【サンタが空から落ちてきた】ドイツからやってきた、コルネーリア・フンケのクリスマスファンタジー!少年と少女と最後のサンタクロース【入手困難】【重版希望】【小学校中学年以上】
ある日、突然キャンピングカーにのったサンタクロースが空から落ちてきた。それは、最後の「本物の」サンタクロース、ユレブック。少年ベンは、サンタクロース界を支配する恐ろしい偽者サンタから、ユレブックを守るために戦います。
この本のイメージ 楽しいクリスマス☆☆☆☆☆ 冒険☆☆☆☆☆ 友情☆☆☆☆☆
サンタが空から落ちてきた コルネーリア・フンケ/作 浅見省吾/訳 WAVE出版
<コルネーリア・フンケ> 1958年ドイツ生まれ。ハンブルク大学で教育学を修める。フリーのイラストレーター、作家。ウィーン児童文学賞など多くの児童文学賞を受賞。
これは面白い!
クリスマスにぴったりの、わくわくファンタジーです。
ドイツの児童文学作家って、たいていプロフィールに「ミヒャエル・エンデの研究を経て」と書いてあります。日本人からは想像できないほどの大きな存在なのでしょうね。
この「サンタが空から落ちてきた」も、少し「モモ」のような、ミヒャエル・エンデの香りがします。そして、とにかく面白いのです。
お話は、
いじめられっ子の少年ベンは、嵐の翌日、見知らぬキャンピングカーが止まっているのを見つけ、ユレブックと言う男と出会います。彼は、嵐の雷でトナカイを失い、空から落ちてきたサンタクロースでした。
今、サンタクロース界は、ヴァルデマールという恐ろしい「偽者のサンタクロース」が支配していて、クリスマスを利用して金儲けをたくらんでおり、反対する「本物のサンタ」はユレブック以外は全員捕まってチョコレートにされてしまったのです。
ユレブックと仲良くなったベンは、「本物のクリスマス」を実現しようとする彼を助けようとします。ところが、ベンの存在をヴァルデマールがかぎつけて……
と、言うのがあらすじ。
エンデっぽいなと思うのは、ヴァルデマールは灰色のスポーツカーに乗ったピカピカのサンタクロース。見かけこそ、丸々と太ってニコニコ笑う優しそうなサンタなのですが、目の奥が冷たい。
そして、子どもたちの願いではなく、大人の希望を聞いてプレゼントを選び、大人からお金を受け取って商売をしているのでした。
ユレブックは、トナカイが引くキャンピングカーで空を飛ぶ、見た目は若いサンタクロース。白いひげは付けひげです。けれど、天使や小人たちが一緒にいて、天使たちが子どもたちの「本当の願い」を調べ、小人たちが昔ながらの方法でプレゼントを作ります。こっちが「本物」と言うわけ。
お話の途中でシャルロッテという理解者も得て、ベンたちはヴァルデマールに対抗します。
どうなってゆくのかは、読んでみてのお楽しみですが、わくわくの展開です。
まさに「これぞ児童文学」! と、言った感じ。そして、この季節にぴったり。
序文に、日本の子どもたちへの作者のメッセージがあります。
日本のクリスマスがまったくわからないので、この物語がちゃんと伝わるかどうか、すこしだけ心配だったのかもという雰囲気が伝わってきます。
だいじょうぶ! 日本人は、どんな外国の文化も日本流に取り入れて魔改造して楽しんでしまう民族なんです!
しかも、クリスマスの起源はケルトのお祭りでもあり、ケルトと言えば、どういうわけか日本に似ているところが多いといわれている古代文明です。クリスマスを日本人が楽しむのはまったく問題ないでしょう! (強引)
ラーメンだって、カレーライスだって、もう和食。そんな日本には、むしろこんな奇妙で素敵なクリスマスストーリーがぴったりです。
文章は読みやすく、難しい漢字には振り仮名がふってあります。小学校中学年から大人まで楽しめる、どきどきわくわくのクリスマスファンタジーです。クリスマスプレゼントにも最適。
もちろん、クリスマスを楽しみにしながら読むのもおすすめです。その時は、シュトーレンを用意してくださいね!
※ときどきAmazonに新品の在庫が出るようです。いい本なので、見つけたらぜひGetしてくださいね!
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はありません。わくわくどきどき、そして痛快なハッピーエンドです。プレゼントやお見舞いにぴったり。外に出られないときも明るい気持ちになれます。
読後は、サンタ型のチョコレートや、シュトーレン、マルチパン、レープクーヘンなどを用意して。
スパイスいっぱいの熱々の紅茶などがおすすめです。
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