【おどりたいの】月夜の晩に踊りましょう。ちっちゃなバレリーナの絵本【4歳 5歳 6歳】
深い森のはずれに、美しい音楽が流れる建物がありました。あそこには何があるのかな?こうさぎがのぞいてみたら、そこでは女の子たちが音楽にあわせておどっていました。なんてきれいでかわいいの……!
この本のイメージ 動物ファンタジー☆☆☆☆☆ バレエ☆☆☆☆☆ 小さな発表会☆☆☆☆☆
おどりたいの 豊福まきこ/作 BL出版
<豊福まきこ>
東京都出身。武蔵野美術大学造形学部卒業。広告代理店でグラフィックデザイナーとして勤務したのち、フリーランスのイラストレーターに転向。 新聞・雑誌・バレエ専門誌・児童書籍の挿絵など幅広く手がける。
わたしは、フィギュアスケートやバレエや、器械体操と言った、人間が肉体の限界を超えた美を魅せてくれるものが大好きです。演技中には、人間なのに人間じゃないような、人が限りなくファンタジーの世界に近づいている「奇跡の瞬間」があります。
フィギュアスケートのシーズンは七月から始まるので、夏になると各選手の予定が決まります。
今年の一大ニュースは羽生結弦さんの現役選手としての引退とプロスケーターとしての決意表明でした。
一時代を築いたレジェンドの一人なので、やはりさみしいものはあります。しかし、今後の活躍が楽しみでもあります。
先日の「公開練習」のライブ配信は仕事の予定がありながらもついつい二時間近く見てしまったのですが、ただ練習をライブ配信するだけであれだけの人を惹き付けるのはすごいことですね。また、現役時代から難易度を落としておらず、今後もレベルを上げてゆく気満々なのがいい意味でおそろしい。そうだ、この人はそういうおそるべき人だった……
浅田真央さんの新しいショーも発表になり、ペアに挑戦するらしく、こちらも期待が高まります。彼女もまだまだサプライズがありそう。
彼らは外見の美しさもさることながら、常に新しいこと、未知のことに挑戦し続けています。その姿勢が彼らの美をさらに際立たせるのです。
成功率が高いか低いかとか、自分にメリットがあるかないかは関係なく、ただただ挑戦したい、壁を越えたいというその強い意思。
羽生さんも(この呼び方慣れない)真央さんも、常時鋼のメンタルで何があっても傷つかない人というわけではなく、悩んだり苦しんだりすることもたくさんあることは、ファンならよく知っていること。
でも、それでも立ち上がり、歩み続けると言う「美しさ」を見せてくれます。憧れるし、励まされます。人間のもつ根源的な「美への憧れ」に働きかけてくれる人たちです。
本日ご紹介する絵本は(前置きが長すぎる……!)豊福まきこ先生の「おどりたいの」。初版は2018年です。
わたしたち世代にバレエのファンが多いのは、おそらく谷ゆき子先生の「星シリーズ」が原点ではないでしょうか。「さよなら星」とか「かあさん星」とかです。(古い、古すぎる……!)
もう記憶がおぼろで、正確にはどんな漫画だったのか思い出せないのですが、学校の図書コーナーに雑誌があって、みんなで回し読みしていたような記憶があります。当時流行の設定で、主人公が不治の病になったりした気がする……。
さすがに例が古すぎましたね。山岸涼子先生の「アラベスク」から入った人や、有吉京子先生の「スワン」から入った人もいますよね。(いや、それだって充分……)
今、バレエ漫画人気ランキングというのを確認していますが、知らないものもたくさんあります。ああ、「まりちゃんシリーズ」も人気がありました。わたしはまりちゃん世代ではないので、このあたりは読んでないんですけども。おお、「昴」は、バレエとF1と言う、わたしの好きなもの二つが合体した私得な漫画でした。
萩尾望都先生の「フラワー・フェスティバル」は大好きだったなあ……。
そうそう、羽生結弦選手の北京オリンピックシーズンのショートプログラムが「ロンド・カプリチオーソ」だったのは、胸アツでした。じつは、竹宮惠子先生のフィギュアスケート漫画に「ロンド・カプリチオーソ」と言うのがあるのです。いにしえの少女漫画ファンは、絶対嬉しかったはず……!
というわけで、日本の女性、女の子たちには、脈々と「舞う人」への憧れが受け継がれています。
でも、日本人は昔から歌舞伎や狂言が大好きだったし、身分の上下を問わず「美しい人が舞うすがた」を愛でる遺伝子が受け継がれているのかも。
この絵本は、森のはずれにある館から、美しい音楽が聞こえてきたのに気づいたこうさぎが、そこがバレエ教室だったことに気づき、一緒に踊らせてもらうようになるファンタジーです。
少女たちの舞う姿にあこがれて、ちっちゃなうさぎさんも一緒にレッスンを受けるようになります。すると、森のうさぎたちもみんなが踊りたがって、少女たちとうさぎたちは一緒にレッスンします。
やがて、少女たちの発表会の日が近づいてきます。けれど、こうさぎたちは舞台に出ることはできません。それで、こうさぎたちは、自分たちの発表会をやろうと思い立ちます。
衣装や舞台を準備して、招待状を出して……森のみんなは見に来てくれるかしら?
……と、いうのがあらすじ。
女の子たちの舞姿、レッスンする様子が美しいだけでなく、こうさぎたちがなんとも愛らしい。踊りたい、踊るの楽しい、と言う気持ちにはちきれんばかりです。
動物に体操とかバレエとかのポーズをさせると、手足のバランスが崩れて妖怪じみたふうになってしまいがちなのですが、そこが絶妙のバランスで、本当にかわいい。
色合いもふんわりしていて、やさしい雰囲気。ラストシーンはファンタジックなハッピーエンドです。
字はひらがなとカタカナだけで書かれているので、50音が読めれば1人で読めます。読み聞かせにも。「アン、ドゥ、トロワ」だけが小さなお子さまにはわからないと思うので、これがなんなのかは、読み聞かせのときに保護者の方が教えてあげてくださいね。
女の子たちの踊る姿や足のポーズなどはとても正確で、バレエが大好きな方もきっと満足すると思います。こうさぎたちもとってもかわいいので、大人の和み絵本としても。
かわいいもの、美しいもの、バレエやフィギュアスケートが大好きなお子さまに。プレゼントにもおすすめの絵本です。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はいっさいありません。かわいいものと美しいものの最強コラボです。バレエやフィギュアスケートが好きなお子さまなら、女の子でも男の子でも。
ストーリーもとてもほほえましいので、読んでいるだけで心が和みます。
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