【パディントンの一周年記念】おとぼけなクマくんとブラウン家の日常。シリーズ三冊目。【くまのパディントンシリーズ】【小学校中学年以上】

2021年7月27日

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パディントンの一周年記念 マイケル・ボンド/作  ペギー・フォートナム /絵  松岡 享子/訳  福音館文庫

パディントンがブラウン家にやってきてから、一年がたとうとしていました。ブラウン一家は、ちょっと奮発して豪勢な誕生会をしようと計画します。ところが、高級なレストランでもパディントンはいつもの調子で……

この本のイメージ くま☆☆☆☆☆ ぬいぐるみじゃない☆☆☆☆☆ かわいいから許す☆☆☆☆☆

パディントンの一周年記念 マイケル・ボンド/作  ペギー・フォートナム /絵  松岡 享子/訳  福音館

<マイケル・ボンド>
Michael Bond(1926年1月13日~2017年6月27日)。イギリス・バークシャー州、ニューベリー出身の小説家。代表作は児童文学『くまのパディントン』シリーズ。

パディントンの一周年記念 マイケル・ボンド/作  ペギー・フォートナム /絵  松岡 享子/訳  福音館
こちらが大きくて
読みやすい単行本版

 暗黒の地ペルー(と、パディントンが言うんですよ)からやってきたクマ、パディントンと、パディントンと家族になったブラウン家のドタバタストーリー、第3巻。原題はPaddington Helps Out.原書初版は1960年。日本語版初版は1969年です。

 パディントンがブラウン家にきて一年がたったと言うお話。
 あいかわらず、パディントンは、どこへ行っても騒動を起こして、途中は壊滅的なまでにめちゃくちゃになりますが、最後はどういうわけか丸く収まり、みんなに感謝されるというパターンです。

 人間社会のことを何も知らないパディントンの行動は、まるで幼児。

 そうですよ、子どもってこうですよ。大人がやっていることを横で観察していて、妙に詳しくて、そして、一度もやったことがないのに見ているだけでできると思い込んで、いざやってみるとむちゃくちゃになると言う……。

 でも、パディントンは信じられないくらいの強運なので、結果オーライとなってしまうのです。カリーさんの毛糸のパンツを熱湯で洗ってしまい、小さくしちゃうのはお約束ですが、あれが吉となるとはね~。
 ウールを縮めちゃったことが一度でもある人は、読んでいて青くなったのではないでしょうか。

 高級レストランのエピソードも、これ、最後はどうなるんだろうとハラハラしていたら、こんなハッピーエンドになるとは。

パディントンの一周年記念 マイケル・ボンド/作  ペギー・フォートナム /絵  松岡 享子/訳  福音館文庫
こちらは小さくてかわいい
文庫版

 でも、パディントンの行動は「幼児あるある」なだけでなく、小さな子どもなら、いや、大人でも一度はやってみたいと思うようなことでもあります。

 小さな子どもは、大人が全員留守のときに、自分ひとりでお料理を作ってみたいし、一人で大工仕事もしてみたい。立派な人ばかりが集まるオークションものぞいてみたい。高級レストランに普段着で行ってみたい。

 このクマは、それがどんなことかわからず、全部やってしまうのですが……

 今回も家政婦のバードさんと、骨董品屋のグルーパーさんがいかしています。

 この二人、ふたりとも、パディントンのことをペット扱いしないんです。一人前の人間と同様に扱っている。クマとして。これって、ちょっとすごいことなんじゃないでしょうか。

 彼を人間扱いしているわけでもないんですよ。あくまでパディントンはクマ。クマとして、一人前の人間と同様に扱う。さらっと描いていますが、なかなかできないことだと思います。

 バードさんは、人間社会にうといパディントンが失敗を繰り返すのを「しょうがないわね」と思いながら、おおらかに受け止めるだけでなく、パディントンが買い物のときにモノを見定める目や、いいモノを安く買う能力は高く評価しています。そして、まがったことが大嫌いで、パディントンが理不尽な目に遭っていると、迷わず前に出る。

 グルーパーさんは、パディントンがどんなに突拍子もない失敗をしても、「これもなかなかいけますぜ」とか言いながら、後始末を手伝ってくれます。それにしても、大失敗したあとのお団子入りシチュー、そこそこおいしそう。(ダンプリングと言うんだそうです)

 全体的に、ドタバタコメディなのですが、この二人が人格者じゃなかったら、あっという間にパディントンは銃殺か動物園行きだと思うと、このふたりは偉大です。

 子ども時代なら、面白おかしく読んだと思いますが、大人になってから読むと、「ああ、多様性ってこれか……」と気づかされます。動物ものは、たいてい深遠なテーマが潜んでいます。コメディなのに、あなどれない。

 文章は平易で読みやすく、ほとんどの漢字に振り仮名がふってあるので、小学校中学年から。小さなエピソードのオムニバスなので、読み聞かせにもおすすめです。

 小さなお子さまなら、自由すぎるパディントンの行動を楽しんだあと、大失敗が丸く収まる様子を見て、安心するはず。
 大人でも、パディントンの失敗のダイナミックさに、自分の失敗や悩みなんて、どうでもよくなるレベル。子どもなら、楽しく読みながら、「失敗しても、けっこうなんとかなるもんだな」と思えてくると思います。どうぞ、読み聞かせしてあげてくださいね。

 勉強で疲れた学生さんにも、仕事で疲れた大人にも、パディントンはおすすめです。
 シンプルで面白く、そして、癒される物語です。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。クスっとできるドタバタコメディでありながら、ほのぼのとしたハートフルなエピソードもあり、癒されます。
 小さなお子さまはもちろん、大人の和み時間にもおすすめ。

 読後は濃く淹れた紅茶にミルクを添えて、マーマーレードサンドイッチでティータイムを。

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