【まじょのナニーさん】お留守番子の悩みをナニーさんが解決!罪悪感と許しの第8巻【てんしの花園へようこそ!】【小学校低学年以上】

2024年4月2日

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まじょのナニーさん てんしの花園へようこそ!  藤真知子/作 はっとりななみ/絵 ポプラ社

ヒナノのママは外国に出張。留守をまかされたパパは「まかせて」なんて調子のいいこと言うけど、家のなかはめちゃくちゃ。憤慨するヒナノのもとに不思議なナニーさんがやってきました……

この本のイメージ 罪悪感☆☆☆☆☆ 許し☆☆☆☆☆ 仲直り☆☆☆☆☆

まじょのナニーさん てんしの花園へようこそ!  藤真知子/作 はっとりななみ/絵 ポプラ社

<藤真知子>
東京女子大学卒業。「まじょ子どんな子ふしぎな子」でデビュー。以後、「まじょ子シリーズ」は、幼年童話のファンタジーシリーズとして人気を博し、ついに60巻で完結。ほかにも「わたしのママは魔女シリーズ」(全50巻)など、作品多数。

<はっとりななみ>
武蔵野音楽大学卒業。その後東京デザイン専門学校でグラフィックデザインを学び、製紙メーカーデザイン部を経て、イラストレーターに。絵本の挿絵やグリーティングカードほか、さまざまな媒体にイラストレーションを提供している

 キュートな魔女ものファンタジーシリーズの生みの親、藤真知子先生の現行シリーズ、「まじょのナニーさん」第8巻。初版は2021年。

 「まじょのナニーさん」は、魔法を使えるスーパー家政婦ナニーさんが、なんらかの理由でひとりでお留守番をしなければならない小さな子どものもとへ来て、様々な困りごとや悩みを魔法で解決してくれる一話完結のファンタジーシリーズ。毎回登場するお留守番子はちがいます。

 ナニーさんは正体不明。どうして家政婦さんをしているのか謎。基本的に一話完結なので、どの巻から読んでも楽しめますが、「最初から順番に読みたい」と言う方は、第一巻「まほうでおせわいたします」からお読みください。「まほうでおせわいたします」のレビューはこちら

 今回のおはなしは……

 ヒナノのママはお仕事で忙しく、海外へ出張。あとをまかされたパパはいいかげんで、毎日コンビニ弁当で家のなかはめちゃくちゃ。

 パパもお仕事が忙しくなってしまい、かわりにナニーさんがやってきました。

 ナニーさんは、ヒナノが公園からもってきたコスモスを返してあげたり、とある理由で気まずくなったいとこのカイとヒナノの仲をとりもったりしてくれます。

 素敵な魔法を使って……

 ……と、いうのがあらすじ。

 今回のテーマは「罪悪感と許し」
 人は、だれでもつい悪いことをしてしまう。でも、謝ってやりなおそう。そして、他人のことも理由を聞いて理解して許してあげよう。
 と言うのがテーマです。

 最近は、昔に比べて家庭内の構成人数が減ったので、人間関係のトラブルが起きたときの対処方法を学ぶのがかなり遅くなります。

 昔は、きょうだいが多く、また、近所の子どもたちや親戚の子たちとの交流があったので、子ども同士の付き合いでの些細なトラブルが小さな頃からあり、子どもたちも無意識にそれらに対処してきました。

 でも、今は身近にいる小さな子どもの人数が少なく、いきなり幼稚園や学校などの集団に投げ込まれるため、小さなお子さまのストレスも大きいと思います。

 幼児の頃から周囲に子どもがいると、「小さな子どもは失敗するものだ」というのがよくわかり、子どもの頃に小さな失敗をたくさんすることや、まちがいを犯すことに対して過剰におびえることもないし、よくあること、気楽に許しあうことなどを学べるのですが……

 「人を許す」ことは思いやりです。
 自分も他人も、人間ならば間違いを犯す。だから、自分も相手も許しましょう、と言うのが今回のナニーさんのテーマ。これはかなり深くて大きなテーマです。

 けれども、小さな子どもたちが少なくなった現代、子どもたちにとって「許す」ことは「ルール」になろうとしています。つまり、まず「正しいか間違っているか」をジャッジして、その後、相手を「容赦してあげる」と言う順序になってしまいがち。「許し」が「心」の問題から「ルール」の問題になりがちなのです。

 SNSを見ていても、そのようなニュアンスで「許す」「許さない」と言う言葉を使っている人を見かけます。
 「許す」が「思いやりによって他人を受容する」ことではなく、「相手は悪いやつだけど容赦して裁かないでやる」と言う意味で使われていることがあるのです。

 それは、家庭という小さなコミュニティの中にほかの子どもがたくさんいる環境ではなくなってしまったからではないでしょうか。

 複数の小さな子どもが親と言う存在のもとで、互いに失敗を繰り返しながら健やかに育つ場所では、些細な「許し」はとても日常的なものです。
 しかし、大人の中で存在を許されて育つ、常に緊張下にいる子どもにとっての「許し」は、思いやりとしての「許し」ではなく「我慢して攻撃しない」「相手は間違っているけれど大目に見てやる」と言うような、別の意味になってしまう場合があります。
 つまり、同じ「許す」と言う言葉を使っているけれど、ぜんぜん違う意味になってしまうのです。

 今回のナニーさんのテーマは、小さな子どもが人間関係を構築するうえで、とても大切なことを教えてくれています。

 字がかなり大きくて読みやすく、ほとんどがひらがなですが、簡単な漢字にもすべて振り仮名がふってあります。絵本を卒業したばかりくらいのお子さまにおすすめです。

 はっとりななみ先生の挿絵がふんだんに入っており、要所要所にフルカラーの挿絵もあります。満開のコスモスが愛らしく華やか。

 小さなお子さまがお留守番のときに読む本として、おすすめのシリーズです。毎回、ナニーさんが癒してくれるテーマがちがうセラピーシリーズなので、お子さまにあわせて選ぶといいかもしれません。

 一見クールに見えるけれど、小さな子どもの心に寄り添ってくれるナニーさん。
 クリスマスプレゼントにもおすすめです。

 魔法や不思議が大好きなお子さまに。冬のおうち時間にぜひどうぞ!

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。ぬいぐるみの足が引きちぎられてしまう痛そうなシーンがあるので、ぬいぐるみラブのお子さまにはつらいかもしれませんが、ナニーさんが治してくれるので大丈夫。
 でも、カイくんは、ヒナノちゃんだけでなく、クマタンにも謝ってくれたらもっとよかったですね。

 読後はお花を育てたくなるかもしれません。

 

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