【ルビとしっぽの秘密】本屋さんのほこりから生まれた子猫と仲間たちのほのぼの日常ライフ【小学校中学年以上】

2024年3月25日

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ルビとしっぽの秘密   野中柊/作 松本圭以子/絵 理論社

本屋さんのほこりから生まれた小さな猫、それがルビ。ルビは近所の魚屋の猫チップスのおかげで、たくさんの猫たちと仲良くなりました。そして、友だちになってくれた猫たちは、ルビの飼い主モシモさんの本屋「本の木」に来てくれるようになったのです……

この本のイメージ メルヘン☆☆☆☆☆ ねこ☆☆☆☆☆ 本っていいね☆☆☆☆☆

ルビとしっぽの秘密   野中柊/作 松本圭以子/絵 理論社

<野中柊>
野中 柊(のなか ひいらぎ、1964年12月5日~)日本の小説家。新潟県出身。新発田市で育つ。立教大学法学部卒業後、渡米。ニューヨーク州在住中に「ヨモギ・アイス」で作家デビュー。

<松本圭以子>
1957年生まれ。イラストレーター。1984年渡米。ニューヨークパーソンズスクールオブデザイン・イラストレーション科卒業後、1989年に帰国。翻訳もの・ミステリーなど書籍の装画や、雑誌コラムなどの挿画を多く手がける。1992年よりスペース・ユイにて定期的に個展を開催。

 本屋のほこりから生まれた小さな猫、ルビと飼い主モシモさんの心の交流を描くほのぼのファンタジー「本屋さんのルビねこ」シリーズ、第二巻です。初版は2019年。

 お話が続いていますので、まずは「本屋さんのルビねこ」からお読みください。
 「本屋さんのルビねこ」のレビューはこちら

 ルビとは、文章の振り仮名のこと。飼い主のモシモさんは本屋さんなので、小さな子猫に「ちっちゃい」という意味でこの名前をつけました。

 今回は、ルビがはじめて街へ出て、魚屋のチップス以外の猫と仲良くなるお話。
 チップスのライバル、黒猫のマック・ロウやオッドアイの美人白猫リリなど、新しい仲間が登場。みんなルビと仲良くなり、モシモさんの本屋さんへ遊びに来てくれるのでした。
 猫好きのモシモさんは、猫たちが店を訪ねてきても嫌がりません。猫たちがくつろぐ本屋はあたたかな空気に包まれます。

 ほとんど大きな大事件のようなものはなく、ただただ穏やかな時間が流れる優しい物語なのです。

 このシリーズの特徴は、とにかくネガティブな要素がひとつもないこと。
 また、松本先生の描く猫たちが可愛らしく、挿絵もふんだんに入っています。「本」と「猫」が好きな方なら、どんぴしゃですよ。
 振り仮名の量が少ないので小学校中学年以上が対象ですが、読み聞かせをすれば小学校低学年からでも大丈夫でしょう。むしろ、このシリーズは読み聞かせで親子で楽しんでいただけたら。

 それは、猫たちの可愛らしさとともに、本への愛があふれているメルヘンだから。
 本なんてよくわからな猫たちが、ルビのおかげで本に興味を持ち、本屋さん「本の木」にやってくるところなどが、本に興味がない人が友だちに連れられて、はじめて本屋や図書館をたずねる様子を思わせます。
 読書にあまり興味のなかった子も、もしかしたらこの本を読んで読書に目覚めてくれるかもしれません。

 しかし、もし、期待した結果にならなかったとしても、一緒に読んだ保護者の方の癒しになってくれると思います。きつい要素がひとつもないあたたかいメルヘンなので、ストレスでへとへとになった大人の和み本として、心の回復剤になってくれるはず。
 装丁も上品で、読み終わった後はインテリアに飾ってもおしゃれです。

 わたしはこのブログでは、「子どもの心を育む児童書読書」だけでなく、「大人の心の癒しとしての児童書読書」も提唱しています。

 

 とくに壮年以降は、視力の衰えが始まるため、細かい字を読むのが負担になってきます。

 そんなとき、ほどよく字が大きく、振り仮名も丁寧な児童書は、大人にとってありがたいのです。また、心労で磨り減った心を絵本や児童書は癒してくれます。昔読んだきりの名作も、大人になってから読むと新しい発見があります。

 今、日本では少子化で子供が減っていますが、その反面、高齢者は増えています。大人の児童書読書は、大人の和みや癒しだけでなく、断絶しがちな高齢者と子どもたちとの架け橋にもなりえます。

 また、「本を読むこと」に慣れていない方の、読書の入り口としてもおすすめです。児童書は様々なことに配慮して書かれているので、逆に読書の楽しさがいちばんシンプルに楽しめるのです。

 しかし、大人になると子ども時代のように学校で友だちと読書体験を共有することができません。日常生活の中で「これいいよ」「これ面白かったよ」と言う会話が難しくなります。とくにいきなり児童書を読み始めた、なんて言ったら。

 そんなわけで、ここを訪れてくださる方々と、わたしのささやかな読書体験を共有できたら、との想いでこのブログを始めました。あまり本を買わない方の、お買い物の判断材料として、少しでも参考にしていただけたら、と言う気持ちです。それが、読書の裾野を広げることになれば……

 こんなに厳しい時代になると、外出することも趣味にお金を使うこともどんどん難しくなります。そんなとき、読書は家にいながらにして様々なことを疑似体験出来る、すばらしい趣味。

 しかし、本を読むことに慣れていない方には、いいか悪いかわからないものにいきなりお金を使うのは勇気がいることでしょう。とくに、慣れていない方が装丁や雰囲気だけで中身を想像するのは難しいものです。

 そこで、わたしが、言うなれば小学校の「クラスの本好きの女の子」のように、「それ、よかったよ」と言えるようなブログを書こう、と思ったのです。

 とはいえ、わたしの好みが色濃く反映されているので、このブログで紹介される児童書には、ちょっと偏りがあるかもしれません(いや、冷静に考えるとちょっとどころではない……)。実用的な本や、文芸関係は少なく、ファンタジーやSFなど、荒唐無稽なものが多めです。

 それは、「賢くなる」ことよりも「楽しい」(わたしが)を優先しているから。まあ、そこは趣味のブログなのでご容赦ください。

 モシモさんはルビに「いい本は心の栄養」といいます。
 いい本は、読めば読むほどもっと読みたくなるし、いい本を読めば心が大きく、広く、深くなる……。空みたいに。(引用p119)

 ルビが友だちの猫たちをモシモさんの本屋に連れてきたように、わたしもどこかの誰かを「読書の世界」へお連れするお手伝いが出来たら、こんなにうれしい事はありません。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素がありません。ただただ、ひたすら優しい、メルヘンファンタジーです。猫と本が好きならば、ぜひ。
 きつい要素が一つも無く、装丁がたいへんおしゃれなので、ご病気の方のお見舞いや繊細なお子さまへのプレゼント、疲れ果てたときの大人の和み本としても、おすすめです。猫と本がお好きな年配の方への差し入れにも。

 また、本を知らない猫たちを、ルビが本屋につれてくるお話なので、子どもを本好きにしたい保護者の方は、プレゼントや読み聞かせなどに、このシリーズを選ぶのもいいかもしれません。モシモさんが本の魅力について語るシーンは、本好きならうんうんとうなずいてしまうはず。

 読後はサーモンのクリームシチューで晩御飯を。

 

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