【パディントンの煙突掃除】クマと一緒のはちゃめちゃな生活、第六巻。思わず笑顔になる名作児童文学【くまのパディントンシリーズ】【小学校中学年以上】

2022年8月26日

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パディントンの煙突掃除 マイケル・ボンド/作  ペギー・フォートナム /絵  松岡 享子/訳  福音館

パディントンがブラウン家にやってきて、ずいぶんたちました。ある大雪の日、おとなりのカリーさんの家の水道管が凍ってしまって、大騒ぎ。どういうわけか、パディントンが修理をしなくちゃいけなくなりますが……

この本のイメージ クマと暮らす☆☆☆☆☆ 短編集☆☆☆☆☆ 通常運転☆☆☆☆☆

パディントンの煙突掃除 マイケル・ボンド/作  ペギー・フォートナム /絵  松岡 享子/訳  福音館

<マイケル・ボンド>
Michael Bond(1926年1月13日~2017年6月27日)。イギリス・バークシャー州、ニューベリー出身の小説家。代表作は児童文学『くまのパディントン』シリーズ。

<ペギー・フォートナム>
1919年、イギリスで生まれた。ロンドンの美術工芸セントラルに在学中、ハンガリーの出版社の依頼でエリナー・ファージョンなど子どもの本にさし絵を描いたものが好評で、引き続きさし絵やポスターの仕事をする。

<松岡 享子>
1935年、神戸で生まれた。大学卒業後、ウェスタンミシガン大学大学院で児童図書館学を学び、ボルチモア市の公共図書館に勤めた。帰国後、東京子ども図書館を設立し、子どもと関わる幅広い分野で活動をする。1974年、石井桃子氏らと、財団法人東京子ども図書館を設立し、同館理事長を務める。

パディントンの煙突掃除 マイケル・ボンド/作  ペギー・フォートナム /絵  松岡 享子/訳  福音館

 くまのパディントンシリーズの六冊目。原題はPaddington Marches On.(パディントンのお通りだ) 原書初版は1964年。日本語版初版は1977年です。

 くまのパディントンシリーズは、イギリスの平凡な家族、ブラウン家に暗黒の地ペルー(とパディントンが自分で言います)からやってきたくまのパディントン(ぬいぐるみや着ぐるみではなく、ほんものの熊)が家族の一員として同居することになる、ドタバタコメディです。
 ほんものの熊なのに、パディントンはお洋服を着て帽子をかぶって二足歩行するし、英語をしゃべります。
 すごいことに、そこらへんがどうしてそうなのかの説明がまったくないのです。ほかの動物はしゃべらないのに。そこらへん、「どうしてそうなるの」なところは強引にすすむ、ちょっと不条理だけどときどきほのぼのする、ゆかいな動物ファンタジーです。

 短いお話のオムニバスなので、どの巻から読み始めても話は通じますが、パディントンがブラウン家に同居することになった第1巻から読むのがわかりやすいと思います。1巻のレビューはこちら

 今回のお話は、完全なオムニバスで、最初のお話は冬ですが、季節もばらばらです。
 収録されているお話は、

 ・寒波襲来
 ・いとも珍妙なる記念式典
 ・パディントンの煙突掃除
 ・おたのしみびっくりバス旅行
 ・パディントン、最高殊勲選手となる
 ・海岸での一日
 ・思いがけないパーティ

 の七本です。

 パディントンの話には、おおまかな法則があり、
 誰かがパディントンに人間の基準で用事を頼んだり、催しに誘ったりしますが、パディントンがそれをわからず、しっちゃかめっちゃかにし、あわや大惨事となりそうだったところを、どういうわけか、ひょうたんから駒で万事解決、パディントンは感謝されてめでたしめでたし。
 と、言うのが黄金パターンです。

 今回も、そのパターンでお話がすすみますが、最初の「寒波襲来」がいちばんダイナミック。
 自宅の水道管が凍って断水してしまったカリーさんが、自分が風邪をひいて寝込んでいたために、パディントンに水道屋へのお使いを頼み、修理を呼ぼうとしますが、それが大惨事になるお話。

パディントンの煙突掃除 マイケル・ボンド/作  ペギー・フォートナム /絵  松岡 享子/訳  福音館
こちらは文庫版

 カリーさんもいままでの経験があるので、パディントンに修理をさせるつもりはなかったのですが、そこはそれ、これはこういうお話ですからね……どういうわけか、パディントンがやるはめになり、そして、失敗するのです。

 パディントンの行動というのが、基本的に幼児のそれなので、読んでいるほうは慣れてくるとだいたい展開が読めてきます。でも、読めないのは最後のどんでん返し。

 たまに強引な展開もありますが、パディントンのやらかしが、毎回あまりにもダイナミックなので、最後にこれが全部ひっくりかえってパディントンが感謝されると言う黄金パターンにどうやってもっていくのか、その手腕にわくわくしてしまうのです。

 今回わかったことは、パディントンはやったことない何かをやってみようとする、チャレンジ精神旺盛なクマだという事と、どうやら「予行演習」とか「テストプレイ」とかをしない主義だってこと。そして、初見で説明書を「読みながら」手をつける癖がある。

 なので、「説明書の最後に大事な但し書きがあることに気づく」とか「説明書の途中のページがやぶけている」と言うお約束の事件が頻発するのでした。(良い子は、リアルでは気をつけましょう)

 最初に説明書を読んで、道具をそろえるところからはじめようよ、パディントン……。とは言え、本人がやる気がないのに巻き込まれた系の話もあります。基本的に頼まれごとを断らない、気のいいクマなのです。

 字は程よい大きさで、文章は平易で読みやすく、難しい漢字には振り仮名が振ってありますので、小学校中学年から。短編のオムニバスなので、気楽に少しずつ読むことが出来ます。とくに、この「パディントンの煙突掃除」は季節がばらばらのお話が詰め込まれており、いつ読んでも楽しめます。

 パディントンのやらかしがダイナミックなのに、あっと驚くどんでん返しで、みんなが幸せになるハッピーエンドなので、読み終わったときに、謎の爽快感があります。ストレスがたまりまくっているときに、おすすめの爽快動物ファンタジーです。

 子どもから大人まで、心が疲れているとき、ヨレヨレの心の回復アイテムとして。読んでいるうちに、細かいことを気にしてクヨクヨしているのがばからしくなってくるくらい、豪快です。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はほぼありません。大破壊と大惨事を繰り返すクマを許せれば、ぎゃははと笑える動物ファンタジーです。

 海外のシチュエーションコメディや、日本のドリフ、吉本新喜劇、オレたちひょうきん族などの古き良きドタバタコメディの香りがする児童文学です。文学、じゃないかも。「長くつ下のピッピ」が好きな方にもおすすめです。

 上記のものが好きならば、ぜひ。パディントンのやらかしは、めちゃくちゃすぎて、もはや癒しです。

 読後は、マーマレードサンドイッチと、濃くいれた紅茶でティータイムを。

この本の続きはこちら

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