【ア・テイル・オブ・マジック】妖精たちは卑劣な陰謀に勝てるのか? 希望と友情のファンタジー。【魔女ものがたり】【正義王と呪われた妖精】【小学校中学年以上】

2024年4月16日

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魔女ものがたり 下  正義王と呪われた妖精 ア・テイル・オブ・マジック4   クリス・コルファー/作 田内志文/訳 平凡社

ブリスタルたちのもとを飛び出したルーシーは、魔女たちの学校でおそろしい陰謀を知る。一方、ブリスタルにも静かに闇の魔手が忍び寄っていて…… (魔女ものがたり 下  正義王と呪われた妖精 ア・テイル・オブ・マジック4   クリス・コルファー/作 田内志文/訳 平凡社)

この本のイメージ 魔法☆☆☆☆☆ 友情☆☆☆☆☆ 希望☆☆☆☆☆

魔女ものがたり 下  正義王と呪われた妖精 ア・テイル・オブ・マジック4   クリス・コルファー/作 田内志文/訳 平凡社

<クリス・コルファー>
1990年生まれ。アメリカ合衆国出身。俳優、歌手、脚本家、作家。第68回ゴールデン・グローブ賞最優秀助演男優賞を受賞。

<田内志文>
田内 志文(たうち しもん、1974年4月15日 ~)は、翻訳家、文筆家、スヌーカープレイヤー。埼玉県出身。ベストセラー「Good Luck」、「新訳 フランケンシュタイン」「新訳 ジキルとハイド」「失われたものたちの本」などの翻訳で知られる。

本日ご紹介するのは「魔女ものがたり   正義王と呪われた妖精 ア・テイル・オブ・マジック4」 原題はA TAIL OF WITCHCRAFT.アメリカでの初版は2020年。日本での初版は2023年です。

 「ザ・ランド・オブ・ストーリーズ」の前日譚となっており、「ザ・ランド・オブ・ストーリーズ」で魔法が禁止されていた頃の過酷な時代の物語です。

 この本から読んでも充分面白いのですが、登場人物のその後を想像したり、世界観を理解したい場合は「ザ・ランド・オブ・ストーリーズ」第1巻「願いをかなえる呪文」からお読みになったほうがいいでしょう。
 「願いをかなえる呪文」のレビューはこちら

 また、このお話は「ア・テイル・オブ・マジック」シリーズとしてお話が続いていますので、このレビューでご興味を持たれた方で「ア・テイル・オブ・マジック」から読みたいとお考えの場合は「魔法ものがたり上」からお読みください。
 「魔法ものがたり上」のレビューはこちら

 今回のストーリーは……

 ブリスタルとの意見の食い違いから妖精院を飛び出したルーシー。
 彼女はあやしげな入学試験を経て魔女術学校に入学してしまう。

 そこで、学長のミストレス・マーラが恐ろしい陰謀を企てていることを知るのだった。

 一方、責任感と重圧に苦しんでいたブリスタルは王子セブンと心を通わせるようになり、協力して「正義同盟」の集会に忍び込むが……

 ……と、いうのがあらすじ。

 「ザ・ランド・オブ・ストーリーズ」がかなり明るく冒険心に満ちたお話だったので、この路線変更には少しびっくりされる方もいるかもしれません。
 「ア・テイル・オブ・マジック」はかなりハードな物語です。

 まだ15歳のブリスタルは、家族のもとを離れてようやく自分の道を生き始めたばかり。
 けれど、背負う責任の重さ、自分の影響力の大きさに潰されそうになっていました。

 そんなときに、大親友のルーシーとぶつかってしまい……

 孤独になったブリスタルは卑劣な陰謀に巻き込まれ、心に大きな傷を負います。
 そこから彼女はどうやって立ち直り、立ち上がるのか……。それは読んでみてのお楽しみ。

 何かを背負う苦しみ、自分の力不足への焦燥感、期待される重圧など、ブリスタルの繊細な心が細やかに描かれています。
 15歳のブリスタルの苦しみはキャリア女性の悩みに通じるところもあって、大人の私も考えさせられます。

 「ザ・ランド・オブ・ストーリーズ」のアレックスも同じ悩みを抱えていましたが、女性の悩みとしてこの種の苦しみを描いてくれているのは、このシリーズを通じてのひとつのテーマと言えそう。

 また「ア・テイル・オブ・マジック」では人間関係の問題にかなり深く切り込んでおり、その容赦のなさが「ザ・ランド・オブ・ストーリーズ」とは大きく違うところです。

 人と人の心は簡単にすれ違い、人間は欲望のために簡単に人を裏切ってしまう。そのときどうするのか、どう生きるのか……

 ブリスタルの経験するような理不尽は物語のなかだけではなく、現実の世界にもあります。現実の世界には魔法もなく、力なきものはただ踏みつけにされてしまう。
 なすすべもなく押しつぶされそになったとき、どうすればいいのか、どう生きればいいのか……

 物語を読みながらブリスタルと一緒にこの高い山を登り越えてゆく。これはそんな物語です。

 文章は読みやすく、総ルビではありませんが難しい漢字には振り仮名が振ってあります。小説を読みなれているお子さまなら小学校中学年から。高学年なら問題なく読めますが、細かい章に分かれていて読みやすいので、中学年から挑戦していただきたいところ。「岩波文庫」での「小学校中級向け」が読めれば大丈夫です。大人が読んでも楽しいファンタジーです。

 「ザ・ランド・オブ・ストーリーズ」ファンの方、またはまだ「ザ・ランド・オブ・ストーリーズ」をお読みでないけれど妖精や魔女、魔法が飛び交うファンタジーがお好きな方、強い女の子の冒険物語が読みたい方は、「ア・テイル・オブ・マジック」をぜひどうぞ!

 ※この本には電子書籍もあります。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな描写はありません。むしろ、アメリカのアニメーションのようなユーモラスなシーンもあります。
 ただし、描かれているテーマは深く、HSCのお子さまのほうが様々なメッセージを受け止められるかもしれません。

 今回は裏切りと信頼の物語で、人間関係のかなり深いテーマに切り込んでいます。

 

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