【せかいいちのねこ】ほんものの猫になりたい、ぬいぐるみのニャンコの大冒険!【絵本】【4歳 5歳 6歳】【子どもから大人まで】
ぼくの名前はニャンコ。名前をつけてくれた男の子は毎日ぼくをだっこして寝てくれるの。でも、ぼくには心配なことがあって、もうすぐ男の子は七歳になってしまうの…… (せかいいちのねこ ヒグチユウコ/絵と文 白泉社)
この本のイメージ しあわせとは☆☆☆☆☆ 愛情とは☆☆☆☆☆ 猫☆☆☆☆☆
せかいいちのねこ ヒグチユウコ/絵と文 白泉社
<ヒグチユウコ>
画家。多摩美術大学卒(福沢一郎賞受賞)。オリジナルブランドGustave(ギュスターヴ)を展開。
美しくて愛らしい絵本のご紹介です。初版は2015年。
ストーリーは……
ぬいぐるみのニャンコは持ち主の男の子が大好き。いつも一緒に寝ているけれど、もうすぐ男の子は七歳になる。
そろそろ男の子がぬいぐるみに飽きちゃう歳なのでは?と心配になりました。
ずっとずっと男の子と一緒にいたいニャンコは、「ほんものの猫になったら男の子が大人になっても一緒にいられるのではないか」と考えます。
ともだちのぬいぐるみタコとヘビに、ほんものの猫のひげには魔力があるから、猫のひげを集めてわたに混ぜたらほんものの猫になれるんじゃないかと言われ、ニャンコは親友のぬいぐるみアノマロと一緒に猫のひげを集める旅に出ます。
ニャンコはゆく先々で様々な猫たちに出会います。
子猫の時に変な柄だと馬鹿にされて傷ついてしまい、帽子で顔を隠している内気な猫、食いしん坊の本屋さん猫、三匹のやさしい猫、旅人の猫、耳に傷があるおねえさん猫、大きな釣り人の猫……
心優しい猫たちに出会い、皆の思いやりと愛情に触れ、ニャンコはいまのままで自分がとても幸せな猫だと気づくのでした……
……と、いうのがあらすじ。
猫たちに出会うことでニャンコは幸せな気持ちをもらいますが、猫たちもニャンコから幸せをもらいます。
引っ込み思案な猫は自分に自信がもてるようになり、パートナーを見つけますし、耳に傷があるおねえさん猫(おそらくは去勢手術を受けた野良猫)は、死にそうだった子猫を助けて子育てをすることになります。食いしん坊猫はニボシをもらってシンプルに嬉しかったみたいだけど。
そして、いじわるだと思っていた自分の家の飼い猫にニャンコは教えられます。
「飼い猫の寿命は人間より短い。おまえはずっと男の子と一緒にいられるじゃないか」と……
幸せと不幸せは隣り合わせ。
実は、自分自身が考えているよりずっと自分は幸せなのかもしれません。
作中で登場する、ニャンコの親友のアノマロ。
いったい何なのだろうと調べたら、アノマロカリスという古代生物のぬいぐるみらしいです。そんなマニアックなものがあるのか!と驚いていたら、本当にありました。びっくり。
途中でちょっと心配な展開になるのですが、ハッピーエンドでほっとしました。よかった、アノマロ。
絵本にしてはかなりボリュームがあり、全部で104ページ。見開きで最大三十行前後というかなりの文章量なので、物語好きなお子さま向けです。
ただ、ニャンコの持ち主の男の子が六歳という設定なので、もともとはだいたいそれくらいの、小学校に就学前のお子さまを対象にしているようです。
文章は読みやすく、漢字混じりではありますがすべての漢字に振り仮名が振ってある総ルビです。
ボリュームはありますが、五十音が読めるお子さまなら、コツコツと一人で読み切ることは不可能ではありません。
けれど、とても愛情深いいいお話なので、これはぜひ読み聞かせで。
また、大人の和み絵本としてもおすすめです。
ヒグチ先生の絵が前頁フルカラーで美しく、猫たちは愛らしく、猫好きさんにはたまらない魅力があります。
物語は何重構造にもなっており、大人が読んでも考えさせられるところも多い物語です。
愛情とは、幸せとは?
深くて優しいメッセージにあふれた美しい絵本です。
バレンタインに。そしてなんでもないときに。大切な方へのプレゼントにぜひどうぞ。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はまったくありません。
HSPやHSCの方のほうがより多くのメッセージを受け取れるでしょう。
大人が読んでも心の深いところに優しさが届く絵本です。
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