【ア・テイル・オブ・マジック】あの「ザ・ランド・オブ・ストーリーズ」の前日譚。魔法の禁じられた世界では?怒涛の第1巻【魔法ものがたり】【禁じられた魔法の世界】【小学校中学年以上】

2024年3月7日

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魔法ものがたり 上 禁じられた魔法の世界   ア・テイル・オブ・マジック 1  クリス・コルファー/作 田内志文/訳 平凡社

四つの王国すべてで魔法は禁じられていた。サザン王国の少女ブリスタルは、本が大好き。しかし、女性にとって読書は禁じられた行為だった。あるとき図書館で「禁書」に出会ったブリスタルは…… (魔法ものがたり 上 禁じられた魔法の世界   ア・テイル・オブ・マジック 1  クリス・コルファー/作 田内志文/訳 平凡社)

魔法ものがたり 上 禁じられた魔法の世界   ア・テイル・オブ・マジック 1  クリス・コルファー/作 田内志文/訳 平凡社

<クリス・コルファー>
1990年生まれ。アメリカ合衆国出身。俳優、歌手、脚本家、作家。第68回ゴールデン・グローブ賞最優秀助演男優賞を受賞。

<田内志文>
田内 志文(たうち しもん、1974年4月15日 ~)は、翻訳家、文筆家、スヌーカープレイヤー。埼玉県出身。ベストセラー「Good Luck」、「新訳 フランケンシュタイン」「新訳 ジキルとハイド」「失われたものたちの本」などの翻訳で知られる。

 原題はA Tale of Magic….アメリカでの初版は2019年。日本語版は2021年です。
 「ザ・ランド・オブ・ストーリーズ」の前日譚となっており、「ザ・ランド・オブ・ストーリーズ」で魔法が禁止されていた頃の過酷な時代の物語です。

 この本から読んでも充分面白いのですが、登場人物のその後を想像したり、世界観を理解したい場合は「ザ・ランド・オブ・ストーリーズ」第1巻「願いをかなえる呪文」からお読みになったほうがいいでしょう。
 「願いをかなえる呪文」のレビューはこちら

 今回のストーリーは……

 四つの王国すべてで魔法は禁じられていました。
 また、女性が本を読むことも禁じられていました。

 サザン王国のブリスタル・エヴァーグリーンは、審判官の娘でありながら禁じられた読書が大好きな聡明な少女でした。

 彼女は家族に内緒でこっそりと図書館の掃除の仕事をしながら合間に本を読んでいましたが、偶然、図書館の隠し部屋と禁書を発見してしまいます。

 そのなかにある「魔法の真実」と言う本に書かれていた呪文を唱えたとたん、不思議なことが起きてしまい、戸惑うブリスタル。

 その様子を見咎められたブリスタルは、裁判にかけられ収容所に入れられてしまいますが……

 ……と、いうのがあらすじ。

 女性の読書が厳しく禁じられたサザン王国で、本が大好きなブリスタルはあらゆる手段を尽くしてなんとか本を読もうとします。
 その代償は重すぎる罰。
 ブリスタルの読書への情熱は、思わず応援したくなります。

 こう書くと一部の方からは「またフェミか……」と言われそうですが、作者のクリス・コルファー氏は男性。
 この、女性が学問をすることへの偏見や窮屈さ、それでも学びたいと思う情熱を男性がここまで描ききるのは驚きです。読んでいるわたしが女だからかもしれませんが「魔法ものがたり」の冒頭は「ザ・ランド・オブ・ストーリーズ」よりも惹き込まれました。

 女性なのに読書が好きなことと、魔法をあやつる能力があること、二重の罪で収容所に入れられてしまったブリスタル。
 絶体絶命の彼女のもとに、奇跡が訪れます。

 ブリスタルはこの困難をどう乗り越えてゆくのでしょうか、そして四王国にはこれからどんな運命が待ち受けているのでしょうか、どきどきわくわくのファンタジーの開幕です。

 心躍る魔法世界の物語であると同時に、女性の自己実現の物語でもあります。
 抑圧された世界で、娘にだけは自由に幸せになって欲しいと願う母の愛には胸を掴まれます。ブリスタルはけして愛されないで育った子ではありませんが、心のままに自由に生きるためには家族を捨てる必要がありました。
 はたしてブリスタルは心のままに生きながら、世界を歪みから救えるのでしょうか。

 「ザ・ランド・オブ・ストーリーズ」をすでにお読みの方は、この人は後のこの人かな? とか、この人の幼い頃はこうだったのね! とか、楽しく読むことができますし、この本から先に読んでも「ザ・ランド・オブ・ストーリーズ」がより楽しめるでしょう。

 文章は読みやすく、難しい漢字には振り仮名が振ってありますので、小学校中学年から。
 ボリュームはありますが、細かく章に分かれているので読みやすいと思います。大人が読んでも楽しめます。
 「ザ・ランド・オブ・ストーリーズ」ファンの方、またはまだ「ザ・ランド・オブ・ストーリーズ」をお読みでないけれど魔法やファンタジーがお好きな方、本が大好きな女の子におすすめのファンタジーです。
 この夏の読書にぜひどうぞ!

※この本は電子書籍もあります。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな描写はあるにはありますが、児童書らしく気をつけて書かれているので残酷シーンや流血シーンはありません。
 本が大好きな人におすすめのファンタジーです。大人が読んでも楽しめます。

 読後は、ベリーのパイと紅茶でティータイムを。

商品ページはこちら

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