【はてしない物語】あかがね色の本から、不思議の国へ!色あせないドイツのファンタジー。【中学生以上】

2024年1月31日

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バスチアンは、学校ではいじめられっ子。お母さんは他界しており、お父さんとはぎくしゃくしたまま、上手く行っていません。あるとき、いじめっ子に追われて逃げ込んだ本屋で、彼は不思議な本と出合います。

この本のイメージ 不思議☆☆☆☆☆ 哲学☆☆☆☆ 成長☆☆☆☆

はてしない物語 ミヒャエル・エンデ/作 上田 真而子 佐藤真理子/訳

 ドイツで生まれた、不朽のファンタジーです。「ネバーエンディングストーリー」と言うタイトルで映画にもなりました。第一作の映画はラストシーン以外は名作なので、ラストシーンを見なかったことにして映像美だけでも楽しんでいただければ……(無茶な)

 ネバーエンディング…原題はドイツ語でDie unendliche Geschichteですが、これを「はてしない」と訳したのは名訳だと思います。

 主人公は、バスチアン・バルタザール・ブックス。学校ではいじめられっ子。母親は他界、父親とは心が離れており、容姿も成績も優れず、劣等感でいっぱいの少年です。

 あるとき、いじめっ子たちから逃げて飛び込んだ古本屋で、彼は不思議な、あかがね色の本に出会います。本のタイトルは、「はてしない物語」。そして、その本を夢中で読んでいるうちに、いつの間にか、本の世界に入ってしまうのです。

 このあたりのつくりが実に見事なので、ぜひお読みいただきたいです。
はてしない物語は、ファンタージェンというおとぎの国が、「虚無」に襲われて滅亡に瀕しているところからはじまります。
世界を救うために女王「幼ごころの君」に選ばれたのは、アトレーユという少年。
アトレーユは、ファンタージェンを救うために、愛馬アルタクスと旅に出ます。

 アトレーユの冒険を描いたファンタージェンパートと、読んでいるバスチアンパートが入れ替わりながら前半は続きます。
そして、物語の中盤にバスチアンはファンタージェンに行くのです。

 後半は、ファンタージェンに行ったバスチアンの冒険です。いいことも悪いこともあります。後半の物語は、人間が生まれて死ぬまでの一生のようです。
これは、ここで言葉にしてしまうと、すべてがむなしくなってしまうので、実際に読んでいただきたいのです。前半と後半は、雰囲気ががらりと違うのですが、後半の重苦しい雰囲気も、ラストのカタルシスに続く大切なパートなのです。

 わたしは、ラスト近く「変わる家」のアイゥオーラおばさまのエピソードが大好きです。
結局のところ、すべての人が欲しているのは、このアイゥオーラおばさまではないでしょうか。

 この家で、バスチアンが本当の自分に気づき、本当にやりたかったことに気づくのですが、人が本来の自分に帰っていくために必要な場所はこういうところなんだ、としみじみ思います。

 そして、わたしがインターネットで作りたいと思っている場所も、「変わる家」のような場所なんだと、そして、わたしがなりたい人もアイゥオーラおばさまのような人なんだと、あらためて気づかされました。(頭に花が咲いてる人なんですけどね!(笑))

 生きること、愛することの本質を丁寧に描いた、深い深い物語です。

 まだの方は、ぜひお読みいただきたいです。こんな時代だからこそ。

 そして、できればあかがね色の表紙のハードカバー版をお求めになることをおすすめします。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 あなたのためのような本です。きっと、捜し求めていた本に出会ったような気持ちになることでしょう。温かいお茶をお供に、静かな夜にゆっくり読んでみてください。

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