【本屋さんのルビねこ】ほこりから生まれた不思議な子猫ルビと、本屋さんのハートフルストーリー【小学校中学年以上】
ある日、本屋さんの片隅で、本に積もったほこりから小さな猫が生まれました。子猫は本屋さんに「ルビ」と名づけられました。不思議な子猫ルビと、やさしい本屋さんモシモさんとの楽しい毎日がはじまります。
この本のイメージ メルヘン☆☆☆☆☆ ねこ☆☆☆☆☆ 本っていいね☆☆☆☆☆
本屋さんのルビねこ 野中柊/作 松本圭以子/絵 理論社
<野中柊>
野中 柊(のなか ひいらぎ、1964年12月5日~)日本の小説家。新潟県出身。新発田市で育つ。立教大学法学部卒業後、渡米。ニューヨーク州在住中に「ヨモギ・アイス」で作家デビュー。
<松本圭以子>
1957年生まれ。イラストレーター。1984年渡米。ニューヨークパーソンズスクールオブデザイン・イラストレーション科卒業後、1989年に帰国。翻訳もの・ミステリーなど書籍の装画や、雑誌コラムなどの挿画を多く手がける。1992年よりスペース・ユイにて定期的に個展を開催。
偶然みつけた、かわいい絵本です。
ある町の、本屋さんの片隅で子猫が生まれました。
しかし、この子猫には秘密がありました。
なんと、本に積もったほこりから生まれた子猫だったのです。
本屋さんのご主人、モシモさんにかわいがられ、そして、「ルビ」と言うかわいい名前をもらって、子猫のルビはすくすく育ちます。
お客さんと交流したり、魚屋の飼い猫チップスと友達になったり、海へ行ったり……
これは、そんな不思議なねこ、ルビのハートフルストーリーです。
松本先生の挿絵がとにかくかわいくて癒されます。子猫のルビは、何を見ても新鮮で、好奇心がいっぱい。
そして、周囲の人々も、ねこも、とてもやさしいのです。
ルビというのは、振り仮名のことです。昔(19世紀くらい)は、フォントサイズにダイヤモンドとかパールとか、ルビーとか、宝石の名前がつけられていたのです。
振り仮名に使われる5.5ポイントの写植のことはルビーと呼ばれていたので、日本では振り仮名のことを「ルビ」と呼ぶのでした。
本屋のモシモさんは、小さい子猫に「ルビ」と名づけます。子猫に「チビ」って名づけるようなものです。子猫や子犬にチビなんてつけると、たいていでかく育っちゃうんですけど、大丈夫でしょうか。
しかも、この子、本のほこりから生まれているので、ふつうの猫ではない。小さいままかもしれないしすごくでかくなっちゃうかもしれない。
ルビは小さいながら、いろんなことを考えます。生まれたばかりの子猫なのに、この子、かなりかしこいのです。本屋さんの「看板猫」として、役立とうと思って頑張っちゃうのです。
生まれたばかりの猫って、おなかすいたとか、魚おいしいとか、そのくらいしか考えてないように思いませんか? 動物でも人間の子どもでも、ほんとうに小さい頃って、まだまだそんなものですよね。それなのに、誰かの役に立とうとするなんて! さすがは本のほこりから生まれただけあります。
でも、それはルビだけの秘密。
ルビは自分がほこりから生まれた猫だから、もしかしたら水に浸かったら身体が溶けちゃうんじゃないかとか悩んで、海を恐れます。でも、水に足をつけても、ルビは溶けませんでした。ルビは海が大好きになりました。よかったねえ、ルビ。
おはなしは、小さなエピソードのオムニバスで、どれもほのぼのとしたものばかり。
好奇心旺盛で、ピュアなルビが、見るもの聞くものはじめての中で、モシモさんや友達のチップスと交流しながら成長してゆく物語です。
文章が平易でとても読みやすいのですが、振り仮名が総ルビではないので、小学校中学年から。読み聞かせなら低学年から。
とにかくかわいいので、大人の和み本としてもおすすめです。
絵がとても可愛らしく、装丁もおしゃれなので、読み終わったらインテリアにもなり、プレゼントにも最適です。
本と猫が好きな方なら、ぜひ。
これを読んで小さな子が本好きになってくれたらいいな、と言うほんわかかわいいメルヘンファンタジーです。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はありません。登場するキャラクターはいい人、いい猫ばかりで、心があたたかくなります。そのうえで、ルビは幼いながら、なかなか深いことを考えるので、HSCのお子様にはとくにおすすめします。
もしかしたら、これを読んで、小さなお子さまが本を好きになってくれるかもしれません。
もちろん、大人の和み本としても、おすすめです。
読後は、フィッシュ&チップスが食べたくなるかもしれないので、ご用意ください。
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