【クローバーと魔法動物】魔法動物紹介所で働き始めたクローバー。不思議な卵から生まれたものは?【魔法より大切なもの】【小学校中学年以上】

2024年3月20日

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クローバーと魔法動物  2  魔法より大切なもの  ケイリー・ジョージ/作 久保陽子/訳 スカイエマ/絵 童心社

魔法紹介所で働き始めたクローバーは、またしてもジャムズおじさんの留守番をまかされることになりました。様々なお客様が訪ねてくるなか、預かっていた不思議な卵から、謎の魔法動物が生まれて……?

この本のイメージ ファンタジー☆☆☆☆☆ 魔法動物☆☆☆☆☆ 才能と努力☆☆☆☆☆

クローバーと魔法動物 2  魔法より大切なもの  ケイリー・ジョージ/作 久保陽子/訳 スカイエマ/絵 童心社

<ケイリー・ジョージ>
カナダの児童文学作家。ブリティッシュ・コロンビア大学で児童文学の修士号を取得。絵本や読み物を数多く手がけている。邦訳は「ハートウッドホテル」シリーズ(童心社)がある。本書はカナダで高い評価を受けており、第1巻はOLA Best Bets Award Winner, 2016を受賞し、ドイツ、ルーマニア、イスラエル、中国で翻訳出版されている。

<久保陽子>
鹿児島県生まれ。東京大学文学部英文科卒業。出版社で児童書編集者として勤務ののち、翻訳者になる。訳書に「ハートウッドホテル」シリーズ(童心社)「カーネーション・デイ」(ほるぷ出版)「ぼくってかわいそう!」「明日のランチはきみと」「うちゅうじんはいない?」(いずれもフレーベル館)「わたしのペットはまんまるいし」(ポプラ社)などがある。

<スカイエマ>
東京都生まれ。児童書・一般書の装画や挿絵など幅広く手がけている。第46回講談社出版文化賞さしえ賞を受賞。おもな作品に「ぼくがバイオリンを弾く理由」「幻狼神異記」シリーズ「忍剣花百姫伝」シリーズ(いずれもポプラ社)「林業少年」(新日本出版社)「アサギをよぶ声」シリーズ(偕成社)「ぼくらの原っぱ森」(フレーベル館)などがある。

 不思議な魔法動物紹介所で働き始めた人間の女の子、クローバーの冒険を描いた「クローバーと魔法動物」の第二巻。原題は、The Magical Animal Adoption Agency: The Enchanted Egg.初版は2015年。日本での初版は2020年です。

 お話は、第1巻「運のわるい女の子」から完全に続いているので、まずは第1巻からお読みください。


 第1巻のレビューはこちら

 第1巻で森の奥の魔法動物紹介所で働くことになったクローバー。
 ようやく仕事に慣れてきたクローバーは、ジャムズおじさんから、またしてもお留守番を頼まれます。

 気がかりなのは、謎の卵。トロールが森で手に入れた謎の卵が紹介所に預けられましたが、何の卵なのかわからないのです。
 ところが、お客様の応対に追われているあいだに、卵はいつの間にか孵化してしまっていました……!

 いったい、何の卵だったのでしょうか。
 孵化した魔法動物の赤ちゃんを探しながら、クローバーの留守番生活は続きます……

 ……と、いうのが今回のあらすじ。

 この「クローバーと魔法生物」、毎回はっきりとしたテーマがあるようです。

 第1巻のテーマは「運とは何か?」

 自分のことを「運のわるい女の子」と思い込んでいたクローバー。何をしてもついてない、うまくいかないと思い込んでいたクローバーでしたが、実は、運が悪いように見えて、本当はとても運が良かったことに気がつきます。

 運がいいも悪いも、受け止め方しだい、または運のいい、悪いは表裏一体だとわかるのが、第一巻のおはなし。

 第2巻のテーマは「才能とは何か?」

 今回、ジャムズおじさんから二度目の留守番をまかされるクローバー。ずいぶん仕事には慣れてきましたが、やはり自信はありません。それは、自分が魔法使いではない、ただの人間だからです。

 魔法も使えない、ただの人間の自分が、魔法動物紹介所の仕事が務まるのだろうか、これでいいのだろうか、とクローバーは悩んでいました。

 これって、「職業と才能」の問題に似ています。
 本来は魔法使いがつとめるはずの仕事を、人間の自分がやってもいいのだろうか、自分にはそんな能力があるのだろうか、言うクローバーの悩みは、「才能がない自分にこの仕事が務まるのか」とか「家柄がつりあわない自分がこの仕事についてもいいのだろうか」と言う悩みに通じるものがあります。

 そして、最終的に、「そんなことよりずっと大切なものがある」と気づくのです。

 次々とさまざまな幻想世界の住人たちが現れ、魔法生物を望むなかで、クローバーは悩みながらも、一生懸命自分の仕事をまっとうし、それぞれにぴったりの魔法動物を紹介します。
 魔法は使えないし、魔法動物に対する知識も充分ではないけれど、クローバーには真心と努力と言う美徳があったのでした。

 クローバーが親友のエマへ書いた手紙も、なかなかいいのです。
 魔法動物紹介所の仕事は秘密なので、たとえ相手が親友であっても、仕事の内容について詳しいことはいっさい教えられません。だから、エマから消息を聞く手紙が届いても、「何をしている」とは書けないのです。

 そこで、クローバーは仕事の内容には触れず、彼女の学び取ったことのみを書いて知らせます。
 たとえば、「いつも、ツイていなかったわたしだけど、いまのところちゃんと動物の世話が出来ているよ」など。

 これって、一般社会の仕事人としても、かなり優秀なスキルです。大人の言葉では「守秘義務を守る」と言うことなんですけども。

 クローバーは、自分では時間がないようですが、実はかなり高いコミュニケーション能力があるようです。

 さて、今回のラストでオリバーという男の子が新キャラとして登場します。どうやら魔法使いの子らしいのですが、これから、オリバーとクローバーにどんな冒険が待っているのでしょうか?

 第3巻の展開が楽しみですね。

 字は程よい大きさで、難しい漢字には振り仮名がふってあるので、小学校中学年から。読み聞かせなら低学年からでも大丈夫。持ち運びのしやすい、すこし小さな目のハードカバーです。魔法動物たちがたくさん登場するので、映画「ファンタスティックビースト」シリーズが好きならおすすめ。

 魔法と動物が好きな子なら、大好きになること間違いなしのファンタジーです。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。内向的なお子様、HSPやHSCにおすすめのファンタジーです。ファンタジックな動物がたくさん登場し、幸せ気分になります。

 読後は、ムッシュ・パフがつくったような、ふわふわのカップケーキでティータイムを。

 

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