【ページズ書店の仲間たち】あの本の中に入れたら? 名作の主人公たちとの奇妙な大冒険!【ティリー・ページズと魔法の図書館】

2024年4月10日

広告

ページズ書店の仲間たち 1   ティリー・ページズと魔法の図書館  アナ・ジェームス/作 池本尚美/訳 淵゛/絵  株式会社文響社

パパのことは知らない。ママは行方不明。でも、ティリーはおじいさんとおばあさんと大好きな本に囲まれてとっても幸せ。ところが、ティリーと彼女の家族には秘密があったのです。それは本を読むことで物語の主人公たちと会話ができること。それだけじゃなく……

この本のイメージ ファンタジー☆☆☆☆☆ 名作大集合☆☆☆☆☆ 本好きの夢☆☆☆☆☆

ページズ書店の仲間たち 1 ティリー・ページズと魔法の図書館  アナ・ジェームス/作 池本尚美/訳 淵゛/絵  株式会社文響社

<アナ・ジェームス>
ライター、ジャーナリスト。学校図書館司書を経て、〈ザ・ブックセラー〉のブック・ニュース・エディターに就任。現在は、さまざまな新聞や雑誌に寄稿するほか、イギリス内の書店やブックフェスティバルのイベントで司会を務めたりしている。ロンドン北部在住。本にかこまれた部屋で暮らしている。

<池本尚美>
早稲田大学教育学部英語英文学科卒。訳書に絵本「うさぎさん つきからとびだす」「まっくろけ まっしろけ」「グランデュードのまほうのコンパス」「いぬがほしいの!」(共に潮出版社)、「ゆがめられた世界 パート・オブ・ユア・ワールド上/下」「ゆがめられた世界 アンバースデー上/下」(共に学研プラス)などがある。

<淵゛>
京都府出身。フリーランスのイラストレーター。学生時代に油絵や日本画を学んでいた経験を活かし、質感と温かみを大切にしたデジタルイラストを制作。季節の植物や異国情緒の溢れるモチーフを描くことが得意。主に書籍の挿画や広告イラストなどを手掛けている。

 イギリスから心躍るファンタジーがやってきました!
 原題はPAGES&CO.(1)-TILLY AND THE BOOKWANDEERERS. イギリスでの初版は2018年。日本での初版は2023年3月です。

 「あの物語の中に入れたら」。本好きさんが一度は考える、夢の物語。
 どストレートに夢を叶えた本格ファンタジーが開幕です。

 物語の中に入り込んでしまうファンタジーとしては、ミヒャエル・エンデの「はてしない物語」、一歩進んで物語の登場人物を召還し、本の中にも入り込んでしまうお話としてはコルネーリア・フンケの「魔法の声」シリーズ、クリス・コルファーの「ザ・ランド・オブ・ストーリーズ」が有名です。

 この「ページズ書店の仲間たち」では、なんとなんと児童文学の名作のキャラクターたちが登場。誰もが知っている「赤毛のアン」のアン・シャーリーや「不思議の国のアリス」のアリス・リデル、名探偵シャーロック・ホームズなどが本を飛び出して出現します。

 それだけでなく、本を読んでいるうちに、これらの名作の中に入り込んでしまうという、まさに夢のようなファンタジー!

 お話は……

 マチルダことティリーは父を知らず、母はある日謎の失踪を遂げ、「ページズ書店」を営む祖父母に育てられました。
 本に囲まれて育ったティリーは本が大好き。

 ところが学期の中休みハーフタームに入ったある日、ティリーは「ページズ書店」で不思議な少女に出会います。赤い髪を三つ編みにした、おしゃべりな少女。どこかで会ったことがあるような……

 そういえば、おじいちゃんとおばあちゃんも本屋の三階で知らないお客さんと時々おしゃべりをしているみたい。

 不思議な事件が重なるうちに、ティリーは自分の一族の能力に気がつきます。
 ティリーは、本の登場人物たちと会話でき、本の物語の中に入ってゆく能力がある「本の旅人」(ブック・ワンダラー)だったのです……

 ……と、いうのがあらすじ。

 ねっ、わくわくするでしょう?

 今、日本だけでなく世界の国々で子どもたちが古いおとぎ話や童話、名作児童文学を読まなくなって社会問題になっているそうです。それで次々と古い物語が登場するファンタジーが生まれているというわけ。

 アメリカではダイナミックなファンタジーシリーズ「ザ・ランド・オブ・ストーリーズ」が生まれましたが、イギリスからはこの「ページズ書店の仲間たち」シリーズが誕生。イギリスといえば名作児童文学の宝庫。これは楽しみです。

 子どもの読書欲求を満たすのが第一ですので、もちろんとっつきやすく読みやすければ漫画のノベライズや今風のヤングアダルトから読み始めるほうがいいのですが、だからといって古くからのおとぎ話や名作を知らずに育つのももったいない。

 おとぎ話や名作児童文学は、世代を超えた共通言語であり人類の財産です。
 今の子どもたちにもすばらしさを伝えてゆきたいものです。

 そんな想いにこたえるように創られたこのファンタジー、本や物語への愛がはちきれんばかりに詰まっています。
 ヒロインのティリーだけでなく、おじいさんもおばあさんも本が大好き。次々と登場する名作の登場人物たちは憧れのアイドルと出会うような、心躍る気分にさせてくれます。

 もちろん、これらの名作たちを知らない子でも楽しめる、冒険ファンタジーとしての仕掛けも充分。
 ティリーの出生の謎を解きながら、どきどきわくわくの大冒険を楽しめます。

 また、ティリーの親友として読字障害を持つ男の子オスカーがバディとなり一緒に物語の中を旅します。
 本を読むのが苦手な子の気持ちに寄り添ってくれるのがこのオスカー。物語が大好きなのに本を読めないオスカーはオーディオブックで自分のペースで読書を楽しんでいるのです。

 ファンタジーとして不思議や冒険を楽しみ、そして名作児童文学の魅力に触れることもできるこの作品、この夏親子で楽しむのにぴったり。読み終えたら、作品に登場する児童文学にも手を伸ばしてみましょう。

 文章は平易で読みやすいですが、振り仮名があまり振られていないので小学校高学年から。賢い子なら中学年からでも大丈夫。淵゛先生の魅力的な挿絵がふんだんに入っているのも読書欲をそそります。

 物語と読書の魅力を存分に味わいつくせる新感覚のファンタジー、堂々の開幕です。

 夏休みの読書にぜひどうぞ!

※この本には電子書籍もあります。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな描写はありません。心躍る、新感覚の冒険ファンタジーです。
 児童文学の名作が数多く登場するので、読後は登場した名作に手を伸ばすきっかけになります。世代を超えての交流の橋渡しにもなり、大人やお年寄りにもおすすめです。

 読後は濃く淹れたミルクティーか、丁寧に作ったココアでティータイムを。

 

商品紹介ページはこちら

 

 

お気に入り登録をしてくださればうれしいです。また遊びに来てくださいね。
応援してくださると励みになります。

にほんブログ村 本ブログへ

広告