【ぼくが消えないうちに】スタジオポノックで劇場アニメ化! 誰にも見えない不思議な大冒険。【小学校中学年以上】

2024年4月11日

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ぼくが消えないうちに A.F.ハロルド/作 エミリー・グラヴェット/絵 こだまともこ/訳 屋根裏のラジャー

ラジャーは想像力ピカイチのアマンダが生み出した「見えない友だち」(イマジナリーフレンド)。ふたりはいつも一緒に楽しい時を過ごしていた。けれど、突然の事故でラジャーはアマンダを失ってしまう。アマンダがいないとラジャーは存在できなくなってしまうのに。そんなとき、怪しい男がラジャーに目をつけて……

この本のイメージ ファンタジー☆☆☆☆☆ イマジナリーフレンド☆☆☆☆☆ ハッピーエンド☆☆☆☆☆

ぼくが消えないうちに  A.F.ハロルド/作 エミリー・グラヴェット/絵 こだまともこ/訳

<A.F.ハロルド>
イギリスの詩人、作家、パフォーマー。大人向けにも児童向けにも詩を作り、詩の朗読会や児童向けワークショップ、文学祭での活動に力を入れる。

<エミリー・グラヴェット>
イギリスを代表する絵本作家。「オオカミ」(小峰書店)や“Little Mouse’s Big Book of Fears”でケイト・グリーナウェイ賞受賞。

<こだまともこ>
東京生まれ。本名・小玉知子、旧姓・相磯。1964年早稲田大学文学部英文科卒業後、文化出版局に勤務。1967年退社し、翻訳家となる。2008年日本国際児童図書評議会賞受賞。英米児童文学の翻訳のほか、自身で創作もおこなう。

 原題はTHE IMAGINARY. 原書初版は2014年。日本語版初版は2016年です。
 2023年12月に公開予定のスタジオポノック制作のアニメーション映画「屋根裏のラジャー」の原作でもあります。

 読んで納得、映像で見たいシーンのてんこもり。そして、深堀りすればさらに面白そうな設定ばかり。わくわくする良質の児童小説です。

 ストーリーは……

 アマンダの想像力はピカイチ。彼女にかかればどんなところも不思議な世界。平凡な子供部屋や庭だって、潜水艦やジャングルにできちゃう。

 そんな彼女の想像から生まれた「見えない友だち」ラジャー。
 ふたりは大の親友でいつも一緒に楽しい時を過ごしていました。

 ところが、ある日交通事故でアマンダは病院に運ばれてしまいます。アマンダを失ったらラジャーは消えてしまうのに。

 アマンダを捜し求めるラジャーの前に、「見えない友だち」を狩る恐ろしい男が立ちはだかる。はたして、ラジャーは男の毒牙をのがれ、無事アマンダを見つけ出せるのでしょうか?

 ……と、いうのがあらすじ。

 ラジャーはアマンダの空想上の友だち、イマジナリーフレンドです。
 誰にも見えない、アマンダにしか見えない、けれど確かにそこにいる不思議な存在。けれど、アマンダがいなくなれば彼は消えてしまう。

 そんなラジャーが、彼以外の様々なイマジナリたちとアマンダを探して大冒険をします。イマジナリを喰う恐ろしい存在バンティング氏と戦いながら……

 わたしにも、ちょっぴりイマジナリーフレンド風味な存在がいます。こんなにはっきりちゃんとはしていないけれど。
 自宅のぬいぐるみに性格をつけて、悩んだり考え事をするときは、意見をもらってぬいぐるみ会議をするのです。
 これ、わりとぬいぐるみ愛好家の人はするみたいですね。
 他視点の意見が欲しい時など有効で、理論家、人情家、楽天家、心配性など性格を与えて意見をもらうとなかなか参考になることを言ってくれます。

 アマンダの想像力はさらにその上を行く。
 桁違いの想像力を持つ彼女は、自分のいる場所はどこであれ、とびきり素敵な世界にしてしまいます。(空想の中でね)
 ラジャーはそんなアマンダに生み出され、空想の世界で一緒に遊ぶのでした。

 素敵なのはアマンダのお母さん。
 ラジャーのことは見えないのに、アマンダに付き合ってラジャーがいるふうに振舞ってくれます。ラジャーのぶんのお菓子を用意してくれたり、朝食を出してくれたり。アマンダの「空想の遊び」を大切にしてくれて、けっして娘の頭がおかしくなったとは思わないのです。

 空想を肯定する人、否定する人、そして空想を「喰らう」人……様々な人々が登場し、それぞれの思惑が交錯するなか、ラジャーのアマンダを求める冒険が繰り広げられます。
 はたして、ラジャーはアマンダに再会できるのでしょうか?
 それは、読んでみてのお楽しみ。

 人は、生まれた場所や姿かたちなど、けっして平等ではありませんが、誰もがみな「想像力」と言うすばらしい力を持っています。

 想像力の世界では、物理的な優劣などは関係ありません。
 たくさんの友だちから意見をもらうこともできるし、亡くなった大切な人とも会えるし、宇宙や海底など見たこともない場所へゆくこともできます。それはいつか、絶望した心に希望を与え、生きてゆく活力を育て、ポジディブな現実を創造するため行動する力にもなってくれます。それを助けてくれるのが本なのです。

 この物語にも、イマジナリたちを助けてくれる場所として図書館が登場します。本は小さな子どもが想像の力を育むために一番手助けになってくれるものだから。

 かなりのボリュームがあり、簡単な漢字には振り仮名がありませんが、これは物語好きなお子さまにはぜひ挑戦していただきたいので小学校中学年から。賢いお子さまなら読みきれると思います。

 読めば自分でもあれこれと空想したくなり、毎日が楽しくなることまちがいなし!
 今から12月まで「どんな映画になるだろう」と想像をめぐらせるのも楽しいものです。

 この夏、ラジャーと一緒に、見えない大冒険をしてみませんか。
 子どもが読めば心踊り、大人が読めば懐かしい気持ちになるファンタジー小説です。

 ※この本には電子書籍もあります。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。流血シーンなどは児童小説らしく気をつけて書かれています。
 空想する楽しさ、すばらしさを描いた作品なので、想像するのが楽しくなってお絵かきなどしたくなるかも。

 読後はホットチョコレートでひとやすみ。

 

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