旅行に泊まるはずだった部屋、210号室のお客さんが退出してくれず、大騒動になるお話。

 ワンオペで倒れそうなくらい忙しいトオルさんですが、お客様の一大事とあれば、一生懸命駆けずり回ります。トオルさん、本当にいい人です。そして、モンスターたちも優しい。

 「モンスター・ホテル」は、小さな子どものためのストーリーですが、妖精やかわいい動物たちが登場するような、ふつうのファンタジーとは違い、登場するのは、幽霊やろくろっ首、魔女、ドラキュラ、鬼などのモンスター。でも、みんな、優しくて気のいい奴らばかり。

 まだ、字を覚えたばかりの小さな子どもの頃は、未知のものへの好奇心とともに「怖い」と言う感情も、大人のわたしたちよりずっと強いものです。夕暮れ時は怖い、大きな音が怖い、大きな動物が怖い、暗闇が怖い、などなど、世界は「怖いもの」でいっぱい。

 文字を覚え、自力であちこちへ歩き回り、知らないことを一つずつ減らし、知っていることを増やしてゆくことで、「怖い」ことを減らしてゆくのが小さい子どもの生活です。

 小さな子ども向けの「怖くないオカルト」には意味があります。一見怖そうに見えるモンスターやおばけたちの、ゆかいでとぼけたストーリーを描くことで、小さな子どもの生活にあふれた、本能的な「怖い」を解消する効果があるのです。

 いままで「怖い」と感じていたものが「かわいい」や「楽しい」と思えてくる、怖い怖いと避けていたものが、もしかしたら楽しいものかもしれない、そんなふうに感じられるようになる、ほのぼのハートフルストーリー。

 また、「人はみかけでは判断できない」と言う、人生における大切なテーマもひそんでいます。

 今回も、もとの姿に戻れなくて困っているツネミさんに、「きみは そのままで とってもかわいいよ」と言う、ド直球の金言でハッピーエンド。おおう、そこで、こう来るか!

 小さい頃の「ありのままでOK」と言う言葉は、大人になってから聞くよりずっと大切だし、心に残ります。終始おちゃらけた展開なのに、こういうところは、はずさない。さすがは、柏葉先生。

 字はかなり大きくて、ほぼひらがなとカタカナで書かれています。物語としてのボリュームはわりとあるので、読み応えはあります。読み聞かせも楽しそうですが、50音が読めれば、がんばってコツコツひとりで読みきれるので、自力で読めば達成感を感じられるでしょう。読みやすい本です。

 長いお話の読みはじめに。男の子も女の子も楽しめる、良質の児童文学です。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。子どもの「怖い」を「楽しい」に転換してくれる、ゆかいで優しいファンタジーです。
 繊細で、怖いものが多いHSCのお子さまにおすすめです。ほのぼのほっこりするお話ですよ。

 大人が読んでも癒され、楽しめるストーリーなので、ぜひ読み聞かせしてあげてくださいね。

 

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