【こりすのクリスマス】サンタさんにもプレゼントを。やさしいこりすのクリスマスの絵本【4歳 5歳 6歳】【絵本】

とおいとおい きたのくに。ふかい もりのなかにサンタさんのすむ いえが あります。そのいえの すぐそばに いっぴきのこりすが すんでいました。……サンタさんのためにこりすがプレゼントしたものとは? 心温まるクリスマス絵本です。
この本のイメージ クリスマス☆☆☆☆☆ サンタクロース☆☆☆☆☆ プレゼントとは☆☆☆☆☆
こりすのクリスマス 豊福まきこ/作 BL出版
<豊福まきこ>
東京都出身。武蔵野美術大学造形学部卒業。広告代理店でグラフィックデザイナーとして勤務したのち、フリーランスのイラストレーターに転向。現在は絵本を中心に児童書関連で活動中。「わすれもの」がデビュー作。他に「おどりたいの」(ともにBL出版)がある。
豊福まきこ先生の愛らしいクリスマス絵本です。初版は2021年。
おはなしは……
遠い北の国、深い森の中にサンタクロースの家があります。その家のそばに、1匹のこりすが住んでいました。
こりすは、毎日サンタさんの様子を見ていました。
サンタさんは、毎日毎日、クリスマスのための準備をしています。
世界中の子どもたちからのお手紙を読んだり、プレゼントを用意したり、トナカイの世話をしたり……。
クリスマスの日、プレゼントを持ってそりででかけるサンタさんを見送って、こりすはサンタさんにもプレゼントがあればいいのになあと思います。
そうだ、サンタさんのためにプレゼントを用意しよう。
決心したこりすは、サンタさんのためにどんなプレゼントがいいか、考えます。森のみんなたちは、口々にあれがいい、これがいいとアドバイスしてくれますが、考えすぎてこりすは、混乱してしまいました。
そして……
……と、いうのがあらすじ。
弱肉強食の動物世界を肉食動物も草食動物もみんな仲良く描く動物ファンタジーは、多様性に満ちた世界の比喩表現の一つです。
クマもタヌキもキツネもカモも、みんな悪意はなく、本当に自分がいいと思うものをすすめてくれますが、人が「いい」と思うものは人それぞれなため、こりすは何をプレゼントしたら良いのか混乱してしまいます。
でも、結局、「何をあげるか」は問題ではなく、「どんな気持ちを込めるか」が大切で……
こりすのサンタさんへの気持ちは、親への子どもの気持ちのよう。
小さな子どもは、お父さんやお母さんのために、ささやかでもプレゼントをしたいと思う時があります。けれど、何をあげたら喜んでくれるかわからないし、小さな子どもにとってできることは少ないもの。おこずかいだって、もともとは親のお金です。
でも、そんなことは関係ない。プレゼントをあげたいと言う気持ち、それが一番大切なのだとサンタさんは教えてくれるのです。まあ、サンタさんと言えば「プレゼント」のプロですからね。
サンタさんは、ちゃんとこりすの気持ちを受け取ってくれたのでした……。
文章はすべてひらがなとカタカナ。50音が読めればひとりで読めますし、冬の読み聞かせにもぴったりな内容。
また、こりすの性別はわざとあいまいに書かれており、お子さまが男の子でも女の子でも感情移入できるようになっています。
豊福先生のふんわりとした、迷いのない筆致は、見ているだけでやさしい気持ちになるものばかり。
また、夕暮れ時に空に向けて飛び立つサンタさん、カモたちが愛するピンク色の美しい夕焼け、そして、朝日を背に受けて帰ってきたサンタさんの神々しい姿など、光と影の描き方が美しい。
誰かが誰かに、何かを「贈る」気持ちを描いた、あたたかな絵本です。プレゼントに、お見舞いに、そしてこの季節の読み聞かせにぴったり。また、大人の和み本として、自分のために、大切な人への贈り物にもおすすめです。
クリスマスプレゼントに絵本はいかがでしょう。
子どもから大人まで、「贈りたい」気持ちがあるすべての方におすすめの絵本です。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はひとつもありません。「贈り物とは、その贈り物を選ぶために考えたり、悩んだり、準備したりした時間や気持ちも全部ふくめて「贈り物」なのだ」と言うやさしい物語です。
モノに気持ちを込めると言う繊細な感情は、HSPやHSCのお子さまのほうが深く理解できるでしょう。
読後は、サンタさんとこりすのように熱い紅茶とビスケットでティータイムを。
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