【まじょのナニーさん】お留守番子に寄り添うスーパー家政婦さん!不思議な真夏のファンタジー【空とぶメリーゴラウンド】【小学校低学年以上】
レイのパパは遠くの町のビルの壁に絵を描くために出張してしまいました。ところがあいにくママも出張の予定が。不満なレイのところに、スーパー家政婦さんのナニーさんがやってきます……
この本のイメージ 人魚☆☆☆☆☆ 空☆☆☆☆☆ 真夏のファンタジー☆☆☆☆☆
まじょのナニーさん 空とぶメリーゴラウンド 藤真知子/作 はっとりななみ/絵 ポプラ社
<藤真知子>
東京女子大学卒業。「まじょ子どんな子ふしぎな子」でデビュー。以後、「まじょ子シリーズ」は、幼年童話のファンタジーシリーズとして人気を博し、ついに60巻で完結。ほかにも「わたしのママは魔女シリーズ」(全50巻)など、作品多数。
<はっとりななみ>
武蔵野音楽大学卒業。その後東京デザイン専門学校でグラフィックデザインを学び、製紙メーカーデザイン部を経て、イラストレーターに。絵本の挿絵やグリーティングカードほか、さまざまな媒体にイラストレーションを提供している
キュートな魔女ものファンタジーシリーズの生みの親、藤真知子先生の現行シリーズ、「まじょのナニーさん」第9巻。初版は2022年。
「まじょのナニーさん」は、魔法を使えるスーパー家政婦ナニーさんが、なんらかの理由でひとりでお留守番をしなければならない小さな子どものもとへ来て、様々な困りごとや悩みを魔法で解決してくれる一話完結のファンタジーシリーズ。毎回登場するお留守番子はちがいます。
ナニーさんは正体不明。どうして家政婦さんをしているのか謎。基本的に一話完結なので、どの巻から読んでも楽しめますが、「最初から順番に読みたい」と言う方は、第一巻「まほうでおせわいたします」からお読みください。「まほうでおせわいたします」のレビューはこちら↓
今回のお話は……
レイのパパは絵描きさん。ママは会社で働いています。
いつもは家にいてくれるパパでしたが、今回、遠くの街のビルの壁に絵を描くために出張することになってしまいました。
その間はママがいてくれるはずだったのですが、ママの会社のタンカーに穴が開く事故が起きてしまい、ママ出張に。
不満なレイのもとに、ナニーさんがやってきます。
ナニーさんは魔法で人魚の経営する「にじ色さんごのおみせ」へ連れて行ってくれるのでした。
そこで仲良くなった人魚のニニと、レイは素敵なことを思いつきます。
……と、いうのがあらすじ。
今回は「ふたりなら、ひとりよりずっと素敵なことを思いつく」お話。
お留守番子のレイはナニーさんの魔法で海の底で暮らす人魚のニニと出会います。二ニはお店番をしているママのお手伝いをしているのでいつもママと一緒にいられますが、逆に外へ出ることができません。
店番のためにお友だちのいないニニと両親が忙しくてお留守番のレイはあっという間に仲良くなります。
そして、レイとニニは海の生き物の人魚やイルカと空中旅行が楽しめる「空とぶメリーゴラウンド」を思いつくのでした。
ふたりのアイディアとナニーさんの魔法がひとつになると、それはそれは素敵なメリーゴラウンドのできあがり。
ひとりで思いついたことがふたりだとさらに素敵になり、そして三人になると信じられないほどすばらしいものが出来上がりました。力を合わせるというのは、想像もつかないものを生み出すのです。
しかも、人間と人魚と魔女。子どもがふたりと大人がひとり。
まったく違う存在が力をあわせたからこその結果だったのかもしれません。
出会うはずのない子どもたちが出会い、不思議な大人の力を借りて生み出した夢のメリーゴラウンド。
レイにとって最高の夏の思い出になりました。
パパが遠くの街に出張になることもママが仕事で呼び出されることも、レイにとっては嬉しくないことでした。
でも、そんなことが起きなければナニーさんに会うこともなかったし、海の底の人魚に出会うこともなかったのです。
いつもと違う「嫌なこと」がおきるのは、もしかしたら「素敵なこと」の前触れなのかも?
自分と違う世界の人と出会うのは、何か素晴らしいものが生み出される前触れなのかも?
「いいこと」と「悪いこと」はそんなふうに裏表になりながら絡まりあっているものなのかもしれません。
字は大きめで読みやすく、すべての漢字には振り仮名がふってあります。
五十音が読めれば一人でコツコツ読みきれるので小学校低学年から。
お留守番のときに読むのにぴったり。もちろん、読み聞かせにも。
絵本ではありませんが、すべての見開きにはっとりななみ先生の可愛らしい挿絵が入っており、ところどころにはカラーの挿絵もあり華やか。絵を眺めているだけでわくわくしてきます。
かわいくて、やさしくて、元気になるナニーさんのシリーズ。
お留守番の多いお子さまへのプレゼントに。
絵本を卒業したばかりの、長めの物語の読みはじめに。
魔法や空想が大好きなお子さまに。
この夏のおうち時間にぴったり。
熱中症になりそうな猛暑の日には、クーラーの効いたお部屋でナニーさんのミラクルストーリーをぜひどうぞ!
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はありません。
多様性や環境問題の要素もちょっぴり入っています(大上段にふりかぶるのではなくスパイスとして入っているだけなので読みやすく気になりません)。
人魚やイルカと遊ぶ、涼しげなストーリーなので夏にぴったりです。
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